初めての同人誌(自分が主人公のBLモノ)を作ったら苦労の連続だった話
BLって何だかわかんないから自分を素材に作ってみた。
2017年11月18日にデイリーポータルZ主催の同人誌即売会「第二回ウェブメディアびっくりセール」が行われる。
この会はいろいろなWebメディアが集まって(個人ブロガーから日本経済新聞電子版まで!)手作りの同人誌を販売する。普段はWebで活動している人たちが、あえて紙の本を作って売ろうという試みだ。
僕も同人誌を作って参加することにした。本のタイトルは『BLって何だかわかんないから自分を素材に作ってみた』だ。
タイトルで全部説明してしまっているが、自分自身が登場するBL小説アンソロジーである。
僕はデイリーポータルZの連載ライターの1人だ。その僕が出演することで、この本はデイリーポータルZのBLになっている。なんでこんなことになったのか。
一度BLを理解してみたい
BLなんて興味がなくても、言葉はなんとなく耳に入ってくる。BL好きな人々はみな並々ならぬ情熱を持って、創作活動にいそしんでいるという。本屋でも取り扱いは大きい。
BLとは女性向けのストーリーということは分かっている。しかし、これだけ目に触れれば、興味が出てきてしまうのも無理はなかろう。
そこでウェブメディアびっくりセールである。同人誌といえば、二次創作やBLの主戦場なのではないだろうか(あまりよく知らないんだけれどそういう偏見がある)。
一度BLを理解してみたい。そのために、もう自分がBLの素材になるのが一番いい。そして自ら売ってみたい。……そう思ってしまったのだ。この一連の行動が前代未聞というのもいい。
幸いにも僕の知り合いにBL作家志望の人間がいる(男性である)。その人に小説の作成を頼んだところ、光の速さでOKの返事がきた。これでもう半分以上できたようなものである。
ついでに仲間を誘って合同誌にしようとしたら、予想以上に手が上がった。これはいけるぞ。
内容を紹介しよう
本書の目玉になるのは「dive to BLand new world」(村岸健太)3万1524字。全年齢向けのBL小説だ。
BLの素材として出演するのは僕と、デイリーポータルZのライターの1人である玉置さんだ。
以前、デイリーポータルZで「ヴィジュアル系バンドメイクに挑戦」という企画に参加させてもらった。BL小説はこの記事の創作後日談となっている。
「斎藤充博は、ヴィジュアル系にメイクした“ユタカ”の顔が忘れられない。しかし、自分では思いを伝えられずに悩むことになる。そこをデイリーポータルZ担当編集である古賀及子が目ざとく気付き、恋の後押しをする」というあらすじだ。
中身の一部である。全年齢向けということで、きわどい描写はないが、それが逆に生々しい。心理描写もとても巧みで、自分のことながら「こいつら本当にこういうことがあったんじゃないか……?」と思わせるような小説である。
妻のレビューもあるぞ
「揺らぐ列車」(斎藤詩織里)1487字
妻にも僕の出てくる小説を読んでもらった。読んだ直後の妻の表情は青ざめ、なにやら恐ろしいものを見るような目つきで僕を見るようになった。
小説を読んで、こんなに感情が動くなんてことはめったにないだろう。せっかくなのでその気持ちを、書評という形で書いてもらい、載せることにした。妻の書評が載っているBL本。前代未聞に前代未聞を重ねることになる。僕は満足だ。
デイリーポータルZ読者も見逃せない
「デイリーポータルZにおけるBLカップリングについて」(おおたかおる)1万1009字
人気サイトであるデイリーポータルZの中で、僕はあまり人気のないライターである。読者からすると「斎藤のBLなんて読みたくない。他のライターで読みたい」という声が当然上がってくると思われる。
小説はないのだが、デイリーポータルZライターのカップリング論を書いてもらった。書くのはデイリーポータルZのライターかつグズグズの腐女子、おおたかおるさんだ。
読ませてもらって驚いた。3年ほど前に、デイリーポータルZの飲み会でおおたさんが酔っぱらって主張していたカップリング論と全く同じだったのだ。ずっと前から温めていた思いがついにここで爆発している。きっと多くの読者からの共感を得られるのではないだろうか。
他にも内容盛りだくさん
「もしも○○○○と△△△がルームシェアをしていたら。」
デイリーポータルZライター、井口エリさんによる写真集。登場するのが誰かは当日まで秘密である。
「もしも赤ずきんが指圧師WEBライターだったら」
米田梅子さんによる四コママンガ。僕が主人公である。キャラ萌えの対象にされるとはこういうことなのか。絵がものすごく上手で恐縮することしきりである。
「その感情の正体」
くみこさんによるブロマンス(※)小説。これはデイリーポータルZではなくて「ハイエナズクラブ」というサイトの赤ソファさんが主人公だ。僕自身がハイエナズクラブの会員でもあるために、お願いできた内容である。
※ブロマンス:男性同士の精神的に深く親密な関係のこと。詳しくは各自調べてください
この小説にはインターネット上で女性人気の高いマンスーンさんも登場している。売れるかどうか大変不安なため、是非ともマンスーンファンにも買っていただきたい。
初めての同人誌作りは大変
作る前は楽勝だろうと思っていた同人誌作成だが、実際はかなり苦労した。ふだんWebのライターをしているが、本を作るのは全然勝手が違う。小説の原稿を受け取った後に、こんなにたくさんの作業が発生するなんて思ってもみなかった。
- テキストファイルを受け取る
- テキストファイルをWordで縦書きの形式にする
- Wordの機能でPDFファイルに変換する
- PDFファイルをPSDファイルに変換する
- トンボを見ながら印刷レイアウトの調整
- PSDファイルにページ数を打つ
- ファイルをページ順にリネーム
これ、全部手作業だ。パソコン上でやっているのに“手作業”という言葉を使うのはおかしいが、感覚としては完全に手作業である。
全てが終わった今では分かるのだが、作業として遠回りとしている思う。しかも、変換に必要なソフトを全員が持っていないというのが災いした。その都度、変換ができるソフトを持っている人に頼んでいるのだ。
どこかでミスが生じ、その1つ前のファイル形式に戻したいときには、またファイルを転送してお願いし直すことになる。
僕が手順を全く理解していないために、何度も差し戻しになってしまった。無間地獄のように感じられたが、世の中のプロジェクトで「リーダーが実務を全然理解していない」というのはよく聞く話だ。意外とありふれた地獄なのかもしれない。
結局、原稿がみんなから集まって印刷所に納品するまでに、2カ月近くかかってしまった。僕の進行で褒められるところがあるとしたら「2カ月遅延してもプロジェクトになんの支障もないほど早めに取り掛かった」ことだと思う。実際は参加してくれるみんなに「早く原稿を出せ!」とカンカン言っていただけだが。みんなよくキレずに対応してくれた。
印刷所に入稿してからも「ここなんかおかしくないですか? 修正した方が良いのではないでしょうか?」と印刷所から電話がかかってくる。こちらとしては完璧な物を入稿したつもりだったので、かなりショックだった。最終的に3度ほど修正ファイルをやりとりし、やがて電話はかかってこなくなった。
買ってください
作ったはいいが、この本を読みたい人が本当にいるのか、さっぱり分からない。もう買ってくれと頼むしかない。内容は面白いのだ。問題は僕が主人公になってしまっているという点だけである。
11月18日はウェブメディアびっくりセールに来てほしい。もちろん僕が心を込めて手売りする。
第二回ウェブメディアびっくりセール
- 2017/11/18(土) 12:00〜17:00
- 大田区産業プラザPio 小展示ホール
(京急蒲田駅徒歩2分、JR蒲田駅徒歩15分)
- 入場無料
- 公共の交通機関を使ってお越しください
- 千円札や小銭の準備おねがいします
必ず手に入れたいという人のために、下記のページから予約フォームも用意している。今のところ思ったほどの予約が入っていない。予約無しで買えるかもしれない。
それにしても、ここにきてようやく「おれ一体なにやっているんだろう?」と思うようになってきた。
- 自分が主人公のBL小説を作っています(ふしぎブログ)
関連記事
- 「16×4は?」「68−4だから64」 小学1年生の掛け算の計算方法が斬新だと話題に
発想が見事。 - 「カニミソ」はカニの何なのか?
カニミソって何だ? 脳ミソか? 僕は何を食べようとしているのだ? - 漢字の「一」「二」「三」の次がいきなり「四」になるのはなぜなのか?
なんで横棒4本じゃないの? - 【マンガ】リュックについている「ブタの鼻」の正体は?
「ブタ鼻」でいいよ、もう。 - 1ヶ月の「ヶ」は小さな「ケ」ではなかった?
まぎらわしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
-
ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
-
夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
-
ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
-
妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
-
人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
-
「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
-
「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
-
160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
-
「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
- イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
- 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
- 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
- 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
- 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
- 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた