ねぇねぇ、みんなの二次元の初恋って誰だった? 「ヲタクに恋は難しい」11話(1/2 ページ)

【ネタバレあり】成海さん、いい恋してますね。

» 2018年06月22日 01時50分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ヲタクに恋は難しい (C)ふじた/一迅社

 趣味人には好きなものがたくさんある。それが足を引っ張ることもあれば、趣味人だから人とつながるものもある。

 「ヲタクに恋は難しい」は、好きなものがある人間たちの、恋なのかなんなのかわからないモヤっとした感情を描いたラブコメディ。ヲタクのみならず、いろんな若い人の背中を押してくれます。


ヲタクに恋は難しい


大きな一歩、成海のケース

 ゲーマーの二藤宏嵩と、隠れBL同人作家桃瀬成海は、幼馴染。付き合い始めたきっかけは、お互いのヲタク趣味を隠さなくていいから、というものでした。最初のうちは友達感覚だったものの、一緒にいる時間が増えていくうちに、恋人らしくするってどういうことなのかで、迷い始めます。

 いつもは宏嵩についていって、彼の家で遊んでいる関係の2人。今回は「1人でアポなしで遊びに行く」という、成海的に大きな一歩を踏み出そうとしています。


ヲタクに恋は難しい ゲーマーはガチ遊びする時、とりあえず家にはいる(4巻)

 家にいるのは確認済み。まあいなくてもいいかな、くらい。ただアポなしとはいえ「迷惑そうなら早めに帰ろう…」という思考は、どうにもちょっと寂しい。「連休の使い方はヲタクそれぞれだし…」

 ヲタクといえども趣味が違えば、時間の使い方はまるで別物。「のめりこむ心理」がわかっているからこそ、気を使ってしまう。

 恋人的には「来てくれてうれしい」と言ってほしいもの。でも成海は、邪魔って言われたらどうしようと不安ばかり募る。視聴者視点だと、宏嵩は顔に出さず喜ぶと思うけどねー。

 成海はコミュニケーション能力が非常に高い子で、会社のいろんな人に好かれています。けれども宏嵩に対してだけは、どうも気を使ってしまう。気を使わないで済むから付き合ったはずなのに。

 彼女の心が「ヲタク友達」から「恋愛」にステップアップした証です。そこからまた気を使わなくなるようになるには、もう1ステップ必要かも。


ヲタクに恋は難しい てえてえ……(4巻)

 家では宏嵩はゲームやりすぎでダウン。成海が彼の世話をドタバタする羽目になりました、というオチ。「不眠不休でゲームなんてやらないでしょフツー!」と成海はキレてましたが、いや、やるよフツー。

 にしても、付き合っているのを全部知っている先輩たちに対してでも、「自分の意思で彼の家に遊びに行った」と知られるのが恥ずかしい成海。すっかり恋する乙女じゃないですか。遊園地回あたりからの恋愛加速度っぷりが半端じゃない。

 この2人、キスしたの最初の一回だけなんじゃないかってくらいにウブ。成海と宏嵩の場合は背伸びせず、考えすぎずに、自分たちのペースでいることが、うまくいくコツのようです。

大きな一歩、樺倉のケース

 一方樺倉太郎小柳花子のカップル。小柳は大のBL好きで、BLソムリエ成海に勧められて本を買いあさっているところ。

 樺倉もそこそこマンガを読んではいるものの、BLのよさは全くわからない。

 「BLねー…男同士でなんでそんなふうに考えるんだか…フツーに男女の恋愛ものでいいじゃん」

 なんてことを言うんだ……! まあでも、そう考える人はいますわな(なお本人は百合は好きらしい)。


ヲタクに恋は難しい つらい会話だ(4巻)

 一見樺倉が頑固すぎる上にBLに偏見持ちすぎなように見えますが、そうじゃない。彼は生真面目なだけです。相手が大好きなものを、うわべで「好きだよ」と言えない。作品への向き合い方が真摯。

 自分の趣味を隠さず共有する楽しみを知りやすい時代です。ネットで趣味仲間をすぐ見つけて「いいよねー!」と言えるし、布教したりされたりも簡単。

 共有ありきで楽しむ人の代表が、成海。宏嵩がゲーム以外にあんまりこだわりがないため、成海の「好き」語りの熱量をすんなり受け止められる、いいあんばいの関係です。

 小柳「アンタの好き嫌いが強いのは『好き』って言葉を軽い気持ちで使えないからでしょ?」「だから地雷も多くてネサフもできないし 人と楽しさを共有するんじゃなく 1人でしっぽり浸りたいタイプってわかってるけど」

 この小柳の評価は、樺倉のキャラクター性を非常によく表現した一文です。好きなマンガを買ったりアニメを録画したりして、1人でじっくり楽しむ。誰かと共有しなくても満足できるので、樺倉が他のメンバーにヲタク話をしたがっているシーンはほぼありません。


ヲタクに恋は難しい 小柳さんも、寂しかったんだよ(4巻)

 ここまでの話は「ヲタク」趣味嗜好の話。恋人と一緒にいる時間の中で、より大事なものを考えた結果、樺倉は小柳の「共感したい」気持ちを優先しました。

 まあ、そのあとめっちゃハマるんですけどね。心底まっすぐで素直で不器用な人です。

ヲタクたちの初恋


ヲタクに恋は難しい こういう話はみんな大好物(4巻)

 初恋の話になった4人。こういうのは大体成海のせい。もっともリアルな初恋の話よりも、二次元の初恋の話の方が盛り上がるのが、ヲタクのサガです。

 ただこの4人の中でも、宏嵩と成海は幼馴染だったというのを忘れてはいけない。一時疎遠だったとはいえ、お互いの子供時代を知っている関係です。うかつなことは言えない。


ヲタクに恋は難しい 察しろ(4巻)

 この作品は幼いときに好きだった女の子と再開し、初恋をかなえて、付き合い始めた不器用な青年の物語だと考えると、胸キュン度合いが加速します。改めて全編宏嵩目線で見直すと、「実はこのとき宏嵩の心中は…」というニヤニヤなシーンが多いです。

 「ヲタクに恋は難しい」は、ディープな趣味を持っていることが、生活や人間関係に影響を与えていることも描いています。しかしゲームやBLや萌えやコスプレが、少なくとも2つのカップルの間ではマイナスに作用はしていません。みんな人生楽しそうです。だから恋人付き合いの中でも、過干渉せず適切な距離感を保ち、うまく幸せになっています。

 アニメ4話「ヲタクだから 楽だから そんな理由で一緒にいるんじゃなくて 好きなことしてるときの成海が大好きなので」という宏嵩のセリフ。もし成海が洋服が好きだったとしても、旅行が好きだったとしても、やっぱり宏嵩は成海を好きになっていたに違いない。

 原作コミック5巻以降、大きな事件はあまり起こらないけれども、ちょっとずつ前に進む様子を見ることができます。

 特に宏嵩がどんどん自主的に成長しようとしていきます。ぜひ追ってみて、応援してあげてください。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」