レプリカだけの展示にもかかわらず、日本一高い入館料(?)といわれる美術館がすごい

訪れた人は「納得の料金」「それ以上の価値がある」「偽物なのにすごい!」などと大絶賛だそう。

» 2015年12月12日 16時00分 公開

 壮観な渦を巻く鳴門海峡で有名な徳島県鳴門市に、一風変わった美術館があります。その名は「大塚国際美術館」。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の“行ってよかった美術館&博物館ランキング2011”美術館部門で見事1位に輝いて以来、その後、毎年上位にランクインするほどの実力を持つミュージアムです。


画像 原画を所蔵する国々の国旗が迎えてくれます

 大好評の大塚国際美術館、何が人々をそんなに魅了するのでしょうか? 広報担当者にお話を聞きました。

 まず注目したいのは、当然ながら展示作品! 西洋絵画1000点を超える作品が展示されています。それらはすべて原画に忠実に、かつ原寸大に再現した作品。つまりレプリカだけが並んでいるのです。しかも、モネやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソといった、そうそうたる顔ぶれ。名だたる名画が一堂に会しているといっても過言ではありません。


画像 両壁に並ぶ傑作に心弾みます

 次に圧倒されるほどの敷地の広さ! 展示は地下3階から地上2階まで、鑑賞ルート約4キロというスケール。展示方法に趣向を凝らし、期間ごとにイベントも開催。さらにはレストランやミュージアムショップ、庭園などもあり、1日かけて鑑賞を楽しむ、または数日かけて楽しむ方もいるほどです。


画像 ゆったりと眺めることができる開放的なスペース

 そして、入館料の高さが日本一(!)と言われているのだそう。大人3240円という、一瞬目を疑うような数字に入館を少し躊躇(ちゅうちょ)する人もいるとか。しかし、訪れた人の感想は「納得の料金」「それ以上の価値がある」「偽物なのに……、なんて思っていたら大間違い。すごい!」などと賞賛の嵐が起こっているのだとか。

 このように、すべてがブラボーな美術館。ここまでの概要でもクオリティの高さをうかがえますが、ここからはもう少し詳しく、その魅力に迫ってみます。

 オリジナル作品と同じ大きさで再現され、展示されている作品――。古代壁画から現代絵画、そして、“失われてしまった絵画”まで見ることが可能です。劣化しにくいことが特徴の陶器の板、陶板で作られているため、いつまでも再現したままを残すことができる、言い換えれば、いつ見ても画家が描いた当時に思いを馳せながら鑑賞できるというわけです。

 さらに記念撮影もOK! 好きな作品と一緒に写真を残すことができるほか、一部作品は触ることもできるそうです。

 では、その傑作全集から、ちょっとだけ作品をご紹介します。

 まずは、数々の話題を生む名作、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。修復前(左)と修復後(右)の作品を向かい合わせに展示しているので、単に惚れ惚れと眺めるだけでなく、修復の成果を見比べることもできます。


画像 修復前の状態を原寸大で見ることができるのはココだけ!

 続いては、ゴッホの「ヒマワリ」。2014年10月に美術館に仲間入りした新作です。ゴッホは花瓶に入った「ヒマワリ」を7点描いていますが、これは現存しない作品。かつて兵庫県芦屋市において、1945年の戦禍で焼失してしまったものの再現なのです。まさに幻のヒマワリですね。


画像 筆のタッチが特徴のゴッホ。絵の具の凹凸感を忠実に再現してあります

 フランスのオランジュリー美術館の代表作ともいえるモネの「大睡蓮」はこちら。「自然光でみてほしい」というモネの願いをかなえるべく、なんと屋外に展示! これも陶板だからできること。見応えのある展示に歓声の声が絶えないそうです。


画像 睡蓮が育つ池に囲まれた展示スペース。中央に置かれたイスに腰掛けてゆったりと観賞できます


画像 壁の内側一面に描かれた絵画は、季節や時間帯で見え方が変わるそう

 約25カ国、190余りの美術館にある名画が並び、ひとつの場所で世界の美術館を巡って鑑賞できます。時間もお金も省エネでき、本では味わえないダイナミックさを肌で感じられるのは大きな魅力ですね。

 さらに、展示方法にこだわりが! そのひとつは、環境空間ごと立体再現した展示室です。おいそれと現地に出かけることができない海外の礼拝堂や古代遺跡などを、日本にいながらにしてその場に行ったような迫力を体感することができるのです。


画像 賛美歌が聴こえてきそうな「イタリア・パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂」

 そして、地下3階から年代別に見ることができる系統展示や、時代に関係なくテーマに沿って展示しているコーナーもあります。


画像 地下3階の古代展示室。ここから西洋美術の変遷を見ることができます


画像 同じく地下3階には、厳かな雰囲気が漂う中世展示室も

 そして、イベントも常時開催。なかでも、テーマを設けて催されるイベントは、内容とネーミングの面白さで各メディアにもよく取り上げられています。

 現在は来年3月31日まで、“悪(ワル)”をテーマに「悪(ワル)の美術 アートもちょっとワルが魅力的」と題した催しを開催中です。どんな時代にも場面にも登場するワル。ストーリーを盛り上げる名脇役のワルにスポットを当てた作品が展示され、この期間だけのランチやスイーツ、グッズも用意しているそうです。


画像 魔女や悪魔、ちょこっとワルなキャラクターまで、興味深い絵画をご紹介!


画像 悪(ワル)をテーマにした「デビルパンケーキ」

 このほかにも、多数の企画を開催しているとのこと。大作を鑑賞したあとに、クスッと笑えるイベントで楽しむのもいいですよね。

 いかがでしたか? 見事なまでに完璧な内容で、訪れた人をトリコにしてしまう大塚国際美術館。ご紹介したのは、ほんの一部です。その全容は、みなさん自身の目で確かめてほしいと思います。

※写真は全て大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです。

大塚国際美術館

徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内

tel:088-687-3737



(茂木宏美/LOCOMO&COMO)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  4. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  5. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」