「数億円規模の持ち逃げ」「スルガ銀行保証の安心感で契約」 第二の“かぼちゃの馬車”、「ガヤルド事件」被害者が語る衝撃契約の実態スルガ銀行不正融資事件シリーズ(前編)(3/3 ページ)

» 2018年08月20日 12時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

――状況を教えてください。

Cさん証券会社で勤務していると株を買えないということから同僚に不動産投資を勧められ、ガヤルドの物件を契約しました。将来独立してIT系の企業を立ち上げたいという夢があるので、そのバックアップになればと考えていました。

――同僚からはどういう説明を受けていましたか。

Cさんサブリースがあるから安心だと聞いていました。同僚から紹介された販売会社Xの担当者からは、練馬区にデザイナーズマンションを建てるという説明を受け、利回り7.58%で契約することになりました。

――契約等で問題はありませんでしたか。

Cさん弁護士に相談したりして後から分かったことですが、契約書の中には、重要事項説明書があり、これは宅地建物取引士が説明を行わなくてはならないそうです。しかし私の契約時には、ガヤルドのYさん、X社の担当者2人、スルガ銀行川崎支店のO氏しか同席しておらず、重要事項説明書に名前が書いてある宅地建物取引士は同席していませんでした(※)。

(※)編集部注:編集部がX社に確認したところ、当時ガヤルドから「ガヤルドで用意していた宅建士が行けなくなったので、X社で宅建士を用意してほしい」という連絡があり、当日は契約書にサインをした宅建士と別の宅建士(X社の社員で宅建の資格保有者)が立ち会ったとのことです。

――編集部が東京都(※)に確認したところ、重要事項説明書は「(サインをした)宅地建物取引士が取引士証を提示した上で説明しなくてはならない」ということで、もし違反すれば最大で業務停止相当になりうることもあるとのことでした。これをガヤルドや販売会社、スルガ銀行が黙認していたということでしょうか。

(※)東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課指導相談担当

Cさん私の記憶ではそうです。その後も、登記された物件の住所と契約書の住所が違ったり、聞いていた場所と違う場所で建物の工事が行われていたりということが、全ての契約が済んでから発覚しました。その確認を行っているさなかにガヤルドから支払停止の通知が送られてきたんです。

――そうした状況にスルガ銀行はなんと言っていましたか。

Cさんスルガ銀行川崎支店のSさんとその上司は「スルガ銀行とガヤルドは無関係」と繰り返すばかりでした。またサブリースがストップしたことで、X社から紹介されたスルガ銀行の審査部門のYさんにも「金利を下げられないか」など相談しましたが、「銀行の立場は貸すことで、Cさんの仕事は返すこと。ガヤルドとスルガは関係がない。Cさんは他にも資産や口座にお金があるはずなので返せるのでは?」と言われ、まともに取り合ってもらえませんでした。

――その後、独自に調査を行われたそうですね。

Cさんまず、土地と建物の関係について調べました。私が調べた限り、契約した土地は評価額が6500万円程度です。しかし契約時には約1億円となっています。これについてスルガ銀行川崎支店のSさんに「明らかな詐欺では」と尋ねたら「建物が建ったら価値が上がるので詐欺ではないです」と話していました。しかし建物が完成していない状況なのに、これから価値が上がるとは思えません。

――建物についてはいかがでしょうか。

Cさんガヤルドが作った完成予想図ではデザイナーズマンションになっていましたが、実際の土地を照らし合わせてみると、明らかに建物が入るような広さではありませんでした。ガヤルドははじめから建物の代金を持ち逃げする気だったのではないかと思います。

――今回の問題について、Cさんは紹介料制度が被害拡大の要因になったとも考えられているようですね。

Cさん人によっては紹介料を30万円から100万円程度もらっていたようです。私のことを紹介した同僚も販売会社X社から報酬をもらったと言っていました。

販売会社にも怒り

――紹介料はガヤルドが支払うのではなくて、X社が支払っているのですか。

Cさんそうです。

Aさん私はそれがおかしいところだと思うんです。問題が発覚したとき、私たちはまずX社に事情を確認したうえで、責任を追求しました。しかしX社は「顧客にガヤルドを紹介したことは事実だが、あくまでもX社は第三者。契約書にも名前が出てこないのでできることは限られる」と責任逃れをしているんです。

Bさん私もX社の担当者を信頼して契約したので、何度も連絡を取りましたがそのたびに「分からない」「調べます」ばかりで、力になってくれる気配はありませんでした。

Aさん私たちには何の責任も取らないのに紹介者にだけはちゃんと紹介料を払うなんておかしくないですか。ガヤルドとスルガ銀行にも腹が立ちますが、X社にもちゃんと対応してほしいと思っています。


 後編では被害者たちの証言をもとに、販売会社X社、スルガ銀行、ガヤルド元従業員を取材。業者側から見た「ガヤルド事件」に迫ります。

(Kikka)

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた