ラーメン二郎未経験者が「レンタル二郎食べる人」と二郎に行ってみた 「依頼人の8割が女性」「すぐにスマホの通知が止まらなくなった」

確かに需要があるかも!

» 2020年03月06日 18時45分 公開
[たちこぎライダーねとらぼ]

 食べごたえのあるメンに、たっぷりのもやしやキャベツ、ぶ厚いチャーシューなどが特徴の「ラーメン二郎」。そんなラーメン二郎に“ただ同行してくれるだけ”のサービス「レンタル二郎食べる人」を、Twitterユーザーの清水くん@hakumaimosukiyo)さんが始めて話題になっています。「一人では入りづらい」「注文の仕方が分からない」などの場面でご利用くださいとのことですが……一体どんなサービスなのか、清水くんさんに連絡をとり、実際に同行をお願いしてみました。



 ラーメン二郎は関東圏を中心に展開するラーメン店。一風変わった注文方法「コール」や、ジロリアンと呼ばれるコアなファン層を持つことでも知られています。


レンタル二郎食べる人 このラーメンが人々を魅了してきた

 なお筆者はラーメン二郎未経験。清水くんさんに手取り足取り教えてもらうつもりで、TwitterのDMでやりとりしつつ日時や場所を決めました。依頼したのは2月1日でしたが、スケジュールが埋まっているとのことで決行は約3週間後に。


「じゃあニンニク、アブラと呪文を唱えてください」

 待ち合わせた駅に現れた清水くんさんは、身長180センチ、体重110キロの大柄な若者でした。しかも、両脇には松葉づえを抱えています。現在は大学3年生で、中学校から大学まで寮生活で柔道に打ち込んできましたが、昨年(2019年)ひざをケガしたため、2月に手術をし、現在は病院の近くに泊まってリハビリを続けているそうです。情報量が多い!


レンタル二郎食べる人 松葉づえ姿で現れた清水くんさん

 「二郎は初めてですか?」「普段ラーメンは食べますか?」「好き嫌いはありますか?」。駅から最寄りのラーメン二郎に向かって歩く途中で、清水くんさんは、いくつか質問をしてきました。メンの量を決める際の参考にするそうです。

 清水くんさんが「レンタル二郎食べる人」を始めてから、取材日までは1カ月もたっていませんでしたが、この日までに十数人を二郎に連れていったと教えてくれました。依頼人の8割以上が女性だったといいます。

 さらに「コール」についても教えてくれました。

 「店員さんに『ニンニク入れますか?』って聞かれたときに返すのが『コール』です。ニンニク、アブラ(脂)、ヤサイ(もやしやキャベツ)、カラメ(タレなど)の4種類あります」と清水くんさん。「初めてなのでシンプルなやつで」と伝えると、「じゃあ、ニンニク、アブラと呪文を唱えてください」と返ってきました。

 5分ほど歩くと店に着きました。列ができていましたが、並んでいたのは大人数のグループだったため、2人組のわれわれが先に店内に通されました。まず、自動販売機で食券を購入します。初心者の筆者は「小ラーメン」を、清水くんさんは「小ぶた増し」を選びました。

 なお、ラーメン二郎では「小ラーメン」が一般的なラーメンのメンの量に匹敵します。清水くんさんによると、「初めての方は『大盛り』を避けたほうがいいです。お店によっては『ミニ』とか『プチ』もあるので、迷わずそれを選んでください。不安だったら、食券を見せるタイミングで『メンを少なめに』とか『半分で』って言うと対応してもらえます」とのことです。

 カウンター席に着くと、食券を差し出します。ここで「あれっ、教わった呪文はどのタイミングで言うんだっけ?」と混乱してしまいます。清水くんさんが同行した人たちも、ここで「パニッくって『あ、あ……』となる人は多い」そうです。店員から聞かれるまで待つよう、再度教わりました。


レンタル二郎食べる人 紳士的なふるまい……!

 清水くんさんは持参したティッシュとウェットティッシュをカウンターを取り出しました。手が脂でベトベトになったときなどに使ってくださいとのことです。さすがの気遣いです。

 数分後、ついにそのときがきました。「ニンニク入れますか?」。店員の動きを熟知している清水くんさんに、その少し前から「そろそろきますよ」と教えてもらっていたので、迷わず、なんなら食い気味に「ニンニク、アブラ!」とコールを返すことができました。清水くんさんは「ヤサイ、アブラ」です。

 「お店の人もニンニクを入れる前提で味を整えていると思うんですけど、僕はニンニクを入れずにスープの味を味わいたいなと思って。最近はニンニク入れていないんです」と清水くんさんは言います。

 それから1、2分後、カウンターにデン! と注文したラーメンが置かれました。もやしの山にアブラ、分厚いチャーシューが2枚のっています。早速食べ始めます。

 結論を述べるならば、初めてのラーメン二郎のラーメンは「格闘」でした。アブラが乗ったヤサイから着手し、途中でメンをすすりながら食べ進めます。もちろん「ぶた」を頬張ることも忘れません。若いころは毎晩2合の白米を平らげていた筆者も今は中年。あまりのボリュームに、途中でくじけそうになります。隣を見れば、清水くんさんは早々に食べ終えています。「依頼者が女性の場合は、食べる早さを合わせるんですが、男性の場合はふつうに食べます」と笑っています。


レンタル二郎食べる人 辛うじて食べ終えました

 清水くんさんが「完食」するまでの倍ほどの時間を食べて、ようやく筆者も食べ終えることができました。駅で待ち合わせてからここまで、約40分間でした。


まさか依頼が入るとは「サービスを始めたのは思い付き」

 清水くんさんがラーメン二郎に通うようになったのは、2年ほど前。もともとラーメンが好きでしたが、地方で暮らしていた中学生のころから、普通のラーメンでは大盛りでも食べ足りないと感じるようになったそうです。「そんなとき、東京には『二郎』という、とんでもなくコスパのいいラーメンがあると聞いて、憧れたんです。大学で東京にきて、初めて行けたんです」

 以来、ラーメン二郎にハマり、大学近くのラーメン店でバイトをするようにもなりました。柔道の厳しい練習の後でバイトに入る日々でしたが、「そんなときにまかないで食べるラーメンは格別です」と清水くんさんは言います。

 「レンタル二郎食べる人」のサービスを始めたのは「思い付き」でした。まかないのラーメンをツイートしようとしたとき、ふと「レンタルなんもしない人」の存在を思い出したそうです。何げなく、それをラーメン二郎にからめてツイートをしたところ、予想以上の反応がありました。「DMが2つ3つ届いたら面白いかなと思ったんですが、すぐにスマホの通知が止まらなくなって。関西とか東北在住の人から『こんど東京に行くので』と依頼が入るときもありますし、『多分清水くんのお母さんより年上ですが……』と50歳代の人から依頼されたこともありました」



「需要がある限りはサービスを続けたい」

 もともと人見知りな性格だった清水くんさんでしたが、「これじゃダメだ」と1年ほど前から人前でも緊張しないよう、自分なりにトレーニングを重ねてきました。さらに「レンタル二郎食べる人」のサービス開始によって、一気に初対面の人との関わりが増えました。そんな状況を清水くんさんは「楽しんでいる」そうです。

 ラーメン二郎の魅力について清水くんさんは、「お店によって個性が違うこと」だと言います。「スープの乳化具合、メンのかたさ、野菜のゆで加減が違うので、まったく別の味を楽しめる。だから、このサービスをやっていても飽きることはないんです」



 清水くんさんはもうすぐ4年生。就職活動が始まっていますが「社会人になっても需要がある限りはサービスを続けたい」と言います。「特別なことはしているつもりはなくて、ご飯を一緒に食べているだけなんです。働き始めても、ふだん食べるご飯の代わりに誰かとラーメン食べに行くっていうだけなんで」

 なお「レンタル二郎食べる人」は取材日の時点で、3月末まで予約で埋まっているとのことです。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/17/news163.jpg 柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
  4. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. /nl/articles/2412/17/news049.jpg 「品数が凄い!!」 平愛梨、4児に作った晩ご飯に称賛 7品目のメニューに「豪華」「いつもすごいなぁ」【2024年の弁当・料理まとめ】
  7. /nl/articles/2412/17/news183.jpg 「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
  8. /nl/articles/2412/17/news144.jpg 「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】
  9. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  10. /nl/articles/2412/17/news033.jpg セリアのふきんに、糸で“ある模様”を縫っていくと…… 思わずため息がもれる完成形に「美しい」「やってみます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」