一緒のベッドで寝たのに何もされなかった時の、揺れる乙女心 「かぐや様は告らせたい」10話(1/2 ページ)
今回の男女の悩みのレベルが高すぎる件。
恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(原作/アニメ)は、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディー。とっても愛しくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。
男女それぞれのモヤモヤ
財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。
9話では、風邪で高熱を出したかぐやの元を、御行がお見舞いに行きました。体調を崩すと理性のタガが外れ、超絶甘えん坊になるかぐやは、幼児退行してベッドに御行を招き入れるという行動に出たから大変。
結果としては、御行が紳士的に威厳を保ったため、何もありませんでした。よかったよかった。その一方で、同衾までしたのならちょっとくらい何かしないの!? というもやもやが起こってしまうかぐや。
好意をよせているのは察し済み、告らせようとしている相手とまでなれば、全く何もしていないというのは、自分に興味がないのでは、と少々傷つくのも仕方がない。
とはいえ御行からしてみれば、ベッドに引きずり込まれた後、好きな相手の据え膳になにもせず自制し続けたという苦労があるわけで。よく耐えたよ君は。
こうして二人の間に冷戦が始まりました。
すごくないですか!? 今まで二人の喧嘩って、もっと低レベルなコミュニケーションのズレだったのに、今回のトラブルは恋愛問題のステージとしては一気に三段階くらい駆け上がってる。そもそもかぐやの不満は、御行に対しての期待なわけで、今までなんだかんだで自分を伏せ、相手に告らせようと企んできた彼女にしては、女子の思いがド直球です。あの手この手で頭を使って告らせるのと違い、策略のない欲求の「されたい」。
その後、ケーキが一個余ってしまいここでも大喧嘩。といっても「自分が食べる」ではなく「お前が食え」「会長が食べてください」という、逆貪欲。
御行が何が何でも、自分ではなくかぐやにケーキを食べさせようとしたのは、かつて無表情だった彼女が、唯一好きな物としてあげたのがショートケーキだったから。「よくもまぁ そんな昔の事を覚えててくれましたね!」とかぐやも驚愕の声。そのまま後ろを向いて鼻をかくふり。
そんなん言われたらね。ほれ直しますよ。特に自分が冷徹だった時期(1年生時)のことを、ちゃんと覚えていてくれた上に、わずかにもらした気持ちを見て、理解していてくれたなんて。
ここでほぼ、かぐやは「自分の乙女心をちゃんと御行はわかってくれている」ことを再認識します。同衾した時のあれこれは、女子の心をわかってないからじゃないんだよなあ。
同じように、かぐやも御行のことを見ていました。クリスマスに貧しい家庭の都合で何もお祝いしないのを、表情も変えず語っていた彼のこと、かぐやは悲しんで聞いていたそうですよ。だから今まで食べてこなかった分、食べてほしいんですってよ。
かぐやもまた、御行が耐え忍んで強く歩んでいる気持ちをちゃんと理解してくれています。同衾していた時の我慢も、こんな彼女なら察することできるでしょ。
結局この場は曖昧になるんですが(藤原書記のせいで)、もうほぼ通じ合っている。ディスコミュニケーションゆえのトラブルではなく、この相手にだったら怒ってもいいよねくらいの余裕のある喧嘩に見えます。
恋愛相談は答えが欲しいんじゃない
以前かぐやが恋愛相談に乗ってあげた、柏木。今はめでたく彼氏とお付き合い中。今回はかぐやが、柏木に恋愛相談を、「友達の話」として持ちかけます。
風邪をひいて意識がもうろうとしている時、男の子(会長)がベッドの中にいた。その後、女の子(自分)はヤキモキしている。でも男の子はいつも通り普通に接してきていて……。
恋愛相談って、答えがどうこうではなく、モヤモヤを聞いてもらいたいだけなケースが多いもの。特に怒りというのは、言葉にして出すと途端に思考がまとまって落ち着く。「四宮さんは何に怒っているんですか?」という柏木の発言に、急激に冷静になるかぐや。
相談というか「友達の話」を聞いてもらったのは大正解だったと思う。客観的に、自分のいら立ちの恥ずかしさに気付けたのだもの。
一番大きいのは、ぼかしてはいても自分の悩みを第三者に相談できた、という経験そのものです。今までかぐやは早坂に、恋愛について話してはいたものの、あれは相談というより甘え。友達の藤原書記には相談が成立しないと考えると、彼女が自分の悩みを人に話そう、解決しようとしただけで大進歩です。
一方で同じような相談を石上にした御行。この二人案外仲がよく、しばしばおしゃべりしています。石上は「なんすかそのクソ女」「うるせぇバーーーカ!!」とバッサリ。
冷静になることで心そのものが落ち着いたかぐやに対し、御行は石上の罵倒を聞くことで、自分が何をすべきなのか論理的に考えることができました。もともとそんなにヤキモキはしてなくて、仲直りしたかっただけだったので、自分より怒っている石上の姿は御行の思考をスッキリさせるのに最適だった模様。
落ち着いた結果としての二人の謝罪は、とても粋でした。
御行は実際何もやましいことはしていなかった。ただかぐやの唇に、指一本だけで触れていたと告白。
それに対し、自らも唇に指で触れて去っていくかぐや。
……恋愛ハイレベルすぎるよ二人とも! 大人な落とし所だよ。特にかぐやの切り返し方、恋愛の達人みたいだ。その後触れた指を自分に当てて間接キスしようとする純粋さも含めて、ヒロイン力大爆発です。
天才たちは遊ぶのが苦手
さて夏休みです。2話で藤原書記が、夏休みにみんなで出かけたいと話していたのが伏線でした。あの時、海に行くか(かぐや案)山に行くか(御行案)で大喧嘩しました。あらためて思い出すと、今回と喧嘩のレベルのギャップすごいな。
3話特殊エンディング「チカっとチカ千花っ」600万再生おめでとうございます。
こればかりは、口汚いけれども「ざっけんなてめぇ!!」でしかない。まあでもこの完全に忘れているのが、藤原書記らしいところ。迷惑だけど。御行は藤原書記に一抹の期待をしていましたが、かぐやは長い付き合いなので一切期待していませんでしたとさ。
そんなかぐやでも、食いついてしまう単語が出ました。
ここでまさかの伏線回収その2。
9話で、熱でもうろうとしながらかぐやが探していたものがありました。花火です。彼女は、会長と花火に行きたい。夏休みの遊びあらゆるものに対して無関心を貫いていたけれども、花火に反応してしまった。
(主に藤原書記のせいで)めちゃくちゃになりかけた夏休み。御行とかぐやの花火見物は成就するのか(あと石上も)。待て次回!
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