なぜ「全日本選抜剣道七段選手権大会」はクラウドファンディングでの資金調達に踏み切ったのか
お金では買えない「最高の舞台」。
大学生剣士の活躍や、昨年日本で開催された世界選手権大会で注目度が高まる剣道。クラウドファンディングサイト「READYFOR」で、「全日本選抜剣道七段選手権大会」開催のための支援を呼びかけたプロジェクトが、剣道ファンの間で話題となりました。
「全日本選抜剣道七段選手権大会」とは、全日本選手権大会、世界選手権大会、警察大会、教職員大会など、主要な大会で実績を持つ七段の選手から、より抜きの16人が円熟の技を発揮する貴重な機会。
2006年を最後に途絶えていましたが、月刊誌「剣道時代」500号刊行を記念して、同誌と神奈川県剣道連盟との共催で通称「横浜七段戦」として2014年に復活し、今回が3回目となります。
この大会、かつて「剣豪丸目蔵人顕彰全日本選抜剣道七段選手権大会」として熊本県錦町で開催されていたころから、神奈川県で復活した現在に至るまで、毎回選手の顔ぶれがとにかくすごい。例えば今回は、世界選手権団体優勝3回、全日本選手権2連覇、警察大会優勝4回の高鍋進(高ははしごだか)教士七段や、世界選手権団体優勝2回、全日本選手権優勝、警察大会優勝の寺本将司教士七段と木和田大起錬士七段など、輝かしい戦歴の剣士が結集。審判員も教士八段以上の高名な先生方が名を連ねています。
極め付きは、かつて兄弟で日本一のタイトルを争った宮崎正裕・史裕教士八段が、和装・日本刀で行う「日本剣道形」の公開演武。剣道ファンが歓喜の雄たけびを上げそうなメニューなのに、入場料は無料。三ツ星シェフの高級フレンチを、タダでお腹いっぱい食べられるのに等しいこの企画。入場料を取っても十分に集客できる内容なのに、なぜクラウドファンディング? という素朴な疑問を、月刊「剣道時代」編集長、小林伸郎さんにぶつけてみました。
―― この顔ぶれなら、入場料を取って開催できそうですが?
小林 現在会場となっている神奈川県立武道館は、一杯になってもせいぜい400人程度。一人2000円取ったとしても80万円にしかなりませんし、狭い会場の板敷きに座る皆さまからお金をいただくことは難しいと思います。数千人規模の会場で入場料を取るとしても、設営費や人件費がかかってしまう。規模を大きくすると続かないため、このような形となりました。
―― クラウドファンディングを活用した経緯は?
小林 大会の運営費は、神奈川県剣道連盟の支部連盟からの協賛金とスポンサー様からの広告費、DVDや雑誌の売り上げなどから捻出していますが、個人的にクラウドファンディングという方法があることは知っており、神奈川県剣道連盟とも相談の上、足りない部分を補うためにやってみようということになりました。
目標額100万円は達成でき、宣伝効果も大きかったと思います。次回もクラウドファンディングを活用する可能性はありますね。
同大会では、観客の静止画撮影はOKでしたが動画はNG。DVDの売上が貴重な大会の存続に関わる苦しい運営の現状は、ファンにもよく理解され支持されているようです。実際に現地で観戦して、ファンがダイレクトに開催を支える手作り感、臨場感を肌で感じられる大会だと実感できました。
「第一試合から決勝戦」のコンセプト通り、4つのリーグ戦はすべて「死の組」。実力も実績も伯仲した選手たちが繰り広げる熱戦は、例えばこんなシーンの連続でした。
小柄な鈴木選手のシルエットが、一瞬のうちに大柄な寺本選手の懐に吸い込まれるや、深々と胴を抜いたBリーグの一戦、まっすぐに安藤選手の喉元を突くお手本のような木和田選手の美技にどよめきが起こるCリーグの一戦。
そして高鍋選手対鈴木選手の決勝戦。延長の末、鈴木選手の面に対し一瞬速く小手を打ち切った高鍋選手が2連覇達成!
全日本選手権や世界選手権以上に、爽やかさすがすがしさが感じられた大会でしたが、小林さんは、「七段戦は、皆実績を持っている選手ばかり。勝ち負けにこだわることなく最高の技を発揮することを心がけているのだと思います」と話しています。
昼の部の始めに披露された「幼児剣道 湘南やまゆり学園 横浜あすか幼稚園」の公開演武では、100人もの園児たちが、指導者の指揮の下、太鼓のリズムに合わせて、雑巾掛けから素振りまで剣道稽古の形を演じる。最高峰の剣士の試合にも引けを取らないパフォーマンスでした。
今月末には、「剣道時代」から「横浜七段戦」特集号とDVDが発売されます。「見るコンテンツ」としても楽しい剣道の試合、塞いだ心も晴れ晴れとすること間違いなし、ですよ。
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