誰でも自由に触ってよし、演奏してもよし! 世界中の楽器が置かれるカフェに行ってきた

カフェのお客さん同士で突然セッションが始まることも。

» 2016年02月01日 09時00分 公開

 東京都文京区、昔ながらの個人商店も立ち並ぶ江戸川橋の地蔵通り商店街は昼間も夜も人々で賑わう人気のエリア。その一角にあるビルの前に「入りづらくないですよ。フツーのバーです」と黒板に書かれた文字を見つけた。しかも「楽器演奏、自由です!! ピアノ2台買っちゃいました」とある。“フツーのバー”のようだがピアノを2台買ったと、あえてコミュ二ケーションを発信しているところに何かありそうな雰囲気を察知し、店がある地下1階に降りてみた。


画像 ブラックボードに白い文字のみで書かれた率直な内容に興味津々


画像 名前は「GREEN AMY CAFÉ」。見たところ、いたってフツーだ

 店先には東南アジアの雰囲気をかもし出す小物や家具が置かれている。楽器と関係があるのか? そんな疑問を持ちつつ、中に入ってみると……。


画像画像 南国の楽園のようなムードだが……

 広めの店内にはゆったりと腰掛けられるソファがデンッと置かれ、テーブル席とカウンター席があった。そのまわりに例のピアノが。確かに演奏ができそうな空間だ。

画像画像 思ったより広々とした店内

 席についてぐるりと周囲を見渡すと、ワオ! 楽器がそこらじゅうにあるじゃないですか!


画像 本当にピアノが2台ある!


画像画像画像 ドラムや各種ギターがあちこちに


画像 「カホン」もある。しかも、イスとしても使用されているではないですか!

 思わず立ち上がり、楽器のそばに寄る。そして「この楽器は何ですか?」と問いかけると、オーナーは快く説明をしてくれた。並んでいる楽器は、ヨーロッパからアフリカ、中東、インドやバリに渡り、韓国、日本を経由して、オーストラリア、そして南米までと世界一周ができるほど、ワールドワイドな品ぞろえだ。唖然(あぜん)。


画像 各国の楽器が勢ぞろい! 並べていない楽器もまだ店の奥にあるそう

 さらにオーナーは、説明しながら楽器を手にして即興を披露。とてもリズミカルな心地いい演奏に、自然と拍手をしていた。


画像 こんな音が出るんだ……と、はじめて知ったアフリカのジャンベ

 興味はますます高まり、オーナーご自身に問う。オーナーである飯田さんは音大の作曲家コースを卒業し、自身もクラシックを中心とした演奏活動を行っているという。大学時代に音楽事務所を設立。ライブやショーなどにアーティストを派遣し、自身も出演することがあるそうだ。その傍で音楽教室を行い、もうひとつの新規事業として6年前にここをライブハウスにしようとした。つまり、アーティストたちが脚光を浴びる場をもっと増やそうという思いだった。


画像 「禁じられた遊び」をサラリと演奏。耳ざわりのいい音色が店内に響いた

 しかし、飯田さんは料理が得意だったこともあり、カフェに変更。所持品である楽器を店内に置き、自由に触れてよし、演奏してよしとして、音楽の楽しさを享受してもらう場所としたのだった。


画像 ランチで一番人気の「本日のアジアンカレー(780円)」は、ほうれん草やトマト、キーマ、ココナッツなどのカレーから、日替わりで2種類を組みあわせたカレープレート

 ところで、なぜアジアンカフェ? と聞くと、「民族楽器が好きだったから」とシンプルな答えが返ってきた。40〜50万円という高額な楽器も数多くラインアップする中、オブジェのように飾られていた楽器は東南アジアの民族楽器。自然の木の実や植物を使用した楽器まであった。これらも手にして、サクッと音を奏でてくれた。さすが!


画像画像 足首に巻きつけて鳴らす鈴の楽器。この鈴にあわせ、手ではパーカッションなどを叩いて、同時演奏するそうだ


画像 口にくわえた棒で背中をなでるとカエルの鳴き声がする「モーコック」。赤く小さいのはお土産でよく見かけるが、そのビッグバージョンは珍しい。鳴き声はウシガエルのよう

 これだけの楽器がそろうとなれば、セッションが自然と発生するのでは? 尋ねると、瞬く間にライブハウスと化す日もあるそうだ。


画像 以前、趣味程度に演奏していたという人の来店も多い。みなさん、懐かしさに楽器を手にして、演奏しはじめるという

 飯田さんは「楽器は演奏するためにあるものなので自由に弾いたり、叩いたりして楽しんでほしいんですね。それから、人がつながる場やミュージシャンが活躍できる場にしたいと思っています」と話す。そのため、音楽に限らず、さまざまなアーティストの個展なども随時開催しているそうだ。


画像 カウンターに座る女性は写真の個展を開く相談をしていた。その脇にもやはり楽器が

 店頭の黒板にあった文字に惹(ひ)かれ足を踏み入れたが、予想をはるかに超えるシチュエーションに驚かされたのはいうまでもない。数々の楽器、それらをすべて自由に使ってOKという、一風変ったコンセプトは音楽好きにはたまらないだろう。自分のアイデアを形にしたい――、そんな想いでさまざまな活動を繰り広げているオーナーのお店には、演奏を楽しむ以外にも違う楽しみも見いだせそうだ。

(茂木宏美/LOCOMO&COMO)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/17/news163.jpg 柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
  4. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. /nl/articles/2412/17/news049.jpg 「品数が凄い!!」 平愛梨、4児に作った晩ご飯に称賛 7品目のメニューに「豪華」「いつもすごいなぁ」【2024年の弁当・料理まとめ】
  7. /nl/articles/2412/17/news183.jpg 「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
  8. /nl/articles/2412/17/news144.jpg 「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】
  9. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  10. /nl/articles/2412/17/news033.jpg セリアのふきんに、糸で“ある模様”を縫っていくと…… 思わずため息がもれる完成形に「美しい」「やってみます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」