鉄道の赤字路線ランキングは悲観じゃありません 「乗って楽しいローカル線ランキング」です!月刊乗り鉄話題(2022年9月版)(5/6 ページ)

» 2022年09月15日 18時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

6位〜10位もステキな路線ばかり

 ちなみに“乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線”の6位から10位は以下の通りです。山の中、県境や自治体の境界をまたぐ区間が多いですね。生活圏の中心から離れているので仕方ないところです。

乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 6〜10位
順位 路線名 区間(線区) 営業キロ 平均通過人員
6位 飯山線 戸狩野沢温泉〜津南 30.4km 77人/日
7位 山田線 上米内〜宮古 92.2km 80人/日
8位 只見線 只見〜小出 46.8km 82人/日
9位 津軽線 中小国〜三厩 24.4km 107人/日
10位 水郡線 常陸大子〜磐城塙 25.7km 109人/日
(JR東日本開示情報「ご利用の少ない線区」より筆者算出)

 6位の飯山線は観光列車「おいこっと」が走ります。山田線は盛岡付近以外の乗客が少なく、盛岡〜宮古間はバス(106急行・106特急)が優勢です。8位の只見線は雪深い区間で、会津川口〜只見間が2011年の豪雨被災で不通となっていました。ランキングもその影響があったと思いますが、2022年10月、約11年ぶりに「全線で運転が再開」されます。

乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 ベスト5 飯山線の観光列車「おいこっと」(JR東日本Webサイトより)
乗っておきたいJR東日本エリアのローカル線 ベスト5 2022年10月1日に全線運転が再開される只見線(福島県・只見線ポータルサイトより)
「再会、只見線」記念動画(YouTube/只見線チャンネル)

 9位の津軽線は津軽半島の先端までの区間です。北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅と津軽線の津軽二股駅は隣接しています。手軽に「最果て感」を楽しめる区間です。10位の水郡線は東京からも近い路線。茨城県と福島県をまたぐ常陸大子〜磐城塙の区間を走ります。久慈川沿いで滝の名勝も多いところです。

※只見線はの2022年9月現在一部区間が不通で、全線運行再開は2022年10月1日の予定。また、2022年8月の豪雨災害で花輪線の柴平〜大館間、磐越西線の喜多方〜山都間、津軽線の蟹田〜三厩間も不通になっています。周辺の奥羽本線なども不通区間があります。お出かけ前に運行状況を確認しましょう。

 どこも景色が良く、楽しそうでしょう。存廃問題などはともかく、赤字路線は「とにかく景色が良い」のです。

 本当になくしていいものか、出掛けて、見て、それから考えても良いかもしれません。


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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100%(2021年8月時点)


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