「滋賀なのにライオンズ推し、なぜ?」 ブルーの“元”西武車が元気に走る「近江鉄道」懐かしの旅(3/4 ページ)
さわやかなブルーがまぶしい“元西武”の新型車両「300形」
八日市駅で待っていると、お目当ての新型車両「300形」が入線してきました。
とにかくさわやかなブルーがまぶしい。西武鉄道で走っていたころの姿とはまったくの別物に見えます。
貴生川方の先頭車には、西武時代と同じくパンタグラフが2基あります。電気機関車みたいでカッコいい。2020年8月31日まで登場記念のオリジナルヘッドマークも掲出しています。
300形は譲り受けた西武3000系を改造した車両です。3000系は1983(昭和58)年に「黄色」をまとって西武池袋線でデビューし、長年活躍した通勤電車。新101系と同じ3ドア車体に、2000系で使用される界磁チョッパ制御を備えています。手っ取り早く説明するなら、新101系と2000系を掛け合わせたハイブリッド型といいましょうか。2014(平成26)年に、新101系よりも早く西武鉄道から引退。こうして近江鉄道へやってきたというわけです。
車内もいいですねー。座席も外装と同じくブルーです。背ずりと座面の間にあるすき間は若干空いています。西武らしさ、こんなちょっとしたところにも残っていました。
このほか西武時代には絶対になかったもの。それは「自転車置き場」です。
近江鉄道は、車内に自転車を持ち込める「サイクルトレイン」を実施しています。私が乗車したときも自転車を持ち込んで移動する利用客がいました。地元の方だけでなく、ロード乗りの人やレンタサイクルを借りて沿線を楽しむような旅にも便利そうです。
一方、“新型車両”らしく最新機器も搭載しています。それが扉上に設置された「デジタルの車内案内表示装置」。近江鉄道初だそうです。数駅先も表示される優れモノで、乗り慣れていない旅行者にも分かりやすくて優しい。実際にかなり助かりました。
最後は「音」も楽しみましょう。発車時に聞こえる界磁チョッパらしい「クォーン」という音がまたいいのですよ。他の電車と聞き比べてみても面白いですよ。
近江鉄道には他にも車体が青い車両はありますが、側面に白帯があるかどうかで見分けられます。新しい300形は「白帯なし」です。近江鉄道はWebサイトで運行時刻を公開しているので、新しい300形に狙って乗るならば事前チェックをお忘れなく。
オールドファンも納得「近江鉄道ミュージアム」もお勧め
近江鉄道を訪れたならば、八日市駅の2階にある「近江鉄道ミュージアム」にも行きましょう。入場無料です。館内はほどよい広さで回りやすく、渋めな見どころがたくさんあります。
さまざまな展示物の中で見入ってしまったのは「記念きっぷシリーズ」です。近江鉄道は1988(昭和63)年まで貨物輸送をしており、国宝級の電気機関車が活躍していました。この勇姿を称えてデザインした昔の記念きっぷ、これだけでもう貴重な史料です。
特に「おっ」ときたのは、真四角顔のED14形です。
この機関車は1925(大正14)年、東海道本線の電化に際して国鉄が米国のゼネラル・エレクトリックから輸入したもので、後に近江鉄道が譲り受けたものです。近江鉄道では彦根駅〜多賀駅(現多賀大社前駅)間で、セキ1 10両編成の石灰石輸送専用列車が活躍しました。
2001年の鉄道の日に発売した記念乗車券/入場券は、ED14形、ED31形、ロコ1100形による三役揃い踏みでした。いずれも鼻のような1灯ランプを備え、現代の車両にはない個性的なスタイルです。
「方向幕小さっ!」と思わずつぶやいてしまったのが「モハ131形」です。モハ131形は、1950(昭和25)年に西武鉄道から譲り受け、1961(昭和36)年に近代化工事により方向幕が設置されました。でも、わずか1年で撤去されたとのこと。「やっぱり見にくい/意味あるかこれ?」そんな声が多かったのかもしれません。
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