東京医科大、女子受験者を一律減点か 「女性差別」「男性にも失礼」の声 広報「報道についてはコメントできない」
東京医科大の広報担当者に事実を確認しました。
読売新聞社は8月2日、東京医科大学が女子受験者の得点を一律減点し、合格者数を抑えていたと報じました。異例の操作に、Twitterトレンドの上位が「東京医大」「一律減点」「女子受験者」といった関連ワードが占めるなど、ネット上では大きな話題となっています。
読売新聞によると、女子受験者に対して不利になるこの措置は受験者側には説明されずに、2011年ごろから行われていたとのこと。東京医科大を巡っては、私大支援事業の対象校になることの謝礼として文部科学省の家族を“裏口入学”させた疑いがかけられており、東京地検特捜部による捜査が進められています。今回の点数操作は、その捜査の過程で発覚したものといいます。
日本の女性医師の割合は19.7%(2012年時点、厚生労働省調査)。若年層における女性医師数や、医学部入学者に占める女性の割合は増加傾向にあるものの、OECD加盟国の平均である41.5%(2011年時点)を大きく下回っています。
ネット上では、「女性差別である」「教育機関の平等性への信頼が揺らいだ」「点数を操作されて落ちた女子受験生に受験料を返還してほしい」「東京医科大の男性受験者に対しても失礼な話」などの声が。また医療関係者や医大受験経験者からは「東京医科大に限ったことではなく、医大全体でみられること」「受験時に『女子は不利』と指導された」との指摘もありました。
同大の広報担当者はねとらぼの取材に対し、「7月から内部調査を進めていて、8月上旬に調査報告書の提出を受ける予定。そのため、報道に関してはコメントできません」と回答。調査報告書の結果に関する公表や会見予定は、「提出を受けてからの検討になります」といいます。また、今回の報道についてプレスリリースなどを出すかどうかは未定と答えました。
背景に「女性医師の離職」
なぜこのような操作が行われたのでしょうか。同紙によれば、同大出身の女性医師が結婚や出産で離職すれば、系列病院の医師が不足する恐れがあったからだといいます。
厚生労働省の調査では、女性医師の就業率は医学部卒業後年が経つにつれて減少する傾向があり、卒業後11年(およそ36歳)で76.0%の最低となったあと、再び就業率が回復しています。一方で男性医師は55歳ころまで約9割を推移し、女性のようなM字カーブが見られません。女性医師の休職・離職理由のトップは「出産」(70.0%)。「子育て」(38.3%)、「自分の病気療養」(14.5%)、「夫の転勤に伴う」(10.8%)と続いています。
また、従事する診療科にも偏りがあり、皮膚科、小児科、眼科、産婦人科では女性医師の割合は高くなるものの、外科や脳神経外科などでは非常に低くなるのが現状です。このことから、「女性医師が現場に増えると現場が回らなくなる」という危惧もされていますが、「だからといって合格者を減らすのは本末転倒」「出産・育児を経ても働きやすい環境づくりが必要とされている」といった反対意見が交わされています。
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