インタビュー
» 2019年10月11日 18時00分 公開

プールの授業が苦手なLGBTの生徒のために体育教師がついたウソ エッセイ漫画「あさな君はノンケじゃない!」インタビュー

「『どうやったらこの子に単位を取らせてあげられるか?』を純粋に考えてくれたのかな」。

[佐藤星生,ねとらぼ]

 アパレル企業で働きながら、ゲイである自身の体験を描いたエッセイ漫画「あさな君はノンケじゃない!(※)」(著者:あさなさくまさん)。ほっこりエピソードを通じてゲイの日常を描き、Twitterやピクシブ上でも反響を呼んでいる同作の誕生秘話や見どころについてあさなさんにインタビューしました。漫画本編もあわせて掲載します。(聞き手:佐藤星生

※ノンケ:異性愛者のこと。同性愛者、特にゲイの立場から用いられる語として知られる



漫画「あさな君はノンケじゃない!」とは?

 あさな君は、アパレル会社に勤めるごく普通のアラサー男子。ひとつだけ違うのは、ゲイであること――。2017年に開催された第2回ピクシブエッセイ新人賞受賞作品。あたたかく、少し切ない。今どきアラサーゲイの日常を描くコミックエッセイ。

 自分の性のあり方の、母へのカミングアウト、初恋の男の子の想い出、そして運命の人との出会い。ノンケ(異性愛者)では味わえない日常や過去の思い出を優しいタッチと言葉で描写しており、これまでセンセーショナルに描かれがちだったゲイ関連作品とは一線を画した内容に仕上げています。

著者プロフィール:あさなさくま(Twitter:@sakuma_asanapixiv:あさな さくま

漫画家・イラストレーター。アパレル企業でデザイナーとして働く傍ら、Webメディアを中心に創作活動を行う。「あるある!」と共感を呼ぶ作風だけでなく、そのファッション描写にも注目が集まっている。






その他の一部エピソード、購入先などはWebマンガ誌「コミックエッセイ劇場」に掲載されています


―― 忙しい本職がありながら、漫画はどんなタイミングで描き続けてきたのでしょう?

 平日は寝る前に1〜2時間くらい、土日は一日中と、単行本のお話が決まってからはフル稼働という感じでした。でも徹夜はできるだけせず、元気な状態で書くことを心掛けています。最近は、一日の中で一番元気な早朝に描くことが多いです。

 今でも新しいエピソードはTwitterで投稿していますし、イラスト単体のお仕事もありがたいことにいただけるようになったんです。本を読んだ方から「イメージに合ったものを描いてくれそう」とお声がけをいただくことも多くなりました。単行本を出してから本当にすごく良い出会いが生まれましたね。

―― Twitterのフォロワーも増え続けていますね

 うれしいですね。最新のエピソードはまずTwitterで投稿するようにしているので、そこを楽しみにしてくださっているんだと思います。調子に乗って僕が他のお仕事のイラストを投稿すると、「イラストじゃなくて漫画が読みたい!」という反応が来て、しょんぼりしたりもします(笑)。

―― ファンが増えたからこその悩みですね(笑)。女性と思われるユーザーからのリプライが多いのも特徴的ですね

 確かにそうですね。実は男性からの反応は、DMや編集部へのメッセージが多いんです。まだまだゲイに対する偏見は残っているので、僕のエッセイを見つけた男性ユーザーさんはなかなか「面白い!」「これ読んでるよ!」と言いづらいのかな……と思います。

 リツイートやいいねなどの反応をすることで、周りから「この人もゲイなの?」と思われたくないというブレーキがかかるのかもしれません。それもTwitterを始めてからあらためて感じたことですね。

―― 作中で登場した水泳の授業に関するエピソードでもネット上で反響を呼びましたね

 特に心に残っているエピソードだったのでうれしいです。体育の先生って保健体育の授業もされるので、LGBTについての知識があったのではと思うんです。だから、僕がゲイであることをカミングアウトしても、動揺することなく「どうやったらこの子に単位を取らせてあげられるか?」を純粋に考えてくれたのかな……と、今になって想像しています。

 Twitterでは「ステキな先生ですね!」というリアクションだけでなく、「僕の高校教師は最悪だった」「出会いに恵まれているね」というコメントも多くあって、僕と近い境遇の人でも先生の対応の違いで体験はさまざまなんだと思いました。

―― あさなさんの性格が、良い人との出会いを生んでいるのでは?

 でも、良い出会いと悪い出会いは半々くらいですよ。良いことがあれば悪いこともあるのはノンケもゲイも一緒ですし、「こんなイヤな人がいた!」ということを漫画にしても、あまり楽しくないので……。

 僕の場合は、なんとなくこの人だったら言ってもよさそうだなと、自分からだんだん判断できるようになったというか、そんなオーラを感じたら打ち明けるようにしていますね。

(続く)

本企画は全6本の連載記事となっています


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