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» 2023年11月03日 18時00分 公開

「シノアリス」のサービス終了発表から考える アプリゲームの“サ終と完結”(1/2 ページ)

[怪しい隣人ねとらぼ]

 「シノアリス」のサービス終了が10月26日に発表され、大きな話題となりました。

 アプリゲームのサービス終了発表というのはそう珍しいものでもなく、往々にして「あのゲームまだ運営していたの?」だったり「そんなゲームがあったんだ」だったりするもので、惜しまれたり驚かれたりするものは少数です。そんな中、「シノアリス」のサービス終了が話題になった理由は何なのでしょうか? それは、発表時に「最終エピソードを公開して完結。それに伴いサービス終了する」と発表したことにあります。

大々的に発表された「シノアリス」のサービス終了

ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。


 「シノアリス」とは、スクウェア・エニックスとポケラボが共同で企画・運営をしているゲームアプリで、2017年6月6日からサービスを開始しています。「ニーア」シリーズで有名なヨコオタロウ氏が原作およびクリエイティブディレクターを担当していることもあり、開始時はそちらのファンが多くプレイを始めていた記憶があります。

 リリース前から「ニーア オートマタ」とのコラボも行っており、ヨコオ氏のファンを集めようとしていたのが伺えます。私自身も童話を元にしたダークな雰囲気とイラストに興味をひかれ、スタート時はプレイしていました。ですが、結局ポケラボが得意なギルド同士の戦いがメインコンテンツではないか? と思うところもあり、早々にリタイヤしてしまっていました。

 そんな作品ですが、X(Twitter)での活動がいろいろな意味で印象に残るものだったのです。例えば、1周年のお祝いイベントはリリース開始時のトラブルをちゃかしたようなものでした。また、4周年を迎えたときのイベントが「売上が好評なうちにサービス終了のお祭りをやる」という前代未聞の企画でした。

4周年での「シノアリス生前葬」(画像は「シノアリス」公式サイトより

 そんなゲームということもあり、サービス終了の発表を聞いたとき「物は言いようだな」と思ってしまいました。なぜなら、これまでも「サービス終了に際して最終章を実装します」というゲームを数多く見てきたからです。

 昨今「ちゃんとシナリオが読める」スマホゲームがブームになっていることもあり、スタート時に壮大な物語の風呂敷を広げるゲームも多いです。そのため、サービス終了時にそれをどうするか、というのは各ゲームの課題になっていると思います。

 いくつか例を挙げてみましょう。

 例えば「ドラガリアロスト」は、Cygamesが開発し、任天堂とCygamesにより共同運営されていたスマートフォン向けゲームアプリです。こちらは2022年11月30日まで運営されており、2022年7月にクライマックスとなる最終章を実装した上でサービスを終了しています。ストーリーの読み返しが可能なアプリなどはありませんが、スタッフロールが公式により公開されています。

 次に「ラストピリオド」。Happy Elementsが開発、運営していたゲームです。こちらは2016年から運営されており、2022年にサービス終了したのですが、12月の9日にメインストーリーの最終章を実装。物語を完結させた上で、メインストーリーやイベントストーリーを読み返す事ができるメモリアルアプリをリリースしています。

 こちらは「メインストーリーの完結後にサービス終了します」とアナウンスしていたのですが、「メインストーリーが完結したのでサービス終了します」という「シノアリス」のアナウンスとは若干ニュアンスが違うためか、それほど話題にならなかったように思います。

 あるいは「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」では、「10周年という節目で終わりにふさわしいタイミングである」ということで、サービス終了ではなく「サービス完結」という表現をプロデューサーレターで記載していたにもかかわわらず、公式の告知は「運営サービス終了のお知らせ」となっていたのが大変もったいなかったです。

 短命に終わった作品では、「サクラ革命」が半年で終了しています。同作は駆け足の内容ではあれど、ストーリーは完結していました。

 他にも、「サービス終了に際して最終章を実装する」と告知していたものの、実態として話が終わっているかどうか、という問題もあります。「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」などはその代表例でしょうか。こちらはオープニングに出てきたキャラクターが最後まで実装されなかったりと、悪い意味で印象に残っている作品です。

 個人的にサービス終了でストーリーを公開したゲームで印象深いのは「絶対防衛レヴィアタン」という作品です。アニメにまでなったのですがゲームの運営には恵まれず、半年でサービス終了。運営を変更してゲームシステムの改良を加え「絶対防衛レヴィアタン de R」として再リリースされたのですが、こちらはなんと3カ月でサービス終了してしまいました。

 「de R」のサービス終了時に「順次公開するはずだったストーリーモード」を一挙に公開したのですが、確か一気に68章分公開とかとんでもない量な上、内容がひどいバッドエンドでした。世界を救うためにラスボスを倒そうという話になるのですが、アクシデントでその手段が失われてしまい、自分や仲間すべてを犠牲にして世界をリセットするしかなくなってしまうという。文量が文量なので打ち切りのためのバッドエンドにはどうしても見えないのですが、ライターさんがいずれ来るサービス終了のことを考えてこのような物語を作っていたのだとしたら大したものだと思わされ、記憶に残っています。

 調べてみると、「俺たちの戦いはこれからだ!」みたいなエンドになるゲームもあるのですが、それでも「最終章」と呼べるものを実装せずに放り投げるゲームは少ないようです。ですが、おおむねサービス終了するゲームというのは皆の記憶に残っていないことが多いのです。そのため、「サービス終了します。話は終わらせます」と言ってもなかなか皆の記憶には残りません。

 また、サービスが継続しているゲームでも「第1部完結!」とやったはいいけれど、第2部がいつまでも完結せずにズルズルと運営が続いているものもあったりします。そんな中、「シノアリス」が「話が終わってこれ以上語ることがないのでサービス終了します!」とぶち上げたのはやり方が上手いなあ、と思ったのでした。

 


 

 と、ここまで原稿を書いていたら「エラーゲームリセット」のサービス終了が発表されました。こちらもヨコオタロウ氏が関わっているゲームであり、プロデューサーレターに「最終章まで実装します」と記載があります。ですが、SNS上でそこに触れている反応はほとんどありませんでした。

 「エラーゲームリセット」は現在開始から約半年ですので、「ストーリーが完結しますのでサービス終了します」と宣言しても、「半年で!?」と逆にツッコミを入れられそうではあります。「シナリオを完結させたのでサービス終了します」を皆に納得して通すには、ある程度の運営期間も必要そうです。そういう意味では、6年間運営した「シノアリス」のキャリアがあってこそやれるネタだったのかもしれません。

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