【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】“夢の世界”を9年間歩き続けるプレイヤーに聞くゲーム「LSD」の魅力(1/2 ページ)

「説明書では“使わないボタン”で発生するイベントがある」など今なお発見があるとか。

» 2020年12月28日 22時00分 公開
[ねとらぼ]

 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は、ソフトの帯に「こんなのゲームじゃない。」というコピーが使われた「LSD」(PS/ゲームアーカイブス)。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「LSD」(りゅーさん/@liuno

 私は1998年10月22日に発売されたPS向けゲーム「LSD」を2011年に購入し、現在までの約9年間プレイし続けています。実況動画はPart700を越え、発売から20年以上たっても見つからなかったイベントや仕様を見つけたり、さまざまな遊び方を見出したりしながら遊んでいます。

最新動画はPart708(本記事制作時点の情報なので、公開時にはもっと増えているはず)

このゲームの魅力

 「LSD」はリリース当初、「敵やアイテム、せりふ、ストーリーなど、ゲーム性と呼べるものが一切ない」「初代PS特有のポリゴンキャラに広大なフィールドのみ」という点で「プログラマーがPSのポリゴン機能の検証用に“てきとうに作ってみた”と言ってたソフトにそっくり」などと酷評され、まさにクソゲー扱いでした。

 確かにこのゲームには、主人公がいたりストーリーがあったり「敵を倒して成長する」「レースや競技で一番になる」という目標があったり……という、普通のゲームが備えている要素が一切ありません。

 このゲームはこの上なく自由であり、奇妙さあふれる(しかしそれは現実の風景をベースに作られていることが多い)夢の世界を歩き回ること以外、特にすることがありません。分からないことだらけの世界を、プレイヤーそれぞれに「移り変わっていく奇妙な景色をもっと見たい」「あのキャラクターに会いに行きたい」「全部のフィールドを見てみたい」など、自分なりの目的を持って歩き回ることになります。

 一応エンディングはありますが、このゲームをやめるタイミングもプレイヤー次第。私は「人の数だけ遊び方があってよい」ということが、「LSD」の一番の魅力だと思います。反面、タスクを課されることに慣れているゲームプレイヤーはどう遊んでいいものか分からなくなり、このゲームの良さに触れられず、クソゲー判定を下すのかもしれません。

 その他の魅力的な要素としては、以下のようなものが挙げられると思います。

  • OPムービーの曲を豪華リミキサー陣が担当
  • プレイ中に突然に詩のような夢日記が表示される
  • 謎めいたムービーが流れる
  • 大小あわせて14あるフィールドは、プレイを進めるとBGMや壁の柄など何もかも全てテクスチャが変化

 それから、本当に個人的な話になりますが、「LSD」は建物などの角(かど)が良いんですよ。おかげで現実でも気になっちゃうくらいの角フェチになりました。

自分が遊び始めた理由

 自分がこのゲームを遊ぶようになったのは、ある「ゆめにっき」のプレイ動画で「『LSD』というゲームが元ネタらしい」というコメントを見たのがきっかけ。どうしても遊んでみたくなり、ディスク版を購入しました(すでにPSアーカイブで出ていましたが、対応機種を持っていなくて)。

 当時、ネット上には攻略情報があまりなかったので、「それなら自分で調べよう」と検証動画の制作などを行うようになりました。今年2020年は特に収穫の多い年で「説明書では使わないとされていたボタンで発生するイベント」「20年以上、ほとんど誰にも知られることのなかったイベント」を発見しました。

「発売から20年〜22年たった2年の間で発見されたLSDの要素について紹介」

 こうした検証以外では、こんな遊び方もしています。

  • レアイベントを見るためにローラー作戦で歩き回る「レアイベント探訪」
  • ゲーム性のない「LSD」に、あえて自分でゲーム性を設けて遊んでみる
  • 新型コロナで運動不足が気になったので「DDRコントローラー」を購入→足でプレイしてEDまでいく
  • RTA

 あと、これは理解しがたいかもしれませんが……「脳内で『LSD』をプレイ → その内容を口頭で録音 → 再生しながら実際に『LSD』をプレイ → 脳内妄想がどれくらい正確かを測る」という遊び方もしていました。

「LSD」を手掛けた佐藤理氏について

 このゲームの生みの親である佐藤理氏はデザインを中心に、作曲、ゲームなどにも足を伸ばしマルチに活動していたクリエイター。2000年以降ゲーム制作を離れ、表舞台にほとんど姿を現さなくなってしまったのですが、2017年に突然「Diggin' In The Carts」というゲーム音楽のライブイベントに登場。同年以降、ライブイベントや個展などを精力的に展開しています。

 若いファンも多く足を運んでいるそうなのですが、それは「LSD」に心を動かされた方々ではないかと思っています。PS版は現在、中古市場4〜5万円で取引されています(かつてはワゴン売りされていたそうです)が、ゲームアーカイブスでの配信も行われ、非常に入手しやすくなっていますから。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/08/news006.jpg 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  2. /nl/articles/2412/08/news016.jpg 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  3. /nl/articles/2412/05/news178.jpg イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  4. /nl/articles/2412/07/news025.jpg 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  5. /nl/articles/2412/07/news024.jpg 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  6. /nl/articles/2412/08/news003.jpg ダイソー&セリアの毛糸6玉が、みるみるうちに…… たった4時間編んで完成したとは思えないオシャレアイテムが話題
  7. /nl/articles/2412/07/news039.jpg コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  8. /nl/articles/2412/07/news020.jpg “ひっつき虫”を簡単に取るには…… 身近なアイテムでスッキリするライフハックに「これでイライラしないで取れる」「今度、やってみます」
  9. /nl/articles/2412/07/news057.jpg その発想はなかった! 手に描いた“孫悟空” → 広げたら…… “まさかの変化”にテンション上がる「センスだね」
  10. /nl/articles/2412/07/news018.jpg 赤い毛糸3玉をどんどん編んでいくと……? 完成した“冬のオシャレアイテム”に「わかりやすくて感謝」「編んでみたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」