実在の“宇宙食メーカー”に取材した異色のグルメマンガ JAXA協力で実現した「宇宙めし!」作者インタビュー

宇宙×グルメ

» 2019年12月02日 20時00分 公開
[てんもんたまごねとらぼ]

1、2巻表紙

 宇宙へと飛び立った人類が口にしている宇宙食。地球に暮らす一般人にはあまり縁のない食品ですが、国内にもその開発・製造を行う食品メーカーが存在します。

 「月刊!スピリッツ」(小学館)で連載中の「宇宙めし!(そらめし!)」は、そんなちょっとマイナーな“宇宙関連業界”をテーマにしたマンガ。第2巻発売(12月12日刊行予定)に合わせて作者・日向なつお先生にインタビューしました。漫画本編も合わせて掲載します。

第1食「宇宙弁当」(前半)















































※第1食の続きは次回記事「JAXAさん、何で『野沢菜の漬物を上手に食べる方法(ただし無重力)』が思い付くんです?」にて掲載予定

JAXA、宇宙食メーカーに取材した“宇宙×グルメ”マンガ

――― 「宇宙めし!」を描くことになったきっかけは?

日向先生(以下略):連載前、私の担当の編集者さんから「スピリッツの連載作品を決める『連載コンペ』に出ませんか?」という提案を受けたんですが、そのコンペに出すマンガのテーマが「恋愛」「サスペンス」など決まっていて。その1つに「宇宙」がありました。

 私が他社でグルメマンガを描いていたこともあって「宇宙×グルメで宇宙食はどうだろう」と。いろいろと調べてみたら面白くて。

――― コンペに企画を出したときの反応は?

 食関連のマンガは数が多く、飽和状態になっている面もあるのですが、「宇宙食という切り口は新しい。良いんじゃない」と。とはいえ、途中でネタがつきるのではないか、ただの食レポマンガにならないか……といった不安もありましたね。

――― 宇宙食の情報って調べるのが難しそうですよね。遠い宇宙で食べるものだけあって

 でも、JAXAさんに取材依頼をしてみたところ、とても協力的な対応をしてくださって「これならイケる!」と思いました。もう何度も取材に行かせてもらっています。

――― 表紙にもJAXAが「取材協力」としてクレジットされていますが、具体的にはどういう形で協力してもらっているのですか?

 毎回ネームの確認をしていただいているのと、ネタ出しというほどではないんですが、定期的に「こういう話を描こうと思っているのですが、詳しく教えていただけませんか?」とお話を伺っています。

 また、JAXAさん以外では宇宙食関連の食品メーカーにも取材しています。1巻だと尾西食品さん、亀田製菓さん、ANAホールディングスさん。2巻の宇宙食版「からあげクン」を取り上げるエピソードではローソンさん、ニチレイフーズさんに取材していて、ネームの確認からしてもらっています。

――― ちょっと気になるところなんですが、やっぱり「取材協力者的にこの描写はNG」みたいなことって、やっぱりあるんですか?

 ありますよ。例えば「ローソンの制服姿の店員がレジで、『私のおごり』と言って主人公に商品を渡す」シーンを描いたときは、「仕事が終わった後、個人的におごるのは構わないけど、仕事中だと誤解を招きそう」と。

――― 確かにリアルで目撃したら「店員が万引きして、その商品を誰かに渡している」ように見えるかも(笑)。漫画なんですけど

 実在する企業に取材して、名前も出していることがこの作品のウリの1つだと思うのですが、取材協力者が誤解を受けるようなことになると良くないので。

 でも、NGだらけの中で制作しているわけではなくて、第1食(第1話)の「JAXAに入った主人公が宇宙食開発グループの研修を受ける」シーンは架空のお話です。そういう創作は大丈夫(笑)。

食品メーカーで働く“宇宙関係者”

――― 何度も取材しているJAXAはさておいて、さまざまな企業とコミュニケーションを取りながらのマンガ制作、大変じゃないですか?

 「宇宙食のマンガを描いていて……」と話すと、とても好意的に接してくれますよ。どのメーカーも、宇宙食の取り組みの認知度を高めたいと思っていらっしゃるようで、利害関係が一致するんですよね(笑)。

――― 日常的に食べるものではないので知ってもらう機会が少ないのかな……。そういえば、メーカーはどのような意図で宇宙食を開発・製造しているのでしょうか?

 企業としては「宣伝になる」「格が上がる」という考えがあるみたいです。JAXAは「宇宙日本食」という宇宙食のレーベルを展開しているのですが、「JAXA認証の宇宙食を作っています!」というとやっぱりカッコいいですし、その企業に対する世間のイメージも変わるでしょうし。

JAXAによる「宇宙日本食」の紹介動画(2017年公開)

 それから、実際に製造している方々も“宇宙のロマン”的なものを感じるものみたいですよ。「『これが宇宙に行くんだ』と思うとワクワクする」「社内に宇宙食を作っている人がいると、宇宙を身近に感じる」と言っていました。

――― 確かに隣の席で“宇宙関係者”が働いてたら、ちょっとテンション上がりそう(笑)

(続く)

本記事は全4本の連載企画です

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