ゲームの国際戦で高校生が海を越え、時に人力でTASを超え ひたすら最速クリアを目指す“RTA(リアルタイムアタック)の歩き方”(2/3 ページ)

» 2020年02月14日 19時00分 公開
[ねとらぼ]

TASに追随し、時に超えてしまうRTA

―― “RTAの自由さ”についてもう少し。テクニック面でいうとバグ技アリのレギュレーションもありますよね。「ロマンシング・サガ2」(SFC)の「サブフレームリセット」とか

「RTA in Japan Online 2019」で披露された、サブフレームリセットを利用した「ロマサガ2」RTA

サブフレームリセットの使用により、メニュー画面がおかしなことに。先にクリアした右画面(もっちさん)は約13分の操作後、約12分間のエンディングがあり、25分16秒という記録に

 以前、TASではツールの事情で1フレームごとにしか操作できなかったんですが、それがミリ秒単位で指定できるようになって。そこから「1フレーム以下の時間でゲームをリセットする操作を行うと、セーブデータを書き換えることができる」と分かったんですね。

 TASの技術をRTAに取り入れる動きはけっこう前からあって、このサブフレームリセットも実機でやっている人たちがいます。

―― 人間がTASみたいなことをやっているわけですよね。普通は「TAS=人間では不可能なプレイをするもの」という認識だと思うのですが

 そうですね。でも、逆に「RTAの方が早くクリアできるタイトル」もあったりします。

 例えば、「Sa・Ga2 秘宝伝説」(GB)は実機を使わないと出せない乱数があるなどの理由から、TASより人力の方が短時間でクリアできる、という。

「スーパーゲームボーイで出せる初期乱数がめちゃくちゃ有利」でTAS超えできるという「Sa・Ga2 秘宝伝説」

「TASの今の記録が8分25秒」「自分の最速タイムが昨日出したんですけど7分35秒です」

―― RTAプレイヤーの方ってそういう情報、どこから得ているんですか? 一般的な攻略サイトなどには乱数の話なんて書かれていないですよね

 1つには「Speedrun.com」というRTA記録集積サイトに行って、世界1位の動画を「こうやってプレイするのかあ」と見れば、そのまま情報になります。

 バグ技の発見などはほぼ集合知ですね。プレイヤー数が多ければ多いほど、皆で一斉につっつくので、何かしらほころびが出てくるというか。海外プレイヤーとの交流もあるので、そうやって見つかった新しいテクニックの情報が英語で入ってきたり、僕らは僕らで翻訳サイトを使って教えてあげたり。

―― めっちゃコアな国際交流……!

RTAプレイヤーは、どんな風にゲームしているのか

―― 「RTAプレイヤーとしての才能」ってなんだと思いますか?

 ジャンルによっていろいろ変わりますけど、アクションなら操作精度、パズルなら即座に手を見つける判断力などでしょうか。

 RPGだと戦略の立て方、ランダムイベントに対する立ち回りあたりが重要になってきます。僕は基本的にRPGのRTAをやっていて、操作はあまりうまくないですね。RTA用の攻略チャートを作るのが得意なほうです。

―― RPGのRTAを見ていると「○○さんのチャートをお借りしました」と言っていたりしますよね。あれって、どうやって考えているんですか?

 僕の場合は、ゲームの情報を頭にたたき込んで「こういうルートで移動した方が早いかな」「どう買い物するのが、効率がいいかな」みたいに日常的に考えられるように。そうやってアイデアが思い付いたら、仕事が終わってから自宅で試してみる感じです。

 チャートの作り方はけっこう個性が出るところ。相当運が悪くても大丈夫なように組む人もいますし、反対にかなりツイてないとダメで、リセットを連続するような作りにする人もいますね。

―― チャートの準備に加え、実践もしないと記録は出せないわけですが、RTAの練習ってどれくらいするものなんですか?

 練習時間の長さも、タイトルによりけりですね。僕に関して言うと「ヴァルキリープロファイル」は発売から20年間くらいやっていて、もう何百回クリアしたか分かりません。メモリーカード5個が練習用データで埋まるくらいプレイしています。

 でも、「本将棋 内藤九段将棋秘伝」(FC)の練習は1日しかしていません。世界4位の記録を持っているのですが。

―― ……むしろ、何でそんなRTAやってるんです?

※本将棋 内藤九段将棋秘伝:コンピュータと将棋で対戦できるのだが、弱いため、対局開始から15手で詰ますことができる。必勝の手筋が決まっているため、このRTAでは(本来、将棋とは無関係な)操作のスピード、正確性でしか差がつかない。

 それになぜチャレンジしてしまうRTAプレイヤーがいるのか不思議だが、もっと不思議なのは2018年の「RTA in Japan 3」で行われていた「本将棋 内藤九段将棋秘伝シングルエリミネーショントーナメント」がめちゃくちゃ盛り上がっていたことかもしれない。


なぜ全力を尽くした

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  9. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」