鉄道の赤字路線ランキングは悲観じゃありません 「乗って楽しいローカル線ランキング」です!月刊乗り鉄話題(2022年9月版)(2/6 ページ)

» 2022年09月15日 18時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

「赤字線区リスト」は悲観リストではありません これは「すてきな、乗りに行くべきローカル線リスト」ですっ!

 JR東日本の赤字線区リスト、乗り鉄の私は「魅力的なローカル線リスト」に見えてきちゃいました。

 利用者が少ない、建物が少ない、自然がいっぱい、ですから当然かもしれません。決して、悲観リストではないのです。

 JR東日本が公開した35路線66線区の中で「平均通過人員が少ない線区」トップ5は以下でした。いえ、これは「乗っておきたいローカル線ベスト5」です!

乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 トップ5
順位 路線名 区間(線区) 営業キロ 平均通過人員
1位 陸羽東線 鳴子温泉〜最上 20.7km 41人/日
2位 花輪線 荒屋新町〜鹿角花輪 32.1km 60人/日
3位 久留里線 久留里〜上総亀山 9.6km 62人/日
4位 磐越西線 野沢〜津川 30.8km 69人/日
5位 北上線 ほっとゆだ〜横手 25.9km 72人/日
(JR東日本開示情報「ご利用の少ない線区」より筆者算出)

 どれも平均通過人員はふ、フタ桁か……。少ないですね。4人掛けボックスシートを1人で使っても怒られないレベルです(前向き)。ただしこの数値は平均ですから、常にガラガラではありません。通学時間帯や帰宅時間帯は席が埋まり、立っている人もいます。その代わりに日中はほぼゼロ、という場合もあるでしょう。

 ちなみに、「路線」ではなく「線区」で区切る理由は、1つの路線の中で駅間ごとに利用者数の差が大きいからです。利用者数が特に少ない区間を切り取れば、平均通過人員はの値は小さくなります。線区の区切りは鉄道会社が任意に決められますから、利用者の少ない区間を際立たせようという考え方も見えてきますね。

 ともあれ、この「乗っておきたいローカル線ベスト5」の魅力に迫っていきましょう。まずは5位から。

【乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 5位】北上線・ほっとゆだ〜横手間

 北上線は東北本線の北上駅(岩手県北上市)と奥羽本線の横手駅(秋田県横手市)を結ぶ路線です。愛称は特にありません(寂しい)。奥羽山脈を超えて横手と北上(開業時は黒沼尻)を結ぶ路線として建設されました。太平洋側の釜石と日本海側の秋田を結ぶルートの一部とも言えます。

乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 ベスト5 北上線を走るキハ100形

 ほっとゆだの名の通り、温泉地「湯田温泉峡」を通ります。最も古い湯本温泉は江戸時代、万治元年(1658年)開湯だそうです。

 車窓の見どころは「錦秋湖」。湯田ダムの人造湖です。新緑の春、湖畔の紅葉がすばらしいところです。北上線はこのダム湖を鉄橋で渡ります。

 私はもう一度乗り直したい。居眠りと日暮れ時で、車窓の良い景色のタイミングを逃してしまったからです。ほっとゆだ〜横手間は秋田県側。東北新幹線が停まる北上から湯田温泉峡へ行く人が多く、秋田県側からはお客さんが少ないのかな。

乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 ベスト5 (参考)北上線の車窓の様子(写真:PhotoAC)

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