「1冊の本で人生が変わるように、1つのボードゲームで人生が変わったっていい」――1200万円以上集めた「7つの習慣」ボードゲームが生まれるまで
「月刊コロコロコミック」の205ページ目が全ての始まりでした。
クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」で1200万円以上を集めているプロジェクトがある。そのプロジェクトは、「『7つの習慣』のボードゲームをつくる」というもの。本では難しい「体験を持って学ぶ」ことを重視し、目標金額100万円に対し1200%達成している。
このボードゲームはスティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」を基に、他のプレイヤーとの駆け引きや、Win-Winをベースにした交渉術、場を読む力、主体性などの要素を多く取り入れたゲーム。「7つの習慣」を身に付けていなければ勝つことが難しく、実践的なスキルを身に付けられるゲームとして、多くの人が支援している。
しかし、このゲームを作った松永直樹さんは言う――「ぼくは、ゲームをつくることがつらい」。
松永さんは「ボードゲームソムリエ」の肩書きを持つ。ボードゲームソムリエとは松永さん自身が作った肩書きで「いろんな場所に行き、その場に合わせたボードゲームを提供する」のが仕事。「ワインソムリエがワインを作らないように、ボードゲームソムリエはボードゲームを作らない」(松永さん)。
彼が自らの手で作ることを拒んだのにはわけがあった。毎月30〜40個買ってはゲーム構造を頭にインプットして売却、これまで5000個以上のボードゲームを研究してきた松永さんは多くの作り手がいる中で「自分がゲームをつくるなんておこがましい」と価値を見出せなかった。さらに、ゲームをつくればボードゲームについて全く知識のない社内の人間からいろいろな人から容赦ないダメ出しがくることも知っていた。「こいつら、ゲームのこと知らないくせになんだよ」――ボードゲーム一筋でやってきた松永さんには、そんなプライドもあった。
松永さんがボードゲームと出会ったのは中学1年生のとき。おじいちゃんに買ってもらった「月刊コロコロコミック」の205ページ目にあったボードゲーム特集で「カルカソンヌ」に出会ったことがきっかけだった。
両親が学校の先生でゲームに厳しい環境にいた松永さんは、「ボードゲームなら親に怒られなさそう」と思ったそうだ。というのも、そのころ周りの人のほとんどがボードゲームというものを知らなかったため、プレイするためにはまず「このボードゲームがどれほど面白いか」を友だちにプレゼンテーションして家に呼ぶ必要があった。そして、そのゲームのルールを完全に理解し、友だちにそのルールを教えなければならなかった。
こうして12年目にして作ったのが「7つの習慣」ボードゲーム。ボードゲームソムリエとして活動する中でちょっとずつ付いた自信が、彼を「作り手」にした。「7つの習慣」はそんな松永さんの初めての作品だった。
松永さんが二十歳のとき、秋葉原で開催されたボードゲームのオフ会の途中に30〜40代くらいの男性がこんなことをつぶやいた――「ぼくは、なんでこれやってるんだろう?」。ボードゲームをすでに何十年もやっていて、家に何千個も持っていてる人がそうつぶやいていた彼の言葉が、松永さんのゲーム作りのポリシーになっている。
「1冊の本で人生が変わる人がいるように、1つのボードゲームで人生が変わることがあったっていいじゃないか」。松永さんは、世界中の知恵や未来につながるゲームをこれからも作っていきたいと話している。
(太田智美)
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