三省堂「今年の新語2017」、「忖度」が大賞に 上位に「インフルエンサー」「パワーワード」など
女学生の間で流行した「卍」も、選外ながら講評に挙がっています。
三省堂の「今年の新語2017」で、大賞に「忖度(そんたく)」が選ばれました。「ユーキャン新語・流行語大賞」(関連記事)に続く選出で、すっかり2017年を代表する新語に。
一般公募により集まった、1072語からの選出(投稿総数2452通)。「忖度」は主に「相手の気持ちを推測すること」を意味し、本来は堅い文章語として用いられる言葉ですが、森友学園問題に関する国会での議論を機に、一般にも広まりました。
選考委員は選評で、近年「有力者に気に入られるための推測」という意味で使われる例が目立つようになったと指摘。また、従来は「母の心中を忖度する」といった使い方が一般的でしたが、「忖度が働く」「忖度がはびこる」のように「忖度」を主語にした新しい形のフレーズも生まれました。こうした意味合いや文法面の変化に加え、日常語として認知された点が、大賞を与えるにふさわしいとしています。
「忖度」の存在感があまりにも大きく、他候補には特に突出した言葉がなかったとのこと。そんななか、2位の「インフルエンサー」や3位の「パワーワード」など、SNSを中心に広まったと考えられる言葉が「上位に来るのが順当」とされています。
4位の「○○ロス」は、既に三省堂の国語辞典で「ペットロス」を例に掲載されている言葉。しかし近年は人気ドラマ「あまちゃん」の終了後における「あまロス」など、喪失感を示す造語を生産する力を獲得し始めたとして評価されています。また、6位の「草」は、「www」のような「(笑)」の言い換えが長年使われるうちに一般化して「草」に転じ、「草生える」という成句のようなものまで生まれた歴史がたたえられました。
女子中高生に流行している「卍」は最後まで議論の対象になりながら、惜しくも選外に。基本的に「マジ」の強調形としてみられながらも、「ヤンキーな彼氏」を「卍な彼氏」と表現するなど多様な意味や用法があり、形が固まり切っていない現状では辞書に載せられないのが理由とされています。
なお、最も投稿数の多かった言葉は、「忖度」と同じく流行語大賞に選ばれた「インスタ映え」でしたが、選外にもれました。辞書的には「インスタ(グラム)」と「映え」の項目があれば説明が可能というのが、主な理由だそうです。
(沓澤真二)
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