京大吉田寮のトイレ・シャワー室が「男女別」で分けられていない理由(1/2 ページ)
学生らが目指す、性別問わず安心できる空間。
築100年を越える建物や、学生による自治、大学との対立など、さまざまな方向から注目されている京都大学の吉田寮(京都市左京区)。その吉田寮に、性別問わず使用できる「オールジェンダートイレ」「オールジェンダーシャワー室」があるのを知っていましたか? なぜ「オールジェンダー」にしたのか、性別で分けなくても安心して使えるのか。吉田寮自治会の「セクハラ対策特別委員会」に関わる寮生Aさんに聞いてみました。
吉田寮の「オールジェンダートイレ・シャワー室」とは
吉田寮には100年以上前に建てられた「現棟」と、2015年に建てられた「新棟」とで成り立つ、学生が性別問わず生活する「混住寮」です。吉田寮自治会(寮生全員が参加)は、2009年から吉田寮の「新棟」建設について大学と交渉を開始。建物の設計については2012年から大学と交渉しています。完成当初の案内図に「男子トイレ」、「女子トイレ」をイメージさせる表示デザインがあったものの、オールジェンダートイレとして使用できる構造のトイレが建設されました。また、シャワー室も浴室と脱衣所が同じ個室内にあるものが作られました。
なぜ「オールジェンダー」なのか
「性別のあり方は人によって異なるため、ハッキリと男あるいは女に当てはまらない人や、トランスジェンダーの人もいます」(寮生Aさん)
吉田寮は混住寮のため、そういった人たちも寮に住む可能性があり、男女で分けた施設にすると、入浴やトイレの際にいちいち男か女で選ばないといけなかったり、「あなたはこちらを使うべきではない」と他の人から見られたりということが起こって、使いづらくなってしまうこともあるといいます。
トイレやシャワー室は男女別のものが圧倒的多数で、特にトイレは大学の講義棟やサークルボックスなども男女別なので、寮生Aさんらは大学に対して「せめて吉田寮の新棟には、オールジェンダートイレがあってもよいのではないか」とも主張したそうです。
また不必要に性別で分けることには、悪い影響があると考えてもいます。
「個人ではなく、男や女っていうカテゴリーで相手を見て、それが固定化されると、コミュニケーションの阻害になるんじゃないかと思っています」(寮生Aさん)
寮の中で性別によって使える空間を分けることで、そういった傾向を強めると思い、オールジェンダーのシャワー室やトイレを作ることにしたそう。
とは言っても、「オールジェンダー」の必要性を感じない寮生や、トイレや入浴など、非常にプライバシーが大切になる場面で、ちがう性別の人と空間を共有することに不安を感じる寮生もいたかもしれません。どのように意見をまとめたのでしょう。
「大学と交渉する前に、寮内で何度もジェンダーなどについての勉強会や話し合いを重ねました」(寮生Aさん)
さらに、関西クィア映画祭の協力を得て画男女別トイレの問題を取り扱ったドキュメンタリー映画「トイレのレッスン(Tara Mateik and the Sylvia Rivera Law Project/米国/2003)」の上映を行うなどして理解を深めた結果、自治会は「トイレをオールジェンダーにしよう」と全会一致でまとまったそうです。
現棟も「オールジェンダー」
1913年に建てられた現棟も「オールジェンダートイレ」ですが、新棟とは違った経緯が。現棟はもともと男子学生だけの寮だったため、空間が男女で分けられていませんでした。
「自治会が寮の運営をする中で、大学にも男子以外の学生もいることや、外部の人から他の性別を排除して男性だけの集団をつくることは、自分たち以外の性別を見下し、低いものとして扱う習慣につながるという批判がありました。議論の結果、男子だけの寮だということは不適切であるため、1970年代には入寮資格を女子にも拡大することになりました」(寮生Aさん)
男子寮として運営されていた建物に女子が入ってきたことで、性別で空間を分けない生活ができていったそうです。
どうやって安全・安心を確保するか
現在、「オールジェンダー」として使用されている、吉田寮のトイレやシャワー室。今のところ、自治会には「使いづらい」といった声はあがっていないそうです。疑問視するような声は、主に日常的に出入りしていない、ふらっと来たような人から発せられているとのこと。
関連記事
- 和式便器はなぜなくならないのか?
和式便器撲滅作戦。 - 仮設トイレが独自の進化を遂げていた! 高級VIP用にIoT機能、知られざる“密室”の歴史
仮設トイレの進化について、メーカーに取材しました。 - 「建設業界を女性が活躍できる業界に」半数以上の塗装職人が女性の会社 アート塗装が好評で予約3カ月待ち【追記あり】
とっても華やかで、ユニークな塗装がステキ。【追記あり】 - 「男女で着るものが違うことがおかしいんじゃないか」――“メンズサイズのかわいい服”ブランドはなぜ生まれたか
「性別や体形にとらわれずかわいいお洋服を着たい」という願いをかなえることを目指したアパレルブランド「blurorange」の代表にお話を聞きました。 - 現役学生が考えた「痴漢抑止バッジ」 2018年の最優秀作は?
来春からOsaka Metroの駅売店などや通販で買えます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
-
浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
-
身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
-
海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
-
トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
-
生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
-
辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」