音楽の世界に「やりがい搾取」はあるか? 元プロサックス奏者にあれこれ聞いてみた(後編) (1/3)
プロの世界で見てきたこと。
「プロのミュージシャンは食えないってホント?」素朴すぎるこの疑問に答えてくれたのは、過去にプロのサックスプレイヤーとして活動しており、後にビジネスマンに転身した経歴を持つGさんです。
音楽に限らず、エンターテインメント&芸能の世界は貧富の差が激しいといいますか、成功者とそうでない者がくっきり分かれます。ミリオンセラーを出したら一生安泰なのか? 駅前で演奏していて著名プロデューサーに見初められてメジャーデビューってマンガの世界の話なのか?
今回もGさんに本音MAXで語っていただきました。
Gさんのプロフィール
活動期間は大学在学時代(4年)+卒業後(3年)の合計7年間。
ジャンルはジャズを中心に、いわゆるスタジオ系の仕事(ポップス等のレコーディングなど)や、その他サポートメンバーとしての活動に加え、民族音楽系の仕事なども数多く経験。「基本的には、ジャンルは選ばず(というか、少しでも仕事がほしかったので“選べず”)、あれこれやってました」(本人談)とのこと。
バンドってやっぱりカネと人間関係でもめるの?
G: 今は二足のわらじが履ける世の中です。仕事を別に持ちつつ、アマチュアとして続けられます。コツコツ練習は積んでおき、歳をとってから返り咲くようにデビューできることもありますしね。
――歳をとってからデビューって、演歌歌手の話では?
G: いやいや、アイドルとか若さがウリならまだしも、楽器系は年齢は比較的関係ありません。ジャズにも多いですよ。一度夢を諦めて、会社員やって、再挑戦してプロになるって人、少ないですけどいるにはいます。いい時代ですよね。
――意欲がある人を受け入れてくれる土壌があるって、いいですね。
G: 自分のアウトプットを記録できて、広く世の中に知らしめる方法がカンタンに手に入るのも大きいです。
――それだけの環境を与えられて、それでもなお売れないのであれば、諦めもつくような気がする。
G: フラットな評価がされる現代で、こんだけやってダメってことは、「本当に支持されていないんだな……」ってぐうの音も出ませんからね。
――演者以外の道で食ってく方法ってありますか。裏方的な仕事とか。
G: ありますよ。プラットフォームを作る側になってもいい。メーカーや音楽メディアだってある。PC1台で始められます。腕がそこそこ立つならインストラクターでもいい。プロを目指す人の橋渡しって考えればいくらでもあります。
――ソロとバンド、どっちが売れやすいってありますか。
G: バンドはもめます(笑)。人間関係とカネで確実にもめる。そこそこのレベルにあるとか、プロを目指すレベルであればあるほど。
――ソロはそういうもめ事はないですね。
G: かといって、だから売れる確率が高いかっていったらそんなことはない。売れないものは何をやってもダメ。
駅前演奏→メジャーデビュー……というシンデレラストーリー
――駅前で演奏していたら、著名プロデューサーに「君ィ、いいもの持っているね!」と名刺を渡され、アレヨアレヨという間にスターダムを駆け上がる的なシンデレラストーリーって本当にあるんですか。
G: なくはないです。実際にありますよ。ただ、昨今は道路の使用許可問題が厳しくって、なかなか駅前で演奏するのは難しくはなっていますが。
――昔はおおらかでしたよね。今でも五反田とか新宿の駅前で演奏している人を見かけることはありますが。
G: 僕も駅前で一度テレビのバラエティに「出てみない?」と声を掛けられたことがあります。
――おお!
G: サックス特集の番組で、プロを目指すタマゴを集めて……って番組にキャスティングされたわけですね。まあ、声を掛けられたのは後にも先にもあれだけでしたが……(笑)。
――シンデレラにはなれなかったんですね……。でも、さっき「なくはない」っておっしゃってましたよね。まれには起きている、と?
G: ジャズの世界でもありますね。屋外演奏してて声を掛けられて有名になった方は。
――ゲスいこと聞きますが、ああいう駅前でやってる人らって、引き抜きの声を掛けられたくて演奏しているんですかね?
G: たぶん違います。彼ら彼女らはとにかく演奏したいんです。自分の作品を人に聴かせたい。表現したくてたまらない。だからいても立っても居られず人通りの多い場所で演奏しているはず。
――「契約ほしいなー、有名プロデューサーどっかで見てくれていないかなー」って下心でやってるんじゃないんだ。
G: そういう打算でやっていたとしたら、そのミュージシャンはモノになりません。志が低すぎる(笑)。
――ですよね。それってダサい。
G: それに、本気で好きじゃないことでプロになれてもつらいだけですよ。情熱ってむちゃくちゃ大事。
――Gさんだって、死ぬほどサックスが好きだったからプロを目指したんでしょう?
G: それがですね……今も自問自答することがあるんです。「俺は本当にサックスが死ぬほど好きだったのか? 一生サックスだけで食っていく覚悟があったのか? サックスがなければ生きていけないってくらいの愛と情熱を注ぎ続けられたのか?」って。で、多分答えはNOだったんです。
――なんと。プロを目指していたけど、そういう葛藤もあったと。
G: アマチュアの自由って「やらない自由」ですからね。プロはいつ何時でもパーフェクトに演奏しなくちゃいけません。気分が乗らないとか、スランプでとか言い訳できない。
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