「24時間書き続けて、それでも仕事は終わらない」 アニメ制作者実態調査が業界の闇を伝える

半年の報酬が10万円ということも。

» 2019年11月13日 17時00分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

 日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が、「アニメーション制作者実態調査報告書2019」を公表しました。アニメーション制作者たちの労働環境に対する生々しい声が19ページにわたってつづられています。

報告書表紙 アニメーション制作者実態調査報告書2019(日本アニメーター・演出協会より)

 シナリオや絵コンテ、演出、作画、プロデューサーなどのアニメに関わる職種を対象に調査をしています。有効回答数は382人です。

 資料の前半は統計資料がまとめられています。年収は「600万円超」がおよそ2割で最多です。平均作業時間は8時間〜10時間以下が最多で、8時間以下が続きます。1カ月あたりの休みは4日が最多です。

年収 年収600万円超が最多

平均作業時間 1日の平均作業時間は8時間〜10時間が最多

平均休日 月4日の休みが最も多い

 回答者の平均年齢はおよそ39歳です。回答者の働き方で一番多いのはフリーランスで、経験年数の平均はおよそ16年です。

回答者の年齢構成 回答者の平均年齢は39.26歳

就業形態 フリーランスが50.5%

就業形態 経験年数の平均値は16.3年

 まとめられた統計情報からは、俗に言われているほどブラックな労働環境ではないようにも見えます。しかし自由回答形式である、第7章「アニメーション制作者の多声性」には、19ページにわたってブラックな労働環境を訴える声が並んでいます。

アニメーション制作者の多声性 切実な言葉が並ぶ

(報告書より抜粋)

  • TVシリーズのアニメーションの原画の仕事を単価で受けて一人で生活するのは不可能。これは基準としておかしいと思う。拘束費をもらわなければとうてい生活できない。【30歳代・原画】
  • 私は毎日毎日毎日何をやっているんだろうか。飲まず、食わず、眠れず、トイレも我慢して座り続け、時には24時間書き続けて、それでも仕事は終わらない。家は片付かず、子供はほとんどネグレクト状態。自分がいくらLOラフ原のクオリティを守っても、自分にはほとんど返ってこない。代わりに来るのは誰が何を考えて描いたかわからない、丸と棒だけのラフ原で、これを使える原画にせよと要求されて、単価は2000円だ。たまに作画監督が入っていても、走りのポーズひとつまともに描けない各話作画監督に、総作監が1枚だけ乗って「あと宜しく」と書いてある。その1枚に合わせて原画を全修する。これは2原の仕事?2000円の?作監の仕事はひたすら全修だ。もとのラフ原であれ原画であれ、ほとんど小中学生の落書きにしか見えない。(中略)かくして1ヶ月30日で200カットを必死であげても何と手取り20万円を切るのである。(中略)不本意の上ないが、やはり私はアニメが好きなのである。【50歳代・第二原画】
  • Z社のH作品を制作したとき半年の制作期間があったにもかかわらず、半年の報酬が10万でした。月拘束でなかったので苦しい生活を送らざるを得ず完全に泣き寝入り状態でした。【20歳代・キャラクターデザイン】
  • 目まぐるしい作品スケジュールと、それを管理し動かす周りの人間、日々の生活に、どんどん減っていく貯金残高。そんないろいろなモノに急かされて闇雲に頑張っていたら、いったい自分はアニメの何が好きだったのか、なぜこの業界にしがみつているのか…時々わからなくなるようになりました。心も体も時間もお金もすべてに余裕がないのです【20歳代・動画】
  • 本当はここに沢山書きたいこと、訴えたいこと、上層部から受けている脅迫や社内全体の洗脳、うつになって倒れていった仲間達や自分のこと、あまりに理不尽な作業内容、スケジュール、低賃金、タダ働き、他にも助けを求めたい事だらけだったのですが、現段階も3日徹夜、締め切りは今日。賃金で言うなら時給50円以下の仕事で死にかけているのでこんな形となってしまいアンケートに答える余裕すらないこの業界の実態が本当に恨めしいです【40歳代・第二原画】
  • 作品の内容、線の多さ、演技の要求の高さと原画単価が見合わない。経験5年未満の原画マンの作画の質が低いのが問題。今のアニメを牽引してるのがほぼ50歳代で今後が心配【50歳代・原画】

 回答で目立ったのは「賃金の安さ」「スケジュールが苦しい」という点です。クオリティーが低い作品を大量に生産している現状を憂う声も散見されました。低賃金、長時間労働のため若手がどんどん辞めていくことを心配する声がある一方、技術力が低い人が収入を得られてしまうことを問題視する声もあがっています。

高橋ホイコ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/19/news005.jpg 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  2. /nl/articles/2405/18/news066.jpg 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  3. /nl/articles/2405/18/news004.jpg 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  4. /nl/articles/2405/19/news014.jpg ソファに座る息子を見ると……→“まさかのもの”を食べる姿が585万表示 ママ絶叫の光景に「あああ!!」「バイタリティがすごい」
  5. /nl/articles/2405/19/news058.jpg 本田真凜、ショートパンツのスウェット姿に注目の声 「かわいいー!」「スタイルよすぎる」
  6. /nl/articles/2405/16/news066.jpg 伝説のスポーツカーが朽ちている……!? ある田舎の風景を描いた精巧なジオラマに「リアルすぎる」「ホンモノかと」驚きの声
  7. /nl/articles/2405/19/news036.jpg 「ウンコ食い」という毒魚に刺され“骨に激痛”→その40時間後…… ゾッとする経過報告に「えげつない」「何かの病気になりそう」
  8. /nl/articles/2405/19/news019.jpg 車両置き場から何かの鳴き声→探しても見つからずフォークリフトの中をのぞいたら…… まさかの正体に「困ったもんだ(笑)」「ここはマズイ」
  9. /nl/articles/2405/21/news018.jpg 側溝の泥に埋もれて瀕死の子猫→救助されて1年後…… 涙あふれるビフォーアフターに「良かった……良かったです」「奇跡ってある」と182万表示
  10. /nl/articles/2405/18/news068.jpg 『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評