惨劇は進化する――舞台をPS2に変えた“正解率1%の謎”の魅力:「ひぐらしのなく頃に祭」レビュー(1/3 ページ)
口コミやインターネットからうわさが広がり、異例の大ヒットとなった同人PCゲーム「ひぐらしのなく頃に」が、プレイステーション 2版で登場した。制約がなく、幅が広い表現ができる同人作品から、規制のある家庭用ゲーム機へと変わることで、本作の魅力はどう変わったのだろうか。
止まることを知らない「ひぐらし」の世界
まずは、元となった同人PCゲーム「ひぐらしのなく頃に」(以下、ひぐらし)について解説しよう。「ひぐらし」がその産声を上げたのは、2002年冬の「コミックマーケット62」。一見、普通のノベルゲームに見えるが、実は選択肢が登場せず、話を読ませるだけという、ゲームというよりは小説に近いシステムで話題を集めた。
また、このときに作品が全て発売されたわけではない。実は、「ひぐらし」は全部で8つのストーリー(編)が存在し、それぞれが夏冬のコミックマーケットで発売されたのだ。このうち、前半の4編は「問題編」と呼ばれ、物語のタネあかしは行われない。後半の4編、通称「解答編」にて、徐々にその謎が解明されていく、という仕組みなのだ。
ここで、“各編が間隔を開けて発売された”ことに注目してほしい。当時からリアルタイムでプレイしているユーザーは、解答編が発売されるまで、いわば“タネあかしのされていない推理小説”を突きつけられた形になり、物語の真相解明にやっきとなった。作中でのヒントもあまり多いとはいえず、全国の「ひぐらし」ファンは、自身のホームページで真相を推理したり、また本作を手がけた同人サークル「07th Expansion」の掲示板で、仮説や議論を飛びかわしたりして、盛り上げていった。
その謎は非常に難しく、真相が明かされる前に、正しく推理できた人は皆無だったという。この難しさは“正解率1%の謎”として、大きな話題を呼んだのだ。まず、このユーザー間で議論を行うコミュニティの楽しみが、そのまま本作の魅力のひとつにあたる。
もちろん、シナリオ自体の魅力も忘れてはならない。各編の前半では、ギャルゲーのようなほのぼのとしたシナリオパートが展開したと思えば、後半では冷水を背中にいきなり浴びせられるような、ゾッとするサイコホラーなミステリーパートに急転する。
注目すべき点は、各編の物語は、同じ時系列のパラレルワールドになっている、ということだ。例えば、あるストーリーでは死んでしまう人物が、別のストーリーの同時刻では生きながらえているといった感じだ。こうなった原因とは一体何なのだろうか。もちろん、これはひとつの例であり、このような変化が多数ちりばめられているのが「ひぐらし」の世界。これらの情報から、物語の真相、そして事件の犯人を解明する物語なのだ。
ユーザー間の盛り上がりや口コミ効果により、「ひぐらし」は同人業界では異例といえる大ヒットとなった。また、マンガやアニメ、携帯電話用ゲームなど、他メディアにも展開され、「ひぐらし」ワールドはどんどん広がりを見せている。
さて、ギャルゲー好きを公言する筆者だが(関連記事参照)、実は本作の大ファンである。というか、今まで生きてきた中で、一番好きなゲームと言っても過言ではない。好きがこうじて、「ひぐらし」の舞台のモデルとなった村へ旅行してみたり、ペンネームを「ひぐらし」の舞台・雛見沢村にちなんで雛見沢秀一にしてしまったほどだ。
というわけで、前置きが長くなったが、ここからプレイステーション 2版「ひぐらしのなく頃に祭」について語っていこう。
別物と呼べるほど、大きく変化したプレイステーション 2版
「ひぐらしのなく頃に祭」は、原作から大きく変化している点がたくさんある。大筋のシナリオこそ同じだが、それ以外はほぼ別物と考えてもよさそうだ。では、大まかな変更点を一つずつ紹介していこう。
まず大きく目をひくのが、キャラクターデザインが一新された点だろう。「ひぐらし」のキャラクターデザインを手がけたのは、原作者の竜騎士07(りゅうきしぜろなな)氏。対する「ひぐらしのなく頃に祭」は、2006年にナムコより発売されたニンテンドーDSソフト「怪盗ルソー」などキャラクターデザインを担当した、人気イラストレーターのrato氏が新たに書き起こしている。原作のファンは、大きくデザインが変わったため、若干戸惑いを覚えるかもしれない。
また、原作ではボイスが存在しなかったが、「ひぐらしのなく頃に祭」では各キャラクターにボイスが追加された。ちなみに声優は、アニメ版「ひぐらし」のキャストと一緒だ。アニメ版を見ているファンにとっては、違和感なく楽しめることであろう。
原作からのファンがもっとも注目したいのは、新シナリオが3本収録されている点だろう。「盥回し」編、「憑落し」編と、最終章「祭囃し」編に変わる「澪尽し」編が、今回新たに収められている。つまり、「ひぐらしのなく頃に祭」では計10本のシナリオを楽しめる。
個人的に最も大きな変更と思えるのは、ゲームシステムが大きく変化したことだ。前述の通り、原作は1編完結型だったため、最初に遊ぶ編を選択したら、あとは基本的に読み進めるだけであった。対する「ひぐらしのなく頃に祭」は、ゲーム中に選択肢が登場するようになり、その選択いかんによって、以後のストーリーが大きく変化するのだ。
最初にさらっと述べたが、「ひぐらし」のほぼすべての“編”には、ほのぼのとしたギャルゲーのような前半部分と、シリアスな後半部分とにわけられている。つまり、“編”の数だけ異なる“前半パート”があったのだ。対する「ひぐらしのなく頃に祭」は、前半パートは1つにまとめられ、変わりにゲーム中に選択肢が登場するようになったのだ。
もう1点、ゲーム中の楽曲が変更されたことも記載しておこう。原作では、多数の同人音楽製作者が作曲を担当していたが、「ひぐらしのなく頃に祭」では、ゲームのBGMを手がける音楽集団「5zizz」が楽曲を担当している。また、オープニングテーマ、エンディングテーマが2曲ずつ、計4曲新規収録されている。「ひぐらし」の魅力のひとつとしてBGMが挙げられるが、「ひぐらしのなく頃に祭」でもファンを魅了できるものに仕上がっているのか、個人的に注目している部分だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
-
伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
-
余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
-
七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
-
野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
-
「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
-
「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
-
50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
-
「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
-
大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
- ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
- 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
- トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
- 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
- そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
- 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
- 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
- “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
- 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
- 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
- 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
- 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
- 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
- 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
- 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
- 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
- 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
- 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声