海に行きたくなくなる!(?) マジで面白いサメ映画ベスト10(3/4 ページ)
3位 「ディープ・ブルー」
海中の研究施設からの脱出を図るが1人また1人とサメの餌食になってしまう……というやっぱりシンプルな内容だ(ていうかサメ映画はだいたいシンプルだ)。監督は「ダイ・ハード2」や「クリフハンガー」のレニー・ハーリンで、大掛かりなセットを利用した大胆なアクションで楽しませるサービス精神は今回も健在。いわゆる“死亡フラグ”を逆手に取った作劇も特徴で、「こいつは生き残るだろう」と思うほどにキャラ立ちしていた人物が、次の瞬間でいきなりパクッとサメに食われたりする。
間延びしたシーンはほとんどなく、次から次へとサメが派手に襲ってくる期待通りの展開と、「そう来るとは思わなかった!」という期待を裏切る展開がバランス良く配合された、エンタメ性抜群の快作である。なお、2018年に19年ぶりとなる続編「ディープ・ブルー2」が製作されている。さらに、最新作「ディープ・ブルー3」のソフトが2020年10月9日に発売、10月7日よりデジタル先行配信がスタートとなる。
2位 「ロスト・バケーション」
出てくるサメはたった1匹、主人公がいるのは海面から少しだけ見えている岩肌という、小細工なし、直球勝負のサメ映画だ。序盤のサーフィンシーンから分かる映像の美しさ、“周回時間”を計算するなどの知略バトル、長時間におけるサバイバル要素、ゆっくりと確実にサメの恐怖を示していく演出など、とにかく全てにおいてクオリティーが高い。主人公が医学生であるという設定も重要で、その知識のおかげで自身のケガの“応急措置”ができたり、それが彼女自身の人間としての成長に深く関わってくるというのもうまいところだ。
主演を務めるブレイク・ライブリーは、週に6日、1日最大12時間を水中で過ごすという過酷な撮影をやりきっている。主人公の心強いパートナーとなるカモメ(CGではなく本物)がとってもいとおしいということも美点だ。なお、本作の監督は「エスター」や「ラン・オールナイト」などの、ケレン味のあるサスペンスを得意とするジャウマ・コレット=セラ。その最新作は2021年公開予定のドウェイン・ジョンソン主演のディズニー映画「ジャングル・クルーズ」で、こちらも大期待であることは言うまでもない。
1位 「ジョーズ」
1位はやっぱりそれかよ!となってしまいそうだが、やはり名作中の名作なので仕方がない。これほど原点にして頂点という言葉が似合うのは、初代「ゴジラ」と本作をおいて他ないのではないか。中盤まではほとんどサメの姿が映らないのに、その恐怖をじわじわと確実に見せていくサスペンス演出が上手すぎる。サメ映画の超えられない壁を作り上げたスティーブン・スピルバーグ監督は偉大としか言いようがない。
サメの危険が迫っているのに市長が「この夏は書き入れ時なんだ!」と強行突破で海開きをしようとしたりする様は、少し前のコロナ禍における何かをほうふつとさせたりもする。日本に落とされた原子力爆弾に関わる言及もあったりと、今見てもハッとさせられる事ばかりだ。クライマックスの対決は、特に“樽”を使ったアイデアにうならされる。「ジョーズ」より面白いサメ映画に、いつか出会ってみたいものだ。
おまけその1:最高のピラニア映画はこれだ!
サメだけじゃ満足できない!という方には、こちらの「ピラニア」(2010)はいかがだろうか。美女およびビーチで大はしゃぎしている若者がピラニアに襲われまくるという、グロやおっぱいに全ステータスを振り切った実にスガスガしい内容である。R15+指定でもギリギリのグロさなのでお子様には全くおすすめできないが、悪趣味上等という大人には大プッシュでおすすめだ。「MEG ザ・モンスター」のクライマックスで残酷シーンが欲しかった!と思っている方にもぜひ見ていただきたい。
おまけその2:ワニ映画にも名作があるぞ!
サメとピラニアでもまだ足りない!という方には、ワニ映画の「クロール 凶暴領域」はいかがだろうか。「ワニの移動速度は遅い」という制約を逆手に取った、台風で浸水した狭い一軒家の中で繰り広げられる攻防には驚きと興奮の展開の連続。PG12指定ギリギリの、ワニのどう猛さを示す残酷描写もしっかり盛り込まれている。災害時における極限状態の人間の心理、親子愛を主軸にしたドラマも必要最小限ながら用意されているのも美点だろう。
まとめ:サメ映画で感心すること
これらのサメ映画をまとめて、改めて感心するのは、「海にいるサメと、陸上生活をしている人間を戦わせることができるのか?」という難題に、いずれもさまざまなアイデアをもって答えていることだ。「パニック・マーケット」ではスーパーマーケットが浸水し、「海底47m」では檻に入って海底に沈むダイビングの娯楽サービスを利用し、(ネタバレになるから詳しくは書けないが)「シャークナイト」のサメが湖に登場する理由にもしっかりとした理由づけがされている。これならサメに襲われても仕方がない。
子どもから大人まで、その生物としての圧倒的な“強さ”に憧れを持つ存在であるサメ……。現実ではサメには絶対に襲われたくはないが、サメへの畏怖と敬意は忘れないでいたい。その気持ちを娯楽として提供してくれる、サメ映画の製作者には改めて感謝しかないのだ。
(ヒナタカ)
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