「相鉄・東急直通線」建設中の羽沢トンネルに潜入 シールドマシン最後部付近まで行ってみた【写真33枚】（3/3 ページ）

[大泉勝彦，ねとらぼ]

さらにトンネルの奥へ　掘削中の先端まで

西谷駅側の約150メートルは「開削工法」でつくられている

　西谷駅側の約150メートルは、一度地面を掘り起こして箱型のトンネル構造物を埋めてトンネルにする「開削工法」で作られています。遠くまで続く、真新しくピッカピカ、ツルッと滑らかな壁面のトンネルが美しい……！

開削工法で作られたトンネルは四角い形状。多くの鉄筋で補強されている。

　羽沢トンネルの起点側には相鉄・JR直通線の線路が既に引き込まれていました。完成した線路は「建築限界確認車」と呼ばれる車両の形をした金型を使って、トンネル内を車両が正しく通れるかどうか、適正のクリアランスがあるかどうかを確認します。

相鉄・JR直通線の線路

建築限界確認車

トンネルの奥へ

　いよいよ先端部、掘り進めているシールドマシンの最後部付近までやってきました。地上でも見かけたセグメントは、近くで見てもやはり大きい！　トンネルを掘った後は2段階に分けてコンクリートを流し込んで、下面を平らにします。

地下に降ろされたセグメント

近くで見ると大きい！

コンクリートを流し込んで下面を平らにする

この線路はセグメントを運ぶためのもの

1段階目と2段階目で高低差が1.2メートルほどあるので、トンネル内に作業用レールを敷いて、バッテリーロコと呼ばれる電気機関車でセグメントを輸送している

ここでは線路を歩ける……！

ついにシールドマシンの最後部まで到着！　ここから先は……と考えただけでなかなか震えるものがありました

よい子のみんな向け講座「そもそもこの事業は何？　直通すると何がいいの？」

　羽沢トンネルは、相鉄線西谷駅〜新横浜駅（仮称）間を結ぶ相鉄新横浜線として、羽沢横浜国大駅から新横浜駅に向かって横浜市環状2号線（主要地方道17号）の地下を掘り進めている延長約3.5キロの鉄道トンネルです。

羽沢トンネルは総延長3498メートル。2019年8月現在の進ちょくは約2000メートルだそうです

総延長3498メートルの羽沢トンネル（出典：鉄道・運輸機構）

相鉄・東急直通線のルート（出典：相模鉄道のWebサイト）

　相模鉄道（相鉄）は横浜から海老名や湘南台を結ぶ2つの路線を運行する大手私鉄です。ただ、関東の大手私鉄では唯一東京都内に乗り入れていない（直通していない）路線だったことで、沿線住まいや利用者でないとあまりなじみがない路線といわれてしまうこともままありました。

神奈川東部方面線ができると、いろいろ便利＆時短になると期待されている

　相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線の2事業からなる「都心直通プロジェクト（神奈川東部方面線）」の直通線が開業することで、相鉄線沿線と都心部がつながり、アクセス性が飛躍的に高まります。さらに東海道新幹線停車駅である新横浜駅も使いやすくなります。

羽沢横浜国大駅付近は相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線の区切り目となる拠点になる

　相鉄・JR直通線は相鉄・東急直通線に先駆けて工事をほぼ終え、2019年11月30日に開業が決まりました。相鉄西谷駅から分岐してJR東海道貨物線に接続することで、JR線の武蔵小杉駅や新宿駅方面への相互直通運転が実現します。これまで相鉄線沿線住みの人が都心に出るならば、ほぼ必ず横浜駅で乗り換えていました。それが乗り換えなしで都心まで行けるようになります。所要時間も西谷から新宿間で約15分短縮されると試算されています。

　今回見学した相鉄・東急直通線は、相鉄線と既に都心エリアまで直通している東急東横線および目黒線とをつなぐ計画の直通線です。新横浜とも連絡するので、東海道新幹線や横浜市営地下鉄（ブルーライン、グリーンライン）の利便性も著しく向上するとみられます。

　もうすぐ開業する相鉄・JR直通線とともに、相鉄・東急直通線もあらためてすごく大掛かりで、多くの年月、そして多くの建設従事者が工事や計画に携わり、また住民や地域にも期待されている大切な事業であることが伺えます。直通線の開業に併せて相鉄線沿線の再開発も進められていることも相まって、周辺地域の発展にも期待です。

（大泉勝彦）