ある意味リアルなウォーシミュレーション? 「ボコスカウォーズ」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)

» 2008年09月09日 12時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2       

クソゲーと呼ばれる理由

photo 戦闘が発生した場所にはバトルマークが表示される。こうなったらもう“勝ってくれ!”と祈るしかない

 戦闘は敵に体当たりすることで発生する。それぞれの強さと乱数により勝敗が自動的に判定され、負けたほうは消えてしまう。

 実はこの乱数の影響がかなり強い。例えば、騎士(強さ150以上)が敵の兵卒(強さ10)に負けることがしばしばある。あまつさえスレン王(強さ220以上)が敵兵卒に負けることすら珍しくなく、プレイヤーをあぜんとさせた(もちろん、反対に味方の兵卒が、強い敵を倒す場合もあるが)。

 シミュレーションゲームでありながら、プレイヤーの戦術よりも、運で勝敗が決まるという印象が強いのだ。当時のファミコンではアクションゲームがほとんどだったこともあり、ボコスカウォーズは“プレイヤーの腕は関係なく、すべて運任せで決まってしまうクソゲー”と評価されてしまうこともあった。


 また、キーレスポンスの悪さも気になった。十字キーを押しても兵士が動いてくれないことが多い。わざと兵士たちの動き出しのタイミングをズラすために、こういう仕様になっているのだろう。ただ、スレン王が単独で動くときも同様なので、敵を避けようとする時に苦労した。

 このゲームでは、敵のほうから戦闘を仕掛けることはない。味方が敵に突っ込んだ時だけ戦闘となる。だからうまく動けば、不要な戦いを避けることが可能なのだが、キーレスポンスのせいで十字キーを押しすぎ、敵に突っ込んでしまうことがよくあった。

 突っ込んだのがスレン王で、しかもその戦闘で負けてしまって、ゲームオーバーになってしまった時のやるせなさ。これはボコスカウォーズをプレイした人なら、誰でも一度は経験しているだろう。

 ただ、我慢してプレイ回数を重ね、操作に慣れてくれば、こういうミスが少なくなり、だんだん先へ進めるようになってくるはず。人数の多い兵卒は仕方ないとしても、スレン王の単独行動なら、なるべく敵の近くを通らないようにすれば、不必要な戦闘は少なくできる。

リアリティを追求したらこうなったのかも

 軍団が思い通りに動かず隊列が崩れる。敵と戦っても勝敗が読めない。こういう要素はウォーシミュレーションとしては欠点かもしれないが、その反面、集団での戦闘風景が、リアルに表現できているんじゃないかと思う。

 例えば大勢での飲み会で、集合場所が現地じゃないケースを考えてみよう。駅前に集まったメンバーを居酒屋に連れていく時、全員がまっすぐ店まで動いてくれることはまずないだろう。大きく遅れる人がいるだろうし、途中ではぐれてしまう人もいるかもしれない。全員がちゃんと来ているかどうか、誰かが確認しながら進むことになるはずだ(わたしも昔、渋谷の路上で売られていた中古ファミコンソフトが目に留まり、見ているうちに仲間とはぐれてしまった経験がある)。

 ボコスカウォーズで兵士を移動させるときは、まさにそんな状態になる。団体行動におけるもどかしさが再現されているシステムだといえよう。

 勝敗にランダムの要素が大きいというのもリアルだ。そもそも実際の戦いでは、敵の強さが数値として公表されることはまずない。スポーツでは数値化されたデータもあるが、結果が必ずしも数値どおりになるとは限らない。打率1割台の打者が、防御率1点台の投手から、ホームランを打つこともあり得なくはない。

 隊列を組んで動けない。弱い敵に倒されることが多い。後、戦闘中に大きく能力が上がることから考えると、スレン軍の兵士はまだ未熟で、成長途上の段階なのかもしれない。

バサム城への長き道のり、そして挫折

 それでは、バサム城への道のりを見ていこう。

 オゴレス王から600〜500メートルの地点を、便宜上、ステージ1と呼ぶことにする。ここではまず敵騎士が出現する。強さが50あるので、まともに戦わず、やり過ごしたほうが賢明だ。スレン王を強くしたいなら、その後に出てくる敵兵卒と戦ったほうがいい。

 途中の木々に触って味方の兵士を助け出す。特に騎士はステージ終盤まで残しておきたい。騎士がひとりもいないと、牢屋に捕らえられた兵卒たちを助けられないからだ。

 ステージを区切る壁の前には、大勢の敵兵卒が配置されていて、いきなり激しい戦いとなる。

 スレン王が壁を崩すとステージ2(残り500〜400メートル)に突入。ここでは大木が進路を邪魔するが、スレン王は大木を切り崩せるので、大した障害ではない。むしろ配置によっては、敵の足止めに利用できる。

 ステージ3(残り400〜300メートル)には魔術師が登場。スレン王が通り過ぎようとすると、周りに幻戦士を出現させ、王を襲わせる。幻戦士は倒しても倒してもまた復活してきりがないのだが、魔術師を倒すと、その魔術師が作った幻戦士は消滅する。

 魔術師との戦いは、テーブルトークRPGではおなじみの、エレメンタルというモンスターとの戦いをほうふつとさせる。魔術師に召喚されたエレメンタル(地水火風の4種類いる)は、まともに戦うとかなりの強敵だが、冒険者がその魔術師を攻撃して精神集中を途切れさせると、逆に魔術師に襲いかかるのだ。

 ハード性能面で制約の多かった時代に作られたボコスカウォーズ。グラフィックは現代のゲームとは比ぶべくもないが、この魔術師というキャラクターの存在が、ファンタジーの雰囲気を感じさせてくれた。

 ステージ4(残り300〜200メートル)は、このゲーム最大の難所である。

 強さ100の強敵、重騎士が現れる。しかも、20人以上も。

 ここまで来ると、味方もかなり大軍勢となっているはずだが、大半が兵卒なので、正面からぶつかってしまうと勝ち目はない。

photo ステージ2は大木が生い茂る森。スレン王が道を切り拓くことで、ほかの兵士たちも通れるようになる
photo 魔術師対策としては、スレン王が幻戦士を引きつけておいて、その間に騎士に魔術師を倒させるのが基本だ
photo 敵の重騎士がわらわらと出てくるステージ4。戦いは避けたいところだが……

photo ここから先はバサム城。敵の重騎士がどんどん集まってくる

 ステージ5(残り200〜100メートル)のサボテン地帯を経て、バサム城へ突入。しかし、ここでも多数の重騎士が守りを固めている。おまけに親衛隊という強さ250の敵まで現れ、スレン王たちを待ち受ける。しかも城内は通路が狭く、これらの敵を避けるのは非常に難しい。

 このステージ4・ステージ6の、重騎士との戦いが難しすぎて、挫折するプレイヤーは多かっただろう。というか、わたしが挫折した。

 でも今は、攻略法の載っているサイトがいくつもあるので、それらを参考にして乗り越えることができた。

 先述の通り、ボコスカウォーズでは敵から戦闘を仕掛けてくることはない。だから、味方の兵士を壁にして、敵を足止めすることが可能なのだ。特に、敵の重騎士は行動パターンに特徴があるので、それを利用して動きを封じられる。

 まあ、味方も思い通りに動いてくれないから、完璧に敵を封じるのはちょっと難しいんだけど。


今もなお進み続ける者ども

 強さ250の親衛隊だが、実は味方の兵卒に弱い。だからこの時点で兵卒がある程度残っていれば、さほど恐れる相手ではない。重兵卒がいたらさらに有利なので、親衛隊と遭遇する前に、間違って重兵卒を敵の重騎士に突っ込ませないように気をつけたい。

 バサム城の通路を抜けると、遂にオゴレス王が姿を現す。親衛隊と魔術師を従えているので、それぞれ兵卒と騎士に倒させるのがいいが、もう味方の兵士が残っていなかったら、オゴレスが近づいてくるのを待って、スレン王との一騎討ちに持ち込んでもいい。

 どのみち、親衛隊・魔術師を全員倒したとしても、スレン王以外の兵士でオゴレスを倒すことはできないようだ。数々の苦難を乗り越えて、ようやくたどり着いたこの場所での一騎討ち。もちろんスレン王が敗れたらゲームオーバーとなり、再び最初からやり直さなければならない。

 オゴレスを倒すと、難度がアップした2周目が始まる。2周目は敵の強さがすべてプラス10されている上、新たに“落とし穴”が登場。兵卒はこの落とし穴を埋めることができるが、騎士やスレン王が入ってしまうと即アウトだ。

photo 左下にいるのがオゴレス王。側近のような感じで、ひとりだけ魔術師がいるのもファンタジーっぽい
photo スレン王が勝つと、ゲームオーバー画面とは逆に、でっかいスレン王が敵を追いかける
photo このドクロマークが、2周目から出てくる落とし穴。間違ってもスレン王が足を踏み入れることのないように

 実はこのゲーム、5周目まであるという。1周クリアするごとに、敵の強さが10上がるのだから、5周目ともなると敵の重騎士の強さは140。兵卒ですら強さ50。

 もちろんわたしがそこまで進めるはずもなかったが、2周目のステージ5までは進んだから、わたしにしては良くやったほうではないかと思う。

 ちなみに、PC版はファミコン版と違って、スレン王の配下に最初から多くの兵士がいる。その代わり、木や岩に変えられた兵士はおらず、兵士を増やすには牢屋から救出するしかない。つまり騎士は途中で補充できないわけで、ファミコン版よりさらに貴重な存在となっている。

 ボコスカウォーズの作者・ラショウ氏は、その後も多くの作品を発表しているが、家庭用ゲーム機には移植されていない(一度、「あの素晴らしい弁当を2度3度」がプレイステーションに移植される計画があったが、中止となった)。ただしPCでは現在、イタチョコシステムや、D4エンタープライズ・イタチョコショップのサイトで販売されているので、ダウンロードしてプレイすることが可能だ。

 ボコスカウォーズ自体も、D4エンタープライズのプロジェクトEGGで購入できる(PC-8801版)。また、ジー・モードから携帯電話のアプリとしても配信されている。

 そして、ファミコン版ボコスカウォーズは、Wiiのバーチャルコンソールで配信されている。「三國志」「大戦略」より古いゲームでありながら、今でもこれだけ入手方法があるということが、ボコスカウォーズの知名度の高さを示しているといえよう。

 最後に、このゲームのBGMについて。ゲーム中、エンドレスで鳴り続けているBGMには、歌詞がある。マニュアルにも載っているので、ゲーム中に“進めー進めー者どーもー”と口ずさんだプレイヤーも多かったはず。これもハード性能面で制約の多かった中で、少しでもファンタジーの雰囲気をかもし出すための演出だったのだろうか?

 バーチャルコンソールでの配信に伴い、この歌詞が任天堂のサイトに掲載されていたのには驚いた。しかも楽譜付きで。Wiiで初めてこのゲームをプレイする方も、ぜひ一度は“進めー進めー者どーもー”と口ずさみながらプレイしてほしい。

 来年、高校野球の応援でブラスバンドがこの曲を演奏していたら面白いなーと思った。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news039.jpg 13歳少年「明日彼女に会うから……」 パパを説得してヘアカットへ→大変身した姿に「生まれ変わった」「全く別人みたい」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」