あの「進研ゼミマンガ」はどうやって作られているのか? 「女子向けは精神年齢高めに」「語り継がれる伝説の名作がある」など秘密を聞いた(4/4 ページ)
このマンガの最後のコマ、好きな子の手を取って歩き出すんですが、ちょっと変な手の取り方ですよね?(笑) 作った本人に聞いたところ、実体験に基づいて、「こんな青春を送りたかった」という気持ちを込めているんだそうです。
――うまくいった成功体験が少なかった人のほうが、お話を作りやすそうな気もしますね。
人生そんなに楽はないと言いますか、うまくいかないこともあるので。少なくとも勉強ぐらいだったら、進研ゼミが応援するよと。
実際の「名前ランキング」を参考に登場人物の名を決める
――登場人物の名前はどうやって決めていますか?
まずは「よくある名前」です。その年に生まれた名前ランキングなどを参考にしますね。あとはDMの企画に合わせて。夏だから、「海」という漢字を入れたりとか、「勇気なのに勇気がない」っていうネタを入れたいだけで「勇気くん」と付けたりとか。最近の子だと「翔」や「太陽」など、格好いい、オシャレな名前も増えてきていますね。
1ページ目からフラれる作品も 進化するゼミマンガ
――反響の大きかったものは?
空手部の少年が登場するマンガで、見開きを全面使って、空中とびひざげりを決めた作品などです。
――鈴木さんの中で、今までで「これオレ攻めたな」という作品はありますか?
例えば「最初にいきなりフラれる」こちらの作品でしょうか。1ページ目でいかにつかめるかですから。
――革命的だったのが、あの「ズッコケ三人組」が、イケメンになって登場するという……。
そう、他作品とコラボするなど、こんな風に設定から違いを出している作品もあるんですよ。ズッコケは小学生向けですが、特に高校生は他にもいろいろなマンガを読んでいて、マンネリを感じやすいので、ちょっとヒネることも多いですね。
マンガは「やる気」をつくる
――受験の学年と、それ以外の学年では内容的な違いはありますか?
受験を控えた学年は切羽詰まっているので、気持ちに寄り添うだけではなく、学習のノウハウの部分をより多く表現しています。「合格シーン」を強烈に出すとか。受験シーンがあると、ゴールが分かりやすく見せられるんです。
――マンガの反応は確認しますか?
はい。電話調査で子どもの反応を聞いたり。そこで「すごく面白かった」と励まされたりもします。Twitterで話題になっているのも、拝見しますね。
――どのマンガから進研ゼミに申し込んだかは、分かるんですか?
どのDMから入会しているのかは分かります。「このマンガが効いた」というのも分かりますね。
――マンガがあることによって、開封率の上がり方もすごいですよね?
上がると思いますね。マンガを楽しみにしている子、特に中学生とか。空けるのと同時に、気持ちが盛り上がって「やろう」と思ってくれることを狙っています。マンガの役割は、大人の自己啓発本に近いかも知れません。
――ただ、入会するとDMマンガが届かなくなるそうですが……。
まれに「マンガが届かなくなっちゃうから、進研ゼミに入会しない」という子もいるんです。ただ「入会した後に、きっかけとなったマンガを見るともう一回やる気になる」という声をもらうとうれしいですね。
「DMマンガ展覧会」の夢
――単行本化の予定などはありますか?
広報 さすがにないのですが……いつか展覧会などができたらおもしろいですね(笑)。そうすると、時代背景も分かるかも知れません。昔のマンガには、兄弟がたくさんいて、お母さんの手伝いをしながら弟や妹の面倒を見ているから、塾とかに行くヒマがない……そんな子が出てきます。でも今はそのような家は少ないから、時代を感じますよ。
――悩みの質も変わってきているということですね。
「たとえ進研ゼミに入ってくれなくても、何かが残ってほしい」
――それでは最後に、鈴木さんにとって進研ゼミのDMとは何ですか?
「DMは私から子どもへの、応援の手紙」です。
一般的にはDMマンガは「進研ゼミの教材に興味を持ってもらうきっかけ」ですが、DMを送っても全員が進研ゼミに入会するわけではありません。なので、残念ながら今回入会してもらえなかった方にとっても価値のあるもの、私たちのスタンスを好きになってもらうものでありたいです。
「頑張ろう!」と思えるようなモチベートのシーンと、マンガ後半での子どもの心の成長シーンはそういった思いから描いています。たとえ子どもが進研ゼミをやってもやらなくても、何か大切なことに気付き、前を向いて生きていければ十分と思ってますし、そんな純粋な気持ちで作るDMのほうが、結果が出るものだと感じています。
心を動かす“販促ツール”
DMマンガは販促ツールです。それであるとともに、かつて子どもだった大人たちが思いを込めて作ったもの。
一見「似たような作品ばかり」という印象もあるゼミマンガですが、話を聞いた上で読み返すと、その節々には担当者の作家性と人生観が随所に詰め込まれていることに気付きます。
「最後に努力は勝つ」を教えてくれる進研ゼミマンガ。そればかりではうまくいかない大人になった今でも、そのちょっと過剰なくらいの熱さは僕らの潜在意識に残り、背中をほんの少し押してくれている気がします。
(辰井裕紀)
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