「ドラクエ」は挫折者を作らない――堀井雄二氏が語る「国民的ゲーム」の条件とは?(2/2 ページ)
まさゆきの地図は偶然。仕込みではありません!
さらに話題は「すれちがい通信」にも及ぶ。今や一種の社会現象にまでなった「ドラクエIX」すれちがい通信だが、堀井氏によれば「まさかこんなに流行るとは思わなかった」とのこと。
特に「すれちがい通信」を爆発的に広めるきっかけとなった「まさゆきの地図」については、「本当に偶然生まれたもの。仕込みでは断じてありません!」と藤澤氏。もともと地図の発見者、討伐記録更新者の名前が残るようにした段階で、堀井氏との間で「発見者の名前が有名になったらいいよね」という会話は一応あったのだそう。
ただ、それは「レベル99の○○を○ターンで倒した勇者!」といった形での“伝説”になってほしかったということであって、まさかこんな形で広がるとはまったく予想していなかったのだとか。これについては堀井氏も「まさか“まさゆき”さんになるとは……(笑)」とさすがに苦笑い。
ただ、すれちがい通信をコミュニケーションの入り口にする、という考え自体は最初からあったのだという。マルチプレイを遊ばない・遊べないような人でも、すれ違い通信なら気軽に遊ぶことができるし、また装備やデータを見せたり、宝の地図を受け渡しできることで、誰かと一緒に攻略している感覚を味わうことができる。
「バーチャルがリアルを侵食している感覚。自分以外のデータを見るのってやっぱり楽しいんですよ。結局、人は人が好きということなんだと思う」(堀井氏)
最後に「国民的ゲームとは何か」と聞かれた堀井氏は、「作ろうと思って作れるものじゃないし、『ドラクエ』もそうなろうと思って作ったわけではなかった。それがこうして支持されるようになったのは、遊んでくれた人たちの思いと、シリーズの歴史。『ドラクエ』と一緒に成長した大人たちが、今は子供たちにも面白さを伝えてくれている。それはすばらしいこと」とコメント。また学生の受講者に向けては、「ハードが進化し、やることは増えたけれど、面白さの本質はそんなにかわらない。大切なのはとっつきのよさと、何かありそうなワクワク感。”分からない”という理由で、“ゲームなんか二度とやらない”という人を作ってはいけない」とエールを送り、約1時間にわたる基調講演を締めくくった。
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