廃線間近で大騒ぎ! どうして三江線は廃止されるの?月刊乗り鉄話題(2018年3月版)(1/4 ページ)

時代に乗り遅れた「陰陽連絡線」、JR三江線を振り返る光と陰のお話。【三江線秘蔵フォトも20点】

» 2018年03月14日 09時50分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

 鉄道会社の列車の運行情報は、さまざまな理由で列車の遅れを知らせています。災害や事故、乗客トラブルなどですね。しかし2018年3月14日現在、JR西日本の列車運行情報に珍しい内容が記されています。

三江線 廃線 JR西日本 ラストラン JR西日本・列車運行情報(2018年3月12日閲覧)

三江線では、3月31日の最終運転に向け、多くのお客様のご利用が予想されるため、列車によってはご乗車いただけない場合もございます。あらかじめご了承ください。

 「混雑するから乗れないかもしれません」という告知です。JR西日本の三江線はもともと乗客が少なく、ふだんは1両のディーゼルカーが走るだけ。運行本数も車両数も少ない路線です。しかし、急増した乗客数に対応しきれないほど混雑しているようです。

三江線 廃線 JR西日本 ラストラン JR三江線を走るディーゼルカー(2012年筆者撮影)
三江線 廃線 JR西日本 ラストラン 江の川に沿う、三江線の美しい車窓(2012年筆者撮影)

 JR西日本の三江線は、日本海沿岸の江津(ごうつ)という街と、中国山地の三次(みよし)という街を結ぶ単線非電化の路線です。その距離は108.1キロ。険しい山間部と、江の川(ごうのかわ)という一級河川に沿い、車窓の美しさに定評があります。

 しかし、三江線がにぎわっている理由は景色だけではありません。この路線は今月いっぱい(2018年3月31日)で廃止になってしまうからです(関連記事)。最後に乗っておきたいという鉄道ファンや、廃止の報道で関心が高まり、景色の良さを体感したい観光客が訪れているというわけです。

三江線 廃線 JR西日本 ラストラン 三江線の位置(国土地理院地図を加工)

 「お客さんが多いならば増発すればいいのに」と思います。三江線は、もともと乗客が少なく、車両の数も限られている路線です。近隣の路線から車両を借りていますが、ホームの長さや列車交換設備の都合で2両編成が限界だそうです。すれ違いができる駅も少ないため、全線直通列車は下り2本、上り1本でした。区間運転の列車を乗り継いでも、乗り通すチャンスは上下とも3便しかないのです。

三江線 廃線 JR西日本 ラストラン 三江線下り列車時刻表(市販の時刻表を元に、列車ダイヤ作成ソフト「OuDia」で筆者作成)
三江線 廃線 JR西日本 ラストラン 三江線上り列車時刻表(市販の時刻表を元に、列車ダイヤ作成ソフト「OuDia」で筆者作成)
三江線 廃線 JR西日本 ラストラン 三江線の列車ダイヤ 縦軸が駅、横軸が時刻、列車の動きをナナメの線で示している(列車ダイヤ作成ソフト「OuDia」で筆者作成)

 なお、JR西日本は3月17日のダイヤ改正で、下りの直通列車を1本増やし、上りも直通列車を2本増やします。また、下り1本は山陰本線の益田駅から直通し、上り1本は山陰本線の浜田まで直通します。そのぶん区間運転はなくなりますが、春休み期間中を含む廃線までの約2週間は「三江線お別れ乗車」に配慮したダイヤになります。

 そもそも、三江線はなぜ廃止になってしまうのでしょうか。

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