レビュー
» 2019年12月18日 11時20分 公開

「同期のサクラ」最終回目前とは思えぬほどの鬱展開 最終回は「変わってしまったサクラと変化を許さない同期」の物語になる?(1/2 ページ)

「サクラらしい」を望む同期4人がプレゼントした丸眼鏡の意味が怖い。

[寺西ジャジューカ, イラスト:まつもとりえこ,ねとらぼ]

 12月11日に「同期のサクラ」(日本テレビ系)の第9話が放送された。最終回目前とは思えぬほどの鬱展開であったが、さらに一波乱二波乱ありそうな予感がする。


同期のサクラ リハビリに励むサクラにに同期4人の取った行動とは イラスト/まつもとりえこ

同期の決断は「サクラが何を言ってくれるか?」が基準

 9カ月の眠りから覚めた北野サクラ(高畑充希)は、花村建設から解雇されたことを知らされる。退院し、リハビリに励むサクラに同期4人は近況報告をした。

 「会社辞めて起業しようかなって迷ってて」(百合)

 「(百合に)結婚しようって言ったんだけど、あっさり断られちゃってさ。まあ、あいつには俺が必要ないってことなのかな?」(葵)

 「ボランティア活動しているNPO法人のみんなに代表になってくれって言われちゃって」(菊夫)

 「突然、営業部に行けって言われて。設計ができないなら、思い切って新しい就職先探そうと思うんだけど」(蓮太郎)

 みんな、すっかり前に進んでいる。長い眠りから目覚めたサクラは、周りに置いていかれたことを思い知った。っていうか、目覚めたばかりのサクラに相談ばかりしないで……。

 サクラは就活を始めた。しかし、結果は連戦連敗。受ける会社は段々と小さくなっていき、最後は貯金が底をついてコンビニでアルバイトを始めることに。いや、それってサクラに1番向いていない仕事では……。

 9話で最もエグかったのは、“鍋パーティドタキャン事件”だ。リハビリ、アルバイト、就活という多忙な日々の中、サクラは仲間の悩みの解決策をノートにまとめ、さらに暗唱した。決して料理は得意じゃないサクラなのに、お鍋もバッチリできあがっている。準備は万端! だが、4人それぞれに別件が入ってしまい、当日、全員からドタキャンの返事が来た

 しかも、同期たちの導き出した答えは、サクラの用意した解決策と全く同じだった。4人の結論は「サクラが何て言ってくれるか」が基準になっているということ。つまり、今までサクラがみんなの心に撒いた種は着実に実を結んでいたのだ。

 でも、当のサクラはそれに気付かない。「自分がいなくても困難を乗り越えられるほど、みんなは成長したんだ」。就活は結果が出ず、アルバイトでは失敗続き。足踏みをしている自分を4人と比較し、彼女は寂しさにさいなまれた。そして、サクラは帰郷を決意する。

 「私は今回のことで、自分がいかに何もできない人間か思い知らされました」(サクラ)

 落ち込むサクラを4人は着工中の幼稚園へ連れて行った。これは、新人研修でサクラが「未来へ残すべき」と絶賛した建築物だ。

 「これ設計した奴が言ってた。あのとき、お前が褒めてくれて、これを建てるのが夢になったから10年かけて着工に漕ぎ着けることができたって」(蓮太郎)

 他者の心に種をまき、それが実を結んだと、サクラはわかりやすい形で初めて実感する。自分がやってきたことの意味を自覚することができた。そして、サクラに新しい夢が生まれた。

 「私には夢があります。故郷にかけたかった橋に負けないような橋を、これから出会う人たちの心にかけることです」(サクラ)


同期のサクラ サクラ「私は今回のことで、自分がいかに何もできない人間か思い知らされました」 イラスト/まつもとりえこ

成長した同期に昔のままを望まれるサクラ

 上記までのストーリーが最終回ならば、このドラマは多くの人に歓迎される形で終わっていたことだろう。「同期のサクラ」は、果たしてハッピーエンドのドラマなのだろうか?

 同期4人はサクラがかけていた壊れた眼鏡と同じ型を見つけ、プレゼントした。

 「それしてるほうが、サクラらしいからさ」(百合)

 そんことない。高校時代にかけていたメガネは、今のサクラにメチャメチャ似合っていた。

 人間は弱ることだってあるし、変わることもある。なのに、4人は“理想のサクラ”を頑なに求め続ける。自分たちは変化しているのに、サクラの変化は良しとしない。なぜ、そこまで自分たちの思う「サクラらしい」に押し込もうとするのか? 

 同期4人は、サクラに感化されることで成長してきた。そのよりどころであるサクラが変わってしまうと、自らの道程が脆弱になり、道しるべをなくすことになる。だから、サクラが変わらずにいることを望み、トレードマークだった丸眼鏡をプレゼントした

 「俺たちのここ(胸)にも、まだまだ完成途中だけど、お前が築いたものがあるんだよ! それなのに、それを造ったお前がほっといて逃げるつもりかよ? それじゃ、ここまで造ったものを建設中止にするようなもんじゃないのか?」(菊夫)

 「人にできないような建物を造る素晴らしい才能があるのに、それを捨ててどうすんだよ? 北野サクラは世界で1人しかいないんだから!」(葵)

 「自分は何もできないとか言ってたけど、サクラは人を幸せにする建物を造ることにしか興味がないから強いの。他に何もできないからすごい能力を発揮するの!」(百合)

 極端なことを言うと、叱咤激励と言うよりサクラへの洗脳にさえ見えてしまったのだ。支えているのではなく、4人は絶えず求めている。

 急転直下で花村建設への復帰が決まったサクラ。今夜放送の第10話は最終回だ。次回予告に、こう書いてある。

 「新規事業と育児に追い詰められている百合の話に耳を貸さず仕事に戻ってしまったり、NPO団体の代表となり悩みを抱える菊夫からネット電話を受けても、皆忙しいという理由で聞き流してしまう。さらに、就活中の蓮太郎からの悩み相談よりも黒川からの着信を優先するサクラ……これまで、忖度しない言動の度に、組織との軋轢(あつれき)を生んでいたサクラは、初めて仕事で高揚感を感じる。そんなサクラに、同期たちは、『あなたは、変わった。仲間なんてもう必要ないの?』と苦言を呈される」

 やはり、変わってしまったサクラと変化を許さない同期という図式だ。成長した同期と、昔のままを望まれるサクラ。両者の対立構造は、このドラマが伝える何かしらのメッセージとして昇華するのだろうか?(というか、同期の連絡を聞き流すサクラを責める前に、4人がサクラの鍋パーティをドタキャンしているのに!)


同期のサクラ サクラの同期たち相関図 イラスト/まつもとりえこ

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2201/21/news019.jpg 子猫「イヤー!!!」→「あれ……?」 初めてのお風呂で元保護子猫が見せた意外な反応に、飼い主もビックリ
  2. /nl/articles/2201/21/news123.jpg 「俳優たちの見たことない姿」「カッコ良すぎる」 松重豊、仲村トオルらの“ランウェイ姿”が話題沸騰
  3. /nl/articles/2201/22/news041.jpg 仲里依紗、イメチェン後のサラサラストレートヘア姿に“ウケる” 清純派な落ち着いた空気に「若返ってて似合ってます!」
  4. /nl/articles/2201/22/news043.jpg かまいたち濱家、体重7キロ減を“ひと月弱”で達成 MAX95キロからの激変ぶりに相方・山内「想像以上に仕上げてきた」
  5. /nl/articles/2201/21/news169.jpg お姉さんたちの美ボディにメロメロ! 「東京オートサロン2022」美女コンパニオンまとめ第3弾
  6. /nl/articles/2201/22/news052.jpg ダルビッシュ聖子、10年前のバキバキ腹筋に自信満々「どこでも見せる事が出来ました」 当時の厳しい鍛錬は「もうできないわ」
  7. /nl/articles/2201/18/news138.jpg 妻を妄想上の存在と思い込む男、そんな夫を支える妻…… 妄想と現実が入り乱れる漫画が何度も読み直したくなる強烈展開
  8. /nl/articles/2201/22/news049.jpg 松本伊代、“ヒロミさんも捨てられない”花嫁衣装をリメイク ステージ用に生まれ変わったドレスへ「28年前のものとは思えない」
  9. /nl/articles/2201/20/news131.jpg いくらしょうゆ漬けみたいな「ほぼいくら」発売 ぷちぷちの食感、味わいを再現
  10. /nl/articles/2201/22/news057.jpg EXILE黒木啓司と結婚の宮崎麗果、3歳息子とパパのバースデーケーキ作り 奮闘するわが子に「泣いて喜んでくれてよかったね」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 勝手に「サービス終了ゲーム総選挙」をやったら6700票も集まってしまったので結果を発表します 2位の「ディバインゲート」を抑えて1位に輝いたのは……
  2. ママとの散歩中、田んぼにポチャンした柴犬さんが帰宅後…… パパに一生懸命アクシデントを報告する姿がいとおしい
  3. “26歳年の差婚”の菊池瑠々、第4子妊娠を発表「もう、とにかくうれしいです!」 年上の夫も満面の笑み
  4. 桐谷美玲、隠し撮りに「絶対ヤバい顔」 “ほぼ半目”な不意打ち写真に「100点満点に可愛い」と全力フォローの声
  5. 村田充、3匹目の愛犬の存在明かす 神田沙也加さんから引き取ったブルーザーとは「数日で仲良くなりまして」
  6. 三浦孝太、母・りさ子誕生日に“家族4ショット”でお祝い キングカズも笑顔の写真に「家族が1番!」
  7. バレー日本代表の清水邦広の再婚に盟友・福澤達哉さん「相手は私ではございません」 元妻は中島美嘉
  8. 「駅の待合室をバケモンが占領している」→“謎の生き物”の正体について大分県立美術館に話を聞いた
  9. 滝沢カレン、倖田來未の“バックダンサー”になりすまし 感極まって「人一人洗えるくらい泣きました」
  10. 宮崎駿愛用の「電動消しゴム」が故障 → サクラクレパス公式が倉庫の奥から発掘 Twitterが繋いだ温かな展開が話題に

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「どん兵衛」新CMに星野源が復活も衝撃の新展開 “どんぎつね”吉岡里帆の正体明かされ「完全なホラー案件」「狂気を感じる」
  2. ハラミちゃん、“公称145センチ”も本当の身長にゴチメンバー驚き 「デカイっていわれるのが嫌になっちゃって……」
  3. 西川史子、退院を報告 「生きていて良かったと思っていない」と告白も、力強い現在の心境明かす「私は医師です」
  4. 「もうアヒル口」「美人確定ですね!」 板野友美、生後2カ月娘の“顔出しショット”にみんなメロメロ
  5. 「気ぃ狂いそう」 木下優樹菜、生配信中止で“涙のおわび動画” やらかしたスタッフに「生きてたらミスぐらいする」
  6. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  7. 「こんな普通に現れるの?!」「バレそうで心配」 倖田來未、駅のホームに“普通に並ぶ”姿にファン驚き
  8. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」「どストレートに餅で笑った」と称賛集まる
  9. 第1子妊娠のすみれ、母・松原千明と2年ぶりに涙の再会 「やっとママに会えました」と感動的な親子ショット公開
  10. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」