テクモだけじゃない? ゲーム業界のTOBを振り返ってみる日々是遊戯

先日、各方面に大きな衝撃を与えた「スクエニ、テクモに対し友好的TOBを提案」のニュース。ところでこの“TOB”、これまでにもゲームメーカーの間ではしばしば行われているのだが……。

» 2008年09月05日 14時38分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

実はそれほど珍しいことではない?

 ここのところ立て続けに耳にする「TOB」という言葉。“Takeover Bid”、すなわち“公開買い付け”によってある会社を子会社化することを表す株式用語なのだが、今回スクウェア・エニックス(以下、スクエニ)がテクモに対し、友好的TOBを持ち掛けたことで(ちなみにスクエニは9月5日、テクモ側がこれに賛同しなかったことを受けて買収案を撤回している)、はじめて耳にした、または興味を持ったという人も少なくないのではないだろうか。

 といっても、実はこれまでにもしばしばゲーム業界を舞台としたTOB劇は行われていた。最近のTOBで記憶に残っているのはやはり、2005年にスクエニがタイトーに対し行ったものだろう。このときはタイトー側の賛同も得られ、TOBはスムーズに進行。最終的にはスクエニ側がタイトー株の約94%を取得し、子会社としてグループ傘下に収めることになった。これにより、スクエニ側としてはタイトーのブランドはもちろん、これまで苦手としていたアーケード分野への足掛かりを得たことにもなり、総合的に見てこのTOBは成功だったとする見方が強い。

 他にも直近の例で言えば、2008年2月にはソネットエンタテインメントが「スカッとゴルフ パンヤ」などで知られるゲームポットをTOBにより買収。また2007年11月には、オンラインゲームメーカーのゲームオンが、TOBにより韓国ネオウィズの子会社となっている。また、こちらはグループ内での体制再編といった意味合いが強いが、2006年にはバンプレストがTOBによりバンダイナムコホールディングスの完全子会社となったのも記憶に新しいところだ。

 会見の席上、スクエニの和田社長も言っていたことだが、世界的に見て国内メーカーの立場が弱くなりつつある昨今、各メーカーが手を組むことで経営基盤を安定させ、競争力を強めていこうという動きは今後さらに加速していくものと予想される。ゲーム業界もふたたび“再編”の時代へと突入しつつあるのかもしれない。

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