“遊女の子どもの霊”を母のもとに連れて行くと…… 遊廓を舞台にさまざまな人間模様を描くマンガ『あおのたつき』が泣ける(1/2 ページ)
浮世と冥土のはざまにある「鎮守の社」に迷い込んだ遊女を主人公とするストーリー。
「鎮守の社」を訪れた“遊女の子どもの霊”、その正体は――― マンガ『あおのたつき』のエピソードがX(旧Twitter)上で話題になり、約6.7万いいねを獲得しています。
『あおのたつき』は、作者・安達智さん(@Sato_adachi)がマンガ配信アプリ「マンガボックス」で連載している作品。11月20日に、最新12巻が刊行されています。
浮世と冥土のはざまにある鎮守の社に迷い込んでしまった遊女・あおが、宮司を務める楽丸(らくまる)とともに、社を訪れる遊女などの魂を救っていくストーリー。Xで話題になったエピソードで鎮守の社に現れたのは、芥子坊主(けしぼうず)の人形。楽丸はそれを童(わらべ)の霊だと言い、「浮世に残した母様に会わせてあげましょう」と、母がいる遊女屋まで、あおに連れて行かせます。
ですが、遊女の世界で子どもを産むことが許されているのは一部の上級遊女に限られ、母を探す人形の様子もおかしいことから、この人形は人間の霊が姿を変えたものではない、とあおは感づきます。
実は、この霊の正体は猫。では、どうして童の霊と言われたのか、なぜ人形の姿になって現れたのか。その裏側には、子どもを持つことができない遊女たちの物語があったのでした―――。
X上で「(このエピソードは)前にも読んだけど何度読んでも涙が出る」「世界観も絵のタッチも唯一無二の作品」といった声が寄せられる本作について、作者・安達智さんにお話を伺いました。
――― 本作の制作で特に力を入れているところは?
浮世絵など、特に美人画では着物の柄にも意味があることが多いように感じています。そのため、エピソードごとに各キャラクターをデザインするとき、着物の柄にも個性が出るように気を付けています。
――― この作品への思い入れや、ご自身の中で気に入っているポイントは?
同人作家のときに見つけてもらった作品なので思い入れは大きいです。人のわだかまりや心の働きに興味があり、この作品ではオムニバス形式でさまざな心情を描けて、飽きず楽しく連載させていただいています。
――― うれしかった読者からの反応は?
遊廓が舞台の作品なので、現在の性風俗関係のお仕事に従事されている女性の方の反応が非常に気になっていましたが、逆にそういった職業に就いている方や、心に何らかの問題を抱えている方からの感想を多くいただいているように思います。それがうれしいです。
――― 読者へのメッセージをお願いします
最初はマンガ作りを続けていくために、暴力や性を売りにした刺激的なエンタメを描くことが結果につながりやすいと思っていましたが、連載を続けていくうちに読者さんのご意見から、皆さんが江戸の風俗や建築、廓言葉、ここにしかない慣習など文化的なものに興味を持ってくださっていることに気付き、作品の構成も少しずつ変わってきています。
作品を読んで「品がある」と言ってもらえるようになったのは、一重に読者さんと一緒に作品を作ってきた結果と思っています。
制作協力:安達智さん(@Sato_adachi)
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