3倍以上にパワーアップしたら萌え度が大変なことになりました:「ディアピアニッシモ ルフラン」レビュー(1/2 ページ)
美少女フィギュアにゲームデータを内蔵するという斬新なアイディアが好評だった「ディアピアニッシモ」が、大幅にパワーアップして再登場。どんな感じで“萌え分”が増えたのか、確かめるために遊んでみました。デモムービーも掲載。
怒涛のボリュームアップここにあり!
2006年8月に登場した工画堂スタジオの「ディアピアニッシモ」。作中の登場キャラクターであるピアノの妖精“ぴあのたん”を、USBメモリ内蔵のフィギュアにし、そこにゲームデータを内蔵するという画期的なパッケージを採用し、話題を呼んだ作品だ。このたび、ユーザーからの熱いリクエストを受け、様々な要素をボリュームアップした「ディアピアニッシモ ルフラン」として生まれ変わったのだ。
本作の説明に入る前に、まず前作「ディアピアニッシモ」の大まかなストーリーを紹介しよう。未練を残して死んだ主人公のシュウと、ヒロインのナギたちは、あの世とこの世の狭間にある学園“コンサヴァトリ”にたどり着く。シュウとヒロインのナギは、6日後に行われる対戦式の音楽コンクール“レコンコルソ”で対決し、勝利した方だけが生き返れる、と告げられる。命を賭けたバトルが展開されるのだが、6日間の練習を経るうちに2人は密接な関係になり……という、切ないお話なのだ。
システムも一風変わっている。一般的なノベルゲーム風の「アドベンチャーパート」と、リズムゲームが楽しめる「ミュージックアクションパート」の、2つのパートで構成されている。シーンに応じてこれらのパートが切り替わり、物語が進んでいく。
「ディアピアニッシモ ルフラン」は、前作「ディアピアニッシモ」を第1章と位置づけ、さらに主人公を変えた第2章、第3章が追加されているのだ。単純に考えれば、ボリュームは3倍である。すげぇ!
通常、美少女ゲームのリメイクによるボリュームアップは、ヒロインの追加や新シナリオ、イベントグラフィックの追加などが一般的だろう。主題歌やムービーが変更されていることも多い。しかし、例を挙げたこれらの要素はひとつふたつが適用されていればいい方で、変化に乏しいのが現状だ。
その点、本作のボリュームアップ具合といったら、そんじょそこらの美少女ゲームリバイバルとはワケが違う。シナリオ量3倍、ボイス機能追加、新キャラ2名追加、新曲3曲追加、イベントグラフィック量2倍という、怒涛のボリュームアップを行なっているのだ。それもこれも、メディアをフィギュア型USBメモリからDVD-ROMに変更し、容量の制限をぐっと広げたからである。
語られなかったもうひとつの切り口を堪能
ここからは、各章ごとにプレイリポートをおくる。ちなみに筆者は前作のレビューも担当していたのだが、プレイから1年ほど経過しているため、さすがに細かい内容は忘れている。というわけで、第1章を再確認の意味も込めてプレイ開始。
第1章の内容は、年端も行かぬ妹たちを残したまま死んでしまった主人公シュウが、レコンコルソの対戦相手となるヒロイン・ナギと、ピアノの妖精ぴあのたんを織り交ぜ、レコンコルソに向けて共同練習を行なうというストーリーだ。
プレイして、まず「おっ?」と感じたのが、女の子たちの声。ナギやナルミ、ジャスミン先生たちのセリフに声があてられているではないか。キャラクターに音声が加わると、「ナギの声って結構おっとり目なんだ〜」とか、「ナルミはイメージよりも性格がものすごくキツそうに感じるなぁ」なんてキャラクターたちの新たな一面を発見でき、ちょっと感動。やっぱ声があるといいものですヨ。
第1章は内容が前作と一緒なので、もうちょっと詳しく知りたいという方は、こちらのレビュー(※前作レビューにジャンプする)を参考にしていただきたい。
続いて、新たに書き起こされたシナリオである、第2章のナルミ編をプレイ。第1章ではかませ犬的存在でしかなかったナルミが、本章ではなんと主人公として活躍するのだ。
物語は、ナルミが新キャラクターである桐嶋姫依(きりしまひより)とペアを組み、シュウとレコンコルソで対決する、というもの。第1章のパラレルワールドでのお話が語られるのだ。前回のレビューで語ったのだが、ナルミは筆者お気に入りの女の子。彼女専用のシナリオがあったらなぁ……なんて当時は考えていたのだが、これが実現しちゃったのだから胸が踊る。彼女がどのような活躍を見せるのか非常に楽しみにしつつ、プレイを進めた。
コンサヴァトリに訪れたナルミは、レコンコルソの対戦相手を決めるくじ引きにより、特例でヒヨリとコンビを結成させられる。ヒヨリは、常に前向きだが体が弱く、ちょっとしたことで倒れてしまうような女の子だ。自分の足を引っ張る人間は容赦なく切り捨てるという、決死の覚悟のナルミにとって、ヒヨリは間違いなく足手まとい。ナルミは、本当に彼女を切り捨ててしまうのか。
本章の見どころは、“使えなければヒヨリを即切り捨てる”という覚悟で練習をしていたナルミの心境が、徐々に変化していく部分だ。確実に勝つため、厳しく冷たい態度でヒヨリに接するナルミ。時間が経つにつれ、表面上はあまり変化もなく振舞っているが、ナルミのことを徐々に“勝つためには欠かせない無二のパートナー”として意識し始めるようになっていくのだ。
そして、女の子二人によるドキドキの共同生活が覗けるのも、筆者イチオシの重要ポイント。女の子同士のためか、無防備な一面を垣間見ることができるのだ。例えば、パジャマとして使っているYシャツがはだけていても、一緒にお風呂に入っても“女の子同士だから無問題”といわんばかりに魅せつけてくれる。こんな2人の関係に、いろいろな妄想がステキな感じで広がっていきます。
ナルミシナリオは、一言で言えば“百合”(女の子と女の子がイチャイチャすること)。本人たちはいたってマジメに、生き返るため日々コンクールの練習に励んでいるんだろうけど、「そこまでするのかっ!?」ってくらい百合ん百合んな関係。忘れそうになるが、このお話はひとつの命を争奪しあう、いわば“殺し合い”がテーマ。とはいっても、その手の話が好きな人にはたまりません。そして、シナリオラストで一発、とんでもない百合ップルぶりを発揮してくれる。どのくらいとんでもないのかは、実際にプレイしてからのお楽しみ、ということで!
最後の章となる第3章は、レコンコルソを管理する側である、花山田茉莉花ことジャスミン先生を主人公に据えたシナリオ。彼女と、コンサヴァトリの学園長を務める神さま、新キャラクターである菊宮舞衣(きくみや まい)たちとの絡み合いが楽しめるのだ。
物語の舞台は、シュウやナルミたちがコンサヴァトリやってくる少し前。レコンコルソの準備に追いやられ、風邪を引いた学園長を世話するジャスミンのもとに、謎の少女のマイがやってきた。ジャスミンのことを“ママ”と呼んで慕うマイの正体とは……? 彼女の面倒を見つつ、学園長と協力して、マイの正体を探っていく……という物語が描かれるのだ。
第3章の見どころを紹介していこう。自分のことをママと呼び、慕ってくれるマイの面倒を見ることによって、母性に目覚めつつあるジャスミン。しかし、マイの素性が分かるにつれ、マイと別れることを意識しはじめていく。物語の最後には、第3章唯一のミュージックパートが挿入されている。ここからの展開は、もう涙がちょちょぎれること間違いなしだ。詳しく書くとネタバレになってしまうので、詳細はやはり、ご自身でプレイして確かめていただきたい。
声優の演技に感動を覚えたことも特筆しておきたい。例えば学園長が風邪を引くシーンがあるのだが、ここでは学園長がちゃんと鼻声でしゃべっていたり、食べ物を食べながらしゃべるとき(神さまのクセに行儀が悪いのはご愛嬌)、口の中に食べ物が入ってる声でしゃべっている。そんな、演出で魅せる声優たちに、かっこよささえ感じた。
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