「同期のサクラ」最終話はサクラ(高畑充希)と黒川(椎名桔平)の物語だった 退社を選んだサクラに黒川が微笑んだのはなぜか?(1/2 ページ)

黒川「娘が生きてればこんな風になってるのかもしれないな」。

» 2019年12月19日 17時54分 公開

 昨日、12月19日に「同期のサクラ」(日本テレビ系)の第10話が放送された。この最終話を見ながら、筆者はパラレルワールドを想像してしまった。北野サクラ(高畑充希)が花村建設を辞めず、黒川森雄(椎名桔平)の下で働き続けていたらどうなっていたか……?


同期のサクラ 再び花村建設でプロジェクトリーダーとして働きはじめるサクラだったが…… イラスト/まつもとりえこ

黒川はサクラが出す答えをいつも楽しみにしていた

 黒川に呼び戻され、新しいプロジェクトのリーダーに抜擢(ばってき)されたサクラ。彼女は“力”を説く黒川に感化され、「こんなに高揚感を覚えたのは初めて」と言うほど仕事に邁進(まいしん)していった。

 同時に、上に立つサクラの圧は日増しに強くなる。設計部に要求を繰り返し、土木部は残業続きの毎日に。かつて、桑原(丸山智己)に「菊夫君が体調を崩したら管理責任を問われる覚悟はおありでしょうか」と問いただしていた彼女なのに……。しかし、黒川からのバックアップを得たサクラに物申す者はいない。黒川の「力を持て」という教えは、サクラの良さを消すというマイナス面があった。

 「な〜んかあの人、正体不明なとこないか?」(葵)

 確かに、黒川は何を考えているかよくわからない。なぜ、あんなにサクラに目をかけるのか? その理由は、サクラが亡き娘に似ていたから

 「面接のときに『私には夢があります』って熱く語るお前を見て、もし娘が生きてればこんな風になってるのかもしれないなと思った。履歴書を見たら同い年で、誕生日も一緒だったし」(黒川)

 口八丁で出た言葉だろうか? それもよぎったが、この話は本当だと思う。いろいろ、腑に落ちるのだ。人事部にいた頃、黒川はいつも読書をしていた。『置かれた場所で咲きなさい』、『嫌われる勇気』、『家族という病』……。暇だからその年のベストセラーを読んでいるだけと思っていたが、振り返ると、どれもそのときのサクラが直面する問題に役立つ本ばかりなのだ。「スーーッ」と納得がいかなくなるサクラにドンピシャの答えを授けるため、うまく説明できるよう親心で先回りしていた気がする。

 かつて、火野すみれ(相武紗季)はサクラに「私はもうあなたみたいに生きられないから、あなたのことを応援する」と言ったことがある。ゴルフ帰りの社長(西岡徳馬)に対するご機嫌取りが、黒川は抜群にうまかった。きっと、黒川は空気を読みながらあの地位に上り詰めたタイプだ。しかし、彼の胸に引っかかるものもある。そして、会社の空気を変える存在としてサクラが現れた。

 「俺は花村建設を生まれ変わらせたいんだ」(黒川)

 サクラを娘と重ね合わせ、共に突き進む夢を黒川は持った。サクラが変わることを良しとしなかった同期と違い、彼なりにサクラの成長を促し、チャレンジを歓迎した。だから、どうしても黒川が悪役には見えなかったのだ。もし会社に留まっていたら、サクラは故郷に橋をかけられたかもしれない。黒川のような理解者に見守られながら才能を開花させる道もありだったと思う。


同期のサクラ 黒川を呼び止め、退職願を差し出すサクラ イラスト/まつもとりえこ

 「これからはどんなにつらくても踏ん張って、困難な道を行きます」(サクラ)

 でも、サクラは退社する道を選んだ。“力”は必要だけど、「犠牲が出るのは仕方ない」という黒川の考え方はサクラにそぐわない。信じ合える仲間と切磋琢磨することこそ、サクラが考える“力”だ。

 花村建設を去るサクラの後ろ姿を見つめ、黒川は微笑んだ。サクラがどんな答えを出すのか、黒川はいつも楽しみにしていた。茨の道を進もうと決めたサクラに期待し、頼もしく思っていたように見える。仲間を選んだサクラのことを、黒川は一方的に仲間と思っていたのだろうか? いや、両親を亡くしたサクラにとって、黒川が父親ですみれは母親のような存在だった。「同期のサクラ」の最終話はサクラと黒川の物語だった

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