ネズミ年の締めはこれ! 「マッピー」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
マイクロマウスの先輩
ところで私は、ゲームのマッピーが登場するより以前に、マッピーとニャームコを見たことがある。
1982年、日本橋高島屋で開催された「大ロボット博」。工業用ロボットからヒューマノイドタイプのものまで、いろんなロボットが展示されていた。ヒューマノイドタイプといっても、今のASIMOみたいなものではなくて、ブリキのロボットを大きくしたような感じだった。
確か、ロボットと一緒に撮った写真を持っていたはずで、今回載せようと思っていたのだが、家中を探しても出てこなかった。
この大ロボット博には、「namco」と書かれたロボットが多かったので、私は当時、ナムコはロボットを作る会社なのだと思っていた。「ギャラクシアン」や「パックマン」を作ってる会社だということは後に知った。
そんなナムコ製ロボットの中に、マッピーとニャームコがあった。迷路の壁をセンサーで感知して、外部からの操作なしで、自ら迷路を走って抜けるロボットだった。こういうロボットを「マイクロマウス」というそうで、現在でも、迷路を抜ける速さを競う全国大会が開催されているらしい(こないだニュースで見て知った)。
ちなみにプレイステーション版「ナムコミュージアムVol.1」では、マッピーとニャームコを含む、昔のナムコのロボットを、ごくわずかだが見ることができる。
マッピーは「ナムコミュージアム」シリーズには欠かせないゲームのひとつで、プレイステーション版のナムコミュージアムVol.2、プレイステーション 2版「ナムコミュージアム アーケードHITS!」、PSP版の「Vol.2」、ニンテンドーDS版「ナムコミュージアムDS」、さらにWiiの「みんなで遊ぼう!ナムコカーニバル」に収録。アーケードの「ナムコクラシックコレクション Vol.1」でもプレイできる。
前述の通り、アーケード版登場の翌年、1984年にファミコンへ移植されているが、このファミコン版をベースにしたのが、ゲームボーイアドバンス版(ファミコンミニ)と、Wiiのバーチャルコンソールへの移植だ。
アーケード版とファミコン版は縦横比が違うためか、操作感覚が微妙に異なる。個人的には、ファミコン版のほうが難度が低いような気がした。アーケード版ではラウンド8を越えられないけど、ファミコン版ならラウンド12まで行ける。
そのほか、各キャリアのケータイや、ゲームボーイ(「ナムコギャラリー Vol.1」)、変わったところでは、ファミコンの少し後に発売されたゲーム機、スーパーカセットビジョンにも移植されている。
ランドとキッズと優しい奴ら
マッピーの続編は、アーケードで「ホッピングマッピー」というゲームがあった。マッピーがホッピングに乗って盗品を回収するゲームらしいが、私は写真でしか見たことがない。これもケータイのアプリになっているということは、今調べて知った。
続いてファミコンで、1986年に「マッピーランド」が発売される。マッピーが、ガールフレンド・マピコさんの誕生日プレゼントとして買ったチーズを、ニャームコ一味に奪われてしまったという設定。マッピーランドの8つの町(エリア)にそれぞれ6個ずつあるチーズを、すべて回収するのがこのゲームの目的だ。
マッピーランドでもトランポリンで上下に移動できるが、マッピーと違ってドアがない。代わりに登場したのが、猫たちを足止めする多数のアイテムだ。どこでも使えるものと、エリアに設置されているものがある。
前者はミューキーズを踊らせるネコジャラシ、ニャームコを踊らせる小判など。後者はエリアごとに変わり、飛びついて敵をなぎ倒せる滑車、パンチするとしばらく揺れて、敵を跳ね飛ばすパンチングボール。果ては、後から来た敵を花火にして飛ばす爆弾や、一直線に砲弾を飛ばす大砲なんてものまで存在する。
マッピーはジャンプができるようになったが、基本的にはチーズやアイテムを取るためのジャンプであり、猫たちを飛び越すのは至難の業だ。
エリア4とエリア6が特殊で、とりわけエリア4が非常に難しい。ジャングルの中で、上下や左右に動くトランポリンを飛び移り、ツタにつかまって移動するのだが、トランポリンからツタへ、またはツタからトランポリンへ飛び移るタイミングが微妙で、私はここで地面や海に落ちまくった。コンティニューのないゲームだから辛い。
またエリア6は、風船につかまって空を飛ぶという、ほかのエリアとは違ったアクションがメイン。キューティーという幽霊に懐中電灯を当てて消しながら、鍵を回収して教会に入り、十字架を手に入れて脱出する。
エリア8が終わるとエンディングになるが、私は最後の時間制限に間に合わず、マピコに怒られるバッドエンドしか見られなかった。
とはいえ、このゲームの本番はここから。エリア8をクリアするごとに、新たなストーリーが用意されるのだ。集める物もそれによって変わり、2周目は結婚式の指輪、3周目はクリスマスツリー、4周目になるとマッピーJr.が登場し、彼の誕生日プレゼント(野球のボール)を集めることになる。
各エリアの背景は同じだが、マップが変わって難しくなっている。さらに、1周目のエリア6と同じように、秘密の入口からサブエリアに入って、アイテムを取らなければクリアできないエリアが増えてくる。
コンティニューがないので、まともにプレイしたら2周目以降にたどり着くのは難しいが、幸いにも裏技が用意されている。タイトル画面で上A下B左A右Aと押し、セレクトボタンを押しながらスタートすれば、何周目から始めるかを選ぶことができるのだ。
二代目は苦しんじゃう
1989年には「マッピーキッズ」が発売された。マッピーの息子の、ハッピーとラッピーが主人公。オーソドックスな横スクロールアクションゲームで、Aボタンでジャンプ、Bボタンでキック。キックの射程は短いが、ジャンプのほうは使い勝手が良い。ジャンプ中にAボタン連打で、尻尾を回してゆっくり下りられる。
ハッピー(ラッピー)の目的は、各ステージで集めたお金で家を建て、ピッキーというネズミと結婚すること。だからただステージをクリアするだけではなく、道中にあるコインや宝箱を積極的に取っていかなければならない。敵に当たったりフィールドから落ちたりすると、ライフが減る上に、所持金の一部がフィールド上を飛び跳ねる。回収できないと所持金は減ったままだ。
ステージをクリアするとボーナスゲームに突入。まずスロットで賞品を決める。「50000円」とか「家の部材ひとつ」などがある一方で、「100円」とか、果ては「家の部材を減らされる」というのもあるので、このスロットは気が抜けない。
賞品を獲得するために、ミューキーズたちとミニゲームで対決する。ミューキーズの中の誰が相手になるかもスロットで選ぶ。ゲームは旗揚げ、尻相撲、間違い探しのいずれかで、何となく「ワギャンランド」っぽい。負けると賞品が得られない上に、所持金を万単位で減らされる。痛い。
ボーナスゲームが終わると、ショップで家の部材を買うことができる。最後のステージをクリアして買い物を終えた時点で、すべての部材がそろっていれば、家が完成してハッピーエンド。さもなくばピッキーにふられてしまう。家が完成しそうになかったら、終盤でゲームオーバーになって、途中のステージからやり直したほうがいい。
2人プレイでは、家の完成度の高い方がピッキーと結婚できる。ステージではコインや宝箱の取り合いになり、ボーナスゲームはハッピー(1P)とラッピー(2P)の対決となる。
京橋はええとこだっせ
さて、警視庁前でマッピーをプレイしたものの、うまくいかず、もっと警察について勉強しようと考えた私が、次に向かったのが京橋である。
京橋といっても、グランシャトーで有名な大阪市の京橋ではない。日本橋の近くの、……といっても大阪のニッポンバシではなくて(あぁややこしい)、東京都中央区のほうだ。日本橋と銀座の間にあって、かつては同名の橋も存在したが、川のほうが埋め立てられて高速道路となり、現在は欄干の柱のみが保存されている。
その高速道路の脇に、警視庁の警察博物館がある。川路利良大警視らによる欧州警察制度の視察資料に始まり、西南の役関連資料(官軍に警視庁の警視隊が加わっていた)、歴代の警察官の制服、殉職された警察官の遺品、昔の庁舎の模型、警察官の装備品(警棒や手錠など)、鑑識に使われる機材、制服についているエンブレム(各県警ごとにマークが違う)、警視庁音楽隊で使われた楽器や楽譜(東京五輪のファンファーレに使われたラッパも)などが展示されていた。
明治初期の、今とは別の曲がついていた「君が代」や、警視庁のマスコット・ピーポくんのうたを聴くこともできる。
さて警察についてじっくり勉強したところで、再びマッピーをプレイしてみよう。果たしてどのくらいの盗品を回収できるだろうか?
……ラウンド1もクリアできずにゲームオーバー。
銀座近くの人通りが多い場所だから、やっぱり気が散る。というかそもそも、“警察官としての自覚”はゲームをやる上では必要ないのではないだろうか?
それよりも、トランポリンの使い方を勉強したほうがいいかもしれない。
今回は行く暇がなかったが、いずれ、あの廣田遥選手がかつて練習したという、阿倍野の高速道路下にあるトランポリンクラブに行って、練習風景を見ながらマッピーをプレイしてみたいと思う。
※ゲイムマンからのお知らせ
この連載が単行本化されることになりました。「レトロゲームが大好きだ 昭和編」、マイクロマガジン社から12月25日に発売です。
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