また海底で発見 軽巡「ヘレナ」の武勲と黒歴史、軽巡洋艦なのになぜこんなに「でかかった」のか:キャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ(1/2 ページ)
米海軍の那珂ちゃん。
ポール・アレンさんがまたやってくれました。先日紹介した米軽巡洋艦「ジュノー」(関連記事)に続いて、米海軍の軽巡洋艦「ヘレナ(CL-50)」を2018年3月末にソロモン諸島北部にあるニュージョージア島沖の水深860メートルの海底で発見しました。
アレン氏の調査チームは、調査船「R/V Petrel」の機材で撮影した57秒の動画と10枚の静止画を公開しています。この動画をじっくり見ると、船尾舷側に「50」の文字を確認できます(25秒付近)。ヘレナの艦番号は「CL-50」。米海軍50番目の軽巡洋艦を意味します。また公開された静止画では、ヘレナの主砲である「15.5センチ三連装砲塔」が砲身も含めてほぼ完全な姿で残っており、さらに後部射撃指揮装置の銘板や射撃方位盤の支柱(推測ながら、内部配置も見えているかも)、20ミリエリコン対空機銃、マストなどの装備も確認できます。
ヘレナは軽巡洋艦なのに、なぜ重巡洋艦クラスまで「でかかった」のか
日本で軽巡洋艦というと、煙突が3本または4本ある、見た目ちょっと古めの「5500トン型」をイメージするかもしれません。この5500トンとは船の重さを表します。正しくは「常備排水量」といいます。ところがヘレナは、重さ、正しくは基準排水量が1万トンもありました。日本でいうところの重巡洋艦クラスの重さ。まぁでかいということですね。でも、なぜ軽巡洋艦なのにこんなにでかかったのか。これには「ロンドン海軍軍縮条約」が関わっています。
ロンドン海軍軍縮条約とは、超ざっくりと説明すると「脇役の巡洋艦や駆逐艦、潜水艦の持てる“量”を、それぞれの国ごとに決めます!」という約束です。「隻数」ではなくて、「重さの総量」なのですね。ちなみに、主役の戦艦や空母についてはその前の「ワシントン海軍軍縮条約」(関連記事)で決めていました。
なお、ワシントン海軍軍縮条約では巡洋艦の重さについても「基準排水量で1万トン以内だよ!」と決まっておりました。ロンドン海軍軍縮条約ではさらに主砲の大きさも、「主砲が20センチ(8インチ)までならば重巡洋艦ね」「15.5センチ(6.1インチ)までならば軽巡洋艦ね」と定めた上で、それぞれで「国ごとに持てる重さの総量」が決められたのでした。
しかしその時点で米海軍と日本海軍は、既に持っていた重巡洋艦だけでロンドン海軍軍縮条約で定まった上限に達していました。これは困ります。そこで彼らは、しばらく新しい船を作る予定のない軽巡洋艦の枠に目を付けたのでした。「主砲が口径15.5センチまでならば、基準排水量1万トンあっても軽巡洋艦だよな。そうだよな」。そういう抜け穴探し的解釈で米海軍は1万トンの船体に15.2センチ主砲を15門“も”乗せたブルックリン級7隻と、準同型艦のセントルイス級2隻を建造します。ヘレナはセントルイス級の2番艦として1939年9月に就役しました。
同様に日本海軍で登場したのが「最上型(もがみがた)」の4隻です(関連記事)。こちらも基準排水量1万1200トンの船体に15.5センチ主砲を15門載せていました。ただ、最上型はロンドン海軍軍縮条約が無効になった時点で大きな20.3センチ主砲10門に交換しますが、ヘレナをはじめとするブルックリン級とセントルイス級の9隻は15.2センチ主砲のまま第二次世界大戦に突入します。
15.2センチ主砲は口径が小さいために、射程と装甲貫徹力は20センチクラス主砲の重巡洋艦に劣ります。しかし門数が多く、発射速度が速いことから、時間当たりの砲弾投射重量が多く、また備えている装甲が重巡より厚かったことから、実質は重巡並みの能力を持っていました。
蛇足ですが、太平洋戦争で起きた海戦を調べて米海軍の参加兵力に「重巡2、軽巡3」とあったとしても、実質的は「重巡5」に相当することになります。戦力比較では注意が必要ですね(ただしアトランタ級軽巡洋艦は別ですが)。
関連記事
- 艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「那珂」編
普段はムスッとしている私ですが、この船だけは、自然と「那珂ちゃ〜ん」と呼んでいます。 - 悲劇の巡洋艦「ジュノー」、就役後1年しないうちに沈んでしまったそれは不幸な軍艦
ポール・アレンさんがまた海底で発見、「ジュノー」はどんな軍艦だったのでしょう。【修正】 - 深さ3200メートルの海底で発見 「レキシントン」はこんなすごい船だった
最初は空母ではなく「巡洋戦艦」でした。 - ぬぉぉぉ、何だこのトンネルは! あの「氷川丸」の非公開エリアへ潜入、実はこんなにスゴい船だった
ワレ 氷川丸 ノ ドン底 ニ 潜入 セリ。モトヨリ 生還 ヲ 期セズ。【写真170枚超】 - 艦これ提督のためのウォーゲーム要務令「アイアンボトムサウンドIII」
川内! 喜べ! これがあれば、いつでも激しく夜戦できるぞ! - 駆逐艦「島風」発見の報告 ポール・アレン氏率いる調査チームが映像を公開
戦艦「山城」「扶桑」、駆逐艦「満潮」「朝雲」「山雲」など発見が続く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
-
「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
-
「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
-
餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
-
毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
-
「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
-
放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
-
脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
-
父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
- 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
- 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
- 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
- コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
- 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」