今宵(こよい)の月はスーパームーン。68年ぶりに最も接近する大きな満月を仰ぎ見れば
夕刻昇ってくる月の大きさに、はっと胸をつかれ驚かれた方も多いのではないでしょうか。
月が地球に一番近づき、更に満月になる今宵の月・スーパームーン
近年話題になっているスーパームーン。月がとくに大きく見えることから、お月見を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。
11月14日の月の出は、例えば東京で16時40分。月の入りは5時19分。22時52分にちょうど満月になるとのこと。夕方に月が東の方角に昇ってから明け方まで、晴れていれば天空にきらめく大きな月を見ることができるのです。
そもそも月は楕円状の軌道を描いて地球の周囲を回っているのですが、スーパームーンは、月が地球に最も接近した日が、満月と重なる現象のこと。天文学上では、はっきりとした定義がないとのことですが、一つの天文現象として現在、その名称が普及してきているのです。
月との距離を実際に考えてみると、2016年最も離れていた4月22日の満月に比べると約5万キロほど接近し、約35万6500キロに縮まるのだとか。そこから割り出すと、本日の今年最大の満月は、最小の満月(4月22日)に比べて、直径で約14%、面積で約30%も大きく見えるのだそうです。
月齢のクライマックス、満月がもたらす森羅万象、命のきらめき
旧暦の基準ともなっている月の満ち欠けですが、満月はやはり少し特別なようです。満月は、上弦の月が徐々に満ち、成長し、完成するとき。
ワイン用の葡萄やマッシュルームを収穫したり、ハーブをつんだりするのに適しているとの言い伝えもあるそうです。また、満月の日には、海中のサンゴや海ガメをはじめ人間の出産が多いという説もよく聞きますね。満月の別名は「ハーベストムーン」。“収穫の月”という意味合いがあり、森羅万象に宿る生命力を象徴しているような気もします。
著名な染織家・志村ふくみさんの工房では、月の暦で藍(あい)を建て、新月に仕込み、満月に染めるというサイクルで藍染めを行っているとか。毎日毎日かきまぜて育んでいく藍は命そのもの。条件を整え試すうちに、藍と月との関係がとても大切だということが分かったのだそうです。
また、ドイツの舞踏家ピナ・バウシュの生前最後の作品「フルムーン」は、月光の下の水辺で人々が踊るという設定。みずみずしいまでの躍動感に満ちたダンサーたちの一挙手一動に、命そのもののきらめきと歓喜を感じたことを覚えています。
潮の満ち干きを起こし、生きとし生けるもの全てに影響を与える満月。スーパームーンを迎える今日という日には、その大いなる力をより一層感じずにはいられません。
日の入り前後に東方向の空から昇る月。さて、今宵のお天気は?
実際にスーパームーンを見るなら、ぜひ日の入り前後から、東方面の空を見上げてみてください。今日のお天気はあいにく下り坂の地方も多いようですが、もしかしたら、雲の間から神々しいまでに張り詰めた月の姿がのぞくかもしれません。
たとえ今日見えることが叶わなくても、15日の夕刻には天気が回復する確率も高いようです。もしかしたら、一生でいちばん大きく、明るく感じるかもしれない今回のスーパームーン。
皓々と輝きを放つ冬場の満月は、天の中心を占めるかのように輝く「月天心」とも呼ばれます。その冴え冴えとした銀の光の波の中でゆったりと深呼吸すれば、自らの生命力が少しずつよみがってくるような……どうかそんなかけがえのないひとときを体感できますように。そんなことを願って空を仰ぐ月見の宵がやってきます。
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