「売店には“駅そば”!!」「これ分かってるな……」 乗り鉄的「天空ノ鉄道物語」のディープな楽しみ方(前編):月刊乗り鉄話題(2019年12月版)(3/3 ページ)
東京メトロ展示とガシャポンカフェ 「帝都高速度交通営団」のむかし物語
外周展示エリアの締めくくりは「展望カフェ」です。見どころは巨大な「営団地下鉄マーク」。「S」をモチーフとしたデザインは地下鉄の英語「Subway」のほか、「安全(Safety)」「信頼、正確(Security)」「スピード(Speed)」「サービス(Service)」という意味を込めていたそうです。
営団地下鉄は現在の東京メトロの前身となる鉄道会社です。正式名称は「帝都高速度交通営団」です。古めかしい印象ですね。それもそのはず、成立は第二次大戦中です。東京にあった2つの地下鉄会社、東京地下鉄道と東京高速鉄道を戦時政策により統合しました。
「帝都」は帝国(大日本帝国)の首都、「高速度」は路面電車に対して地下を走るため高速であること、営団は「経営財団」の略です。経営財団とは戦時政策で結成された官民共同事業体のこと。他にも住宅営団、農地開発営団、食糧営団などがありました。これらは戦後に解体されましたが、営団地下鉄だけは戦争目的ではなく、東京の地下鉄建設を推進するため存続されました。
営団地下鉄設立時の出資者は国営鉄道と東京都、大手私鉄でした。戦後、国営鉄道の出資分は国鉄に引き継がれ、国鉄の分割民営化によって国鉄清算事業団に移管、のちに大蔵省、財務省に移管されました。大手私鉄の出資は返却されて、国と東京都の出資事業となりました。
2004年、国の行政改革「民間でできることは民間で」によって帝都高速度交通営団は解散し、現在の「東京地下鉄株式会社」が発足します。「東京メトロ」は会社名ではなく愛称です。
おなかが空いたら「観光列車の食事」「駅弁」そして「駅そば(!)」がある!
東京メトロの路線マークがある展望スペースは、カプセルトイベンダー機でコーヒー豆を買ってオーダーするカフェが併設されます。お土産コーナーも鉄道グッズがたくさん並びます。スカイギャラリーの2つの飲食店には、駅弁や駅そばをオマージュした特別メニューがいろいろ。人気の観光列車の食事を再現したコースもありました。
(続く)後編は、「国鉄時代のにおいがムンムンする」ような……渋くて懐かしい“国鉄”コーナーがある内周展示をじっくり紹介します。お楽しみに。
特別展 天空ノ鉄道物語
- 開催期間:2019年12月3日〜2020年3月22日
- 開館時間:10時〜20時(火曜日は17時まで)
- 場所:森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
- 公式サイト:https://tentetsuten.com/
当日券は大人2500円。さいたまの鉄道博物館(1330円)や京都鉄道博物館(1200円)、リニア・鉄道館(1000円)よりお高め……と思いますが、実は森タワースカイギャラリー(展望フロア)の入場料(1800円)も含まれているため、特別展の入場料は実質的に700円です。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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『カレチ』作者でも知られる池田邦彦さんと鉄道フォトライターの栗原景さんに裏話を聞きました。
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