コロナ禍の中で開催の“ドイツのコミケ”に2万8000人が参加 どのように開催されたのか現地で見てきた(2/2 ページ)

» 2020年10月10日 21時00分 公開
[Katahoねとらぼ]
前のページへ 1|2       

感染への不安は? 参加者に聞いてみた

 一般の来場者や各エリアのスタッフ、個人・企業ブースで、感染への不安がないのか聞いて回りました。いろんな話しが聞けるのではと期待したわけですが結果ははずれ。全員が不安はないと答えました。話を聞いた人たちが口をそろえて言っていたのは、会場内の人はマスク着用や密を避けるなど予防対策ルールを守って行動しているということでした。だから、自分も心配していないという理屈です。実際に筆者の見た範囲でも、各自ルールをしっかり守って行動していました。

ドコミ コスプレ コスプレのトレンドはアニメ「鬼滅の刃」でした
ドコミ コスプレ 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もよく見かけました
ドコミ ホストクラブ ホストクラブ「スイート・スパイス」は同時接客人数を1グループまでに制限
ドコミ 痛車 「痛車」とのコラボに特化したグループを立ち上げたヤスミンさん(左)、ルイーザさん(右)は日本の痛車イベントに参加したいそうです

 印象的だったのはマンガ出版社altraverseのヨアキム・カプスさんの言葉でした。カプスさんは、「感染への不安はあるが、それは日常生活でも同じこと。むしろルールが徹底されている会場内のほうが感染への可能性は低いのでは」と指摘しました。コロナ禍がまだ当分続くのであれば、2〜3年の間、何もしないか、または「試みる」かのどちらかしかないとドコミの方針を支持しました。

 マンガ出版社にとってはイベント参加によるファン・コミュニティとのコミュニケーションは重要な要素なので出展を決定したそうです。

「altraverseのヨアキム・カプスさん。ドイツのマンガ家によるサイン会もパネルを設置し飛沫感染を防いでいました

主催者に聞いてみた

 ドコミの共同代表のひとり、アンドレアス・デーゲンさんに会場で話を聞くことができました。

ドコミ 共同代表 ドコミの共同代表のひとり、アンドレアス・デーゲンさん

―― ドコミはなぜ開催できたのか?

デーゲンさん 政府が定めるコロナ対策は実施可能だからです。会場の運営会社と緊密に連携してきた他にも、保健当局や警察など行政組織とも定期的に意見交換を行い、準備を進めてきました。

―― 大型イベントは開催禁止なのでは?

デーゲンさん 禁止されているのは不特定多数の人が出入りするイベントです。州政府のルールでは、見本市や会議など参加者が特定できるイベントは開催が許されています。ドコミはこのルールに則って開催しています。

 鍵となるのは、追跡可能性を確保できるかどうかです。感染者が発生してしまった場合に備えて感染経路を遮断するために必要な措置です。

(筆者注:ドコミでは入場チケットに所有者の氏名、連絡先が印刷され、実際にどの人物が来場したかを把握できるようにしています。また、ドイツ政府が運用するスマホ向けの接触追跡アプリの利用も推奨しています)

―― 実際に開催してみた感触は?

デーゲンさん うまくいっていると思います。これは来場者の行動モラルによるところも大きいです。私たちは過去にも、例えばコスプレの持ち込み武器についてルールを定め、守ってきました。ファンコミュニティを存続させるためにルールを作り、そして守っていこうという風土があると思います。今回の感染予防対策も似ています。守るルールが増えただけに過ぎません。

ドコミ フリマ フリマエリア「Bring&Buy」への入場待機列の様子

―― 日本のファンやイベント関係者にメッセージはありませんか?

デーゲンさん ルールを設け、少しずつテストしていくのが重要だと思います。日本でもイベントが開催されるようになることを願っています(※)。

※編注:日本でも9月19〜20日に京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)が開催されるなど、徐々にリアルイベントが開催されるようになってきています。

終わりに

ドコミ 最も混み合っていた商業エリアはピーク時でも肩が触れ合うようなことはありませんでした

 このドコミの開催実現には他のアニメファンイベントだけでなく、イベント業界全体が注目しているようで、商工会議所や業界紙がドコミの開催を報じていました。リアルイベントの今後の先行きにいまだ不透明なところが多い中、ドコミの開催実現は多くのファンに支持され、また他のイベント主催者を後押しすることにもなりそうです。今後に少し期待できるような望みが出てきたのではと筆者は感じました。

(写真協力:Lena Kluth)

著者紹介

Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じたドイツと日本の交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加(Twitter:@sakaikataho


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/24/news088.jpg ヤフオクで出品されていた「20万円の引退品」→開封すると…… “まさかの中身”に賛否 「ゾッとしたわ…」「しゃーない」
  2. /nl/articles/2412/25/news115.jpg 辻希美&杉浦太陽、家族6人でクリスマスに豪華料理 長女・希空が作った“プロ級のケーキ”も…… 「凄くいい時間だった」
  3. /nl/articles/2412/24/news092.jpg 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  4. /nl/articles/2412/24/news037.jpg 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/25/news152.jpg 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  6. /nl/articles/2412/23/news078.jpg そば屋の看板のはずが…… 雪で“別の店”みたいになってしまった光景が北海道の豪雪のすさまじさを物語る
  7. /nl/articles/2412/25/news009.jpg 若かりしころの父と母→36年後…… 苦楽をともにしてきた“現在の姿”に「泣いた」「本当に素敵」と1700万再生突破【海外】
  8. /nl/articles/2412/23/news025.jpg 幼少期から“ディズニー”大好きな2人→25年後…… まさかまさかの“現在”が話題 「映画のワンシーンのよう」
  9. /nl/articles/2412/25/news021.jpg 大型ワンコが猫に育てられた結果…… 驚きの行動連発に「自分を猫だと思っていないっw?」「かわいすぎる!」
  10. /nl/articles/2412/24/news156.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」される夫婦の苦悩……“年の差33歳差”カップルに反響【個性的なカップル特集2024】
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  3. 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  5. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  7. 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  8. 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  9. トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  10. “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」