「提供:明治・大正製薬・昭和建設・へいせい」――改元特番でまさかの“スポンサー元号ぞろえ”、背景を聞く

Twitterで「センスがいい」と大反響だった、改元特番の提供クレジットを元号絡みでそろえた演出。経緯をテレビ西日本に取材しました。

» 2019年05月09日 22時20分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 テレビのチャンネルがほぼ“改元特番”一色となった、4月30日夜――Twitterでは福岡で放送されたある番組の提供クレジットが、元号にちなんだ演出で「センスがいい」「粋なことやるな」と大きな評判を呼びました。「明治」「大正製薬」「昭和建設」「へいせい」……番組スポンサーの企業名で「明治・大正・昭和・平成」と、これまでの元号を並べてしまうというものです。

画像提供:@urari37さん

 演出を手掛けたのは、福岡県福岡市のテレビ局であるテレビ西日本。実は「昭和建設」と「へいせい」はどちらも福岡の建設会社であり、同じ番組に競合他社のCMを入れることはスポンサーが嫌がるため避けられています。どのような経緯で“元号ぞろえの提供クレジット”は生まれたのか、テレビ西日本の広報部と営業部に取材しました。

【訂正:2019年5月10日10時25分】当初、同じ番組同じ競合他社のCMを入れることについて「業界的に禁止とされています」と表記しておりましたが、「スポンサーが嫌がるため避けられています」に訂正しました。

 話題の提供クレジットが流れたのは、30日18時30分〜24時55分ごろ放送されたフジテレビ制作番組「FNN報道スペシャル 平成の“大晦日” 令和につなぐテレビ」内にて。前提供と後提供で10秒ずつ計2回、テレビ西日本の放送エリアである福岡県全域と山口県の一部で、ローカルのCM提供元として表示されました。

提供クレジットが流れたフジテレビ制作番組「FNN報道スペシャル 平成の“大晦日” 令和につなぐテレビ

 平成から令和へ橋渡しとなる番組での、さり気ない“スポンサー元号ぞろえ”――表示されたのは計20秒でしたが、Twitterでは気付いた視聴者が「え、すごくない??」「うおおおおおお」とテレビ画面を撮影した動画や写真を投稿。中には15万回以上リツイートされるものもあるなど大きな注目を浴びました。

 ユーザーからは演出そのものに「やるなぁ〜 超センスいい」「洒落たことをするなぁ」「これはうまい」と感動する声が多く寄せられ、テレビ西日本にも「スポンサーを確保したテレビ局もがんばったんだろうな」「福岡の企業も使ってくるところがいい」「『ご覧のスポンサー』でまとめず1社ずつ音読してるのもポイント高い」と称賛の声が。「協力してくれた4社も本当に粋ですね」と提供元にも好感を抱く人が散見されました。

明治」「大正製薬


 テレビ西日本の営業部が企画を発案したのは、新元号が発表された後となる4月上旬でした。

「もともと4月1日に新元号が発表された際、“元号”に対していかに日本人全体、日本中が注目しているかを実感しました。程なくしてフジテレビ系列で“元号またぎ特番”が放送されることが決定し、番組の中でテレビ局営業として何かできることはないかと考え、思い付いたのが今回の企画でした」(営業担当)

 実現した一番のポイントは、“元号でそろえる”というシャレに対しスポンサー一同が協力的だった点に尽きる、と振り返ります。

「1社欠けただけで成立しない、4社がそろってこその企画だったため、スポンサーの4社みなさまがこの企画にご賛同いただけるかが肝でした。今回ご提供・ご協力くださったスポンサーに競合他社(※昭和建設とへいせい)が含まれていたため、それぞれへの丁寧な説明が必要でしたが、みなさま内容に対してご賛同・ご協力してくださり今回の企画が実現しました」(営業担当)


 Twitterや世間の反響については、「大きく拡散されたことに驚いたのもそうですが、Twitter等でのコメントや感想がとにかく暖かいもの、前向きなものが多かったことが、大変ありがたいと感じています。そしてご賛同下さった“粋な”スポンサーのみなさまへの感謝が何よりです」と感謝しました。

 また広報担当者は、番組制作に携わらない営業部が提供クレジットという枠で話題を作ったことに「感動している」と述べます。

「テレビは番組を通して“何か”を伝える媒体、と個人的に考えてテレビ局で働いてきました。が、今回の件で想像力やアイデア、熱によって営業が番組作りよりも広く、また強く想いを伝えたり、また話題を作ったりすることができるんだ、と知りました。重ね重ね、今回の企画にご協力・ご賛同下さったスポンサーのみなさまに、心から感謝申し上げます」(広報担当)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」