ダメなわけないだろ……! とあるインドカレー屋の「ほっこり」書き置きに「癒やされる」の声 背景には知られざる店主の苦労が

実際にお店を訪れてみました。

» 2020年01月24日 19時45分 公開
[金初太郎ねとらぼ]

 とあるインドカレー屋に貼られた「店主の書き置き」がほっこりすると注目を集めています。書き置きの内容は「1月15日から2月14日まで電話予約ができません。いいですか?」(要約)というものなのですが、その理由や、つたない日本語で一生懸命書かれたメッセージに「癒やされる」「何だか心がほっこりした」といった声が次々と寄せられています。

 実はこのツイート、筆者(@kimjonteran)がたまたま投稿したものだったのですが、せっかくバズったので、お店を再訪しつつ「書き置き」の背景などを調べてみました。


ナマステカレー


 書き置きはA4の紙にマジックで書かれており、文面は「お客様へ いつもありがとうございます。スミマセーン ごめんなさい」というあいさつから始まり、「私は1ケ月、くにに帰ります。(インド)」「弟は日本語あまり上手じゃないです。だから電話予約できません」といったもの。最後は「イイデスカ? 大丈夫ですか? OKですか? ナマステ」と結ばれています。そんな聞き方されたらOKに決まってるだろ!

 手書きの文字や文章からは、店主の一生懸命さがにじみ出ているようで、筆者も思わず「OKだろ」とツイート。リプライでも「大丈夫だよ」「ダメって言う人いる?」など、肯定的な意見が多く寄せられました。

 このお店は島根県浜田市にある「ナマステカレー」。実は店主のシンさんは、過去(2018年)にも同じように「貼り紙」で話題になったことがありました。

 そのときの貼り紙は、要約すると「昨年から休まず営業していましたが、休むタイミングが分からなくなってしまいました。でも休みたいので、3月からは火曜日を定休日にしたいと思います。大丈夫ですか?」といった内容。味のある文字や文体はそのままで、投稿者が「なんかもうプラス要素しかない・・・」とTwitterに投稿したところ、11万回以上リツイートされ大きな話題になりました。店主が天然の愛されキャラすぎる……。



ナマステカレー このときの貼り紙は額に入れて飾られていました

 店主と親交が深いという地元の常連客に聞いたところ、シンさんはインド北部出身で、年齢は30代後半。10年ほど前に来日し、地方のインド料理店で修行をつんだのち、2017年12月に浜田市内のパブの軒先を借りて念願の独立開業に至ったといいます。

 しかし、開業から3カ月間、たった1人で1日も休まずカレーを作り続けたところ、さすがにヘトヘトになってしまい、それで上記の「火曜日を定休日にしたい」というお知らせを張り出したそうです。貼り紙が話題になった後は「働き方改革を訴えるインドカレー屋」と地元メディアでも記事になり、一時は行列ができるほどの人気店に。図らずもお店が活況となったことで、シンさんは故郷から弟を呼び寄せ、より駅に近い、現在の店舗を移転オープンしたとのこと。


ナマステカレー 現在のお店

 常連客によると、シンさんは妻子を故郷に残しての単身赴任中。店が軌道に乗ったことでようやく一時帰国の夢がかないましたが、その間に常連客が離れてしまっては元も子もありません。それでいつもは調理補助を担当している弟に留守を任せる決断をし、冒頭の「置き手紙」を書いた――というわけです。

 果たして弟さん1人でお店は大丈夫なのか? 実際にお店を訪れてみると、弟さんはAI通訳機「ポケトーク」を使うことで、ちょっとした会話にも何とか対応できていました。

 筆者が「もうかっているの?」と聞くと、「ア・リトル(ちょっと)」と弟さん。ポケトークを通じ、置き手紙が話題になっていたことを伝えると「知らなかった」と答えてくれました。基本、注文は客がオーダー用紙に書くシステムで、兄のシンさんがいなくても切り盛りはできている様子でした。

 イートインのテーブルにふと目をやると、年季の入った「旅の指さし会話帳 ヒンディー語」が置かれており、表紙にはサインペンで「どうぞ つかって!!」とのメッセージが。どうやらツイートを見た誰かが弟さんのために持ってきたもののようです。貼り紙だけでなく、見た人を思わずほっこりさせる日本とインドの交流がここにもあったのでした。


ナマステカレー 誰かが持ってきたと思われる「旅の指さし会話帳 ヒンディー語」

ナマステカレー 持ち帰りのカレーもおいしかったです

(文と写真:金初太郎


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」