「超小型モビリティの公道走行が解禁に」 つまりどういうこと?(3/4 ページ)

» 2020年09月20日 19時00分 公開
[少年Bねとらぼ]

超小型モビリティ、なぜ普及を進めているの?

 国が超小型モビリティの普及を促進する理由は何でしょうか。

 国交省資料「超小型モビリティの成果と今後」によると、日本の自動車利用は、7割が移動距離10キロまで、大半が乗車人数は2人以下、5割以上が「高速道路を利用しない」ことを背景に挙げています。

超小型モビリティの位置づけ 地域交通における自動車利用の多くは、移動距離10キロ以内/乗車人数2人以下が大半(国土交通省「超小型モビリティの成果と今後」より)
超小型モビリティの位置づけ このことから超小型モビリティは、「徒歩では負担が大きい」「自動車以外の移動手段がない」「公共交通の利便性が悪い」領域に適応する──と期待される(国土交通省「超小型モビリティの成果と今後」より)

 併せて、高齢化や過疎化に伴う地域住民の交通手段に関する課題もあります。徒歩では負担が大きく、公共交通の利便性が悪い地方において、小回りの利く地域の足として適合する可能性が期待されています。

 都市部や観光地でも「移動する目的」だけならば、所有ではなく「利用する」シェアサービス用車両としての利用シーンも大いに見込まれます。

 そしてEVであることは、国際的な温室効果ガス削減目標達成に向けた効果、具体的な施策も国として命題です。

超小型モビリティの位置づけ 国が想定する超小型モビリティの主な利用シーン(国土交通省「超小型モビリティの成果と今後」より)


 これまでは手堅い需要が求められる業務や公務シーンから普及を進め、観光地のレンタル利用などを通じて一般の認知度向上を狙っていました。これを、さらに近い将来の手軽な足として活用されるよう広く普及を推進していく考えです。

 なお超小型モビリティは、トヨタや日産、ホンダ、ヤマハ発動機といった大手モビリティメーカー各社から、新興モビリティメーカーも含めてかなり本気モードで車両を開発しています(関連記事)。また、より小型の「パーソナルモビリティ」(関連記事)まで広げると、もっと幅広い利用シーンが生まれると期待されています。

超小型モビリティ トヨタの超小型EV「Ultra-Compact BEV」
超小型モビリティ Ultra-Compact BEVは2人乗車に対応し、リアにはそこそこ広い荷室もしっかり搭載。「“現在、軽自動車を求める人”に適する価格帯以下」にするのが課題であり、目標であるようだ
超小型モビリティ ヤマハの3輪技術LMWを採用した「MW-VISION」。カッコイイ
超小型モビリティ シザードアを採用する日産自動車の「ニューモビリティコンセプト」。こちらは2人乗車が可能な、超小型モビリティの認定制度を利用した車両で、軽自動車と同じ黄色ナンバーを付けている。ナンバーの色は新たな色になる説、あるいはそのまま黄色になる説があるものの、2020年9月時点では不明

 今回「超小型モビリティ」の法の整備が進んだことで、一般利用者向けとしても、事業やサービスとしても、新たなビジネスや活用シーンがこれから一気に花開いていくかもしれません。今後に注目したいところです。

 皆さんは超小型モビリティ、どう思いましたか?

(少年B)



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