高知の常識「ちくわにきゅうりを1本丸ごと詰める料理」、Twitterで衝撃 ちくわを心配する声相次ぐ
県外勢からは「ちくわが破けない?」「きゅうり4分の1に切るでしょ」の意見が。
ちくわの穴にきゅうりを詰める小料理「ちくわきゅうり」。一般的にはきゅうりを縦に4分割して入れるものですが、高知ではきゅうりを切らずに1本そのまま詰めている――というローカルネタがTwitterで人々に衝撃をもたらしています。え、ちくわが破けてしまうのでは……?
話題のきっかけとなったのは、高知に住んでいるTwitterユーザー・みぃにゃ(@miinya_nya)さんです。ちくわにきゅうりを丸ごと詰めているのは高知だけだと知った、と普段作っている「ちくわきゅうり」の写真を投稿。写っていたのは、ちくわの穴いっぱいにきゅうりがギチギチに詰まって、白と緑の二重丸を作っている姿でした。斬新なビジュアルに驚く声が続出し、1日で1万6000回以上リツイートされるなど大反響に。
いやしかし、本当にこの「きゅうりを1本丸ごと詰めるスタイル」は高知だけなのか。特に高知の自治体や観光協会のサイトで「高知のローカル料理」として紹介しているところは一切なく、別の地域でも好んで食べられている可能性もありえます。
ねとらぼ編集部では「ちくわきゅうり」を食べたことのある人にアンケートを実施(Googleフォーム、回答期間:2019年4月18日19時〜19日14時42分、回答数:404件)。“1本丸ごとスタイル”を食べたことのある人は404人中147人と、4割弱と意外にも多い結果となりました。
しかしそのなかで「どこで食べたか」を聞くと、106人……72%が高知県内と回答。もちろん北は新潟、南は佐賀と食べたことのある人は全国的にあちこちいましたが、多くても3、4人。やはり1本丸ごと詰め込むのは圧倒的に高知で親しまれているスタイルでした。しかも高知では「ちくきゅう」と呼ぶのが一般的のもよう。語感かわいい。
アンケートの回答によれば、高知でちくきゅうは家庭や居酒屋での定番料理であり、「週に何回も食卓にのぼる」「病院食で出ていた」という人も。全国ではきゅうりを半分か4分の1に切るのが一般的だと知り、「一本丸ごとが当たり前だと思っていた」「逆に丸ごとじゃないと違和感」「半分に切るとか考えたことがなかった」とカルチャーショックを受ける声がほとんどでした。
“1本丸ごとスタイル”を知らなかった人からは「インパクト大。隣の県なのに愛媛では見たことない」「そんな発想があるのか」と驚きの声ばかり。何より「きゅうりが一本丸のまま詰められるちくわなんてあるの??」「ちくわが破れるのでは」と物理的な心配をする声が大半を締めていました。確かに、スーパーのきゅうりって、ちくわと同じ太さかそれ以上のものばかりでは……?
「太いちくわ」と「生産盛んなきゅうり」が生んだ融合体
なぜ高知でこのような食文化が生まれたのか。高知市観光協会の女性職員と、高知県須崎市のかまぼこ製造業社「けんかま」に取材したところ、「高知のちくわは穴が大きめ」と「高知ではきゅうりの生産が盛ん」、この2つが要因ではないかと共通の見解を示しました。
高知市観光協会の職員は、「ちくきゅうは高知の家庭でよく出てくるのですが、今いる他の職員4人とも“きゅうりは切らずにそのまま詰める派”だそうです。私の家庭でも幼い頃から1本そのまま入れるのが普通でしたし、私が親になって作るときもそうでした」と、定番メニューであることを説明します。
「個人の見解にはなりますが、高知はお魚がよく捕れるためかまぼこは家庭でも親しまれていて、ちくわも人気です。またきゅうりもハウス栽培や促成栽培で盛んで、どちらも食卓でよく扱う食材です。しかし高知のちくわは穴が大きい物が多く、白の中に緑の輪っかができる彩りもきれいなため、きゅうりを丸ごと入る場合はそのまま入れています。ただし面取りしないと入らない場合は皮の部分を何カ所か切りますし、スーパーで安く売っているような穴が細いちくわの場合は縦に分割しますね」(高知市観光協会の職員)
「けんかま」は1961年の創業当時からちくわを製造、今は商品「土佐須崎ちくわ」を年間400万本を生産しています。「県外できゅうりを4分の1に切っているちくきゅうを見たときは本当に驚きましたし、高知の人にそれを伝えるとたいていびっくりされます」と担当者。
「全国的にも四国の中でも、高知のちくわの穴が大きいのが理由だと思います。昔ちくわは『竹輪』と書くように竹に巻いて作っていましたが、高知の竹が比較的太かったため穴も大きくなったと聞いたことがあります。最近は県外のちくわが入ってきますが、やはり穴が細いですね」(けんかま担当者)
「同時に高知はきゅうりの生産が盛んです。ちくわの穴に入れやすい細めなサイズも含めいっぱい採れるため、それを消費するために『きゅうりを1本そのまま詰める』ちくきゅうが生まれたのではないでしょうか。4つに切るよりも1本入れたほうが楽ですし、高知の県民性もあるのでは(笑)」
高知では穴の大きいちくわと、ちょうどいい細さのきゅうりが手に入りやすいため、ちくわが裂ける心配も少なく「1本丸ごと詰めたちくきゅう」が生まれ継がれていった、とのことでした。なおアンケートでは高知スタイルのちくきゅうは「かみごたえがいい」「見ばえがキレイ」「マヨネーズとの相性が最高」という意見も。ちょうどいい大きさのちくわときゅうりを入手した人は、丸ごと詰め込んで食卓に「これがちくきゅうだよ」と出してみてはいかがでしょうか。斬新なビジュアルに晩御飯が盛り上がるかも……?
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