第7回:ハイスコア更新は常に命がけ! 「ボーナス獲得=ハイリスク」の法則なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/3 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の7回目は、ハイリスクハイリターンをゲームで解説いたします。

» 2011年02月23日 14時52分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

危ないと分かっていても、ついつい取りたくなってしまうボーナス得点

 いつの時代も、ゲームを夢中になって遊ぶために欠かせないのがスコア(得点)の存在。みなさんも自己ベストの更新を狙ったり、あるいは他のプレイヤーたちと競争することによってモチベーションがアップした経験を今までに何度となくしていることでしょう。

 あらゆるゲームにおいて、スコアを効率的にアップするために必要となるのがコインやドル袋などのデザインが施された、取ると高得点が加算されるいわゆるボーナスアイテムです。取れば高得点……と口で言うのは簡単ですが、いざ実際にプレイしてみるとアイテムが取りにいくい場所にあったり、操作をちょっと間違えると主人公が敵に捕まってミスになるリスクが高くなるような仕掛けが必ずと言っていいほど存在します。そんな危険が伴うと頭では分かっていても、プレイヤーは自らの実力を示すバロメーターであるスコアを1点でもアップさせるべく、少しでも多くのアイテムをゲットして得点を稼ごうとついついチャレンジしたくなってしまいます。このような「ボーナス獲得=ハイリスク」という図式は、ビデオゲーム草創期から今日に至るまで続く伝統であると言っても過言ではありません。

 その典型的な例を有名タイトルからひとつ挙げると、1983年に任天堂がファミリーコンピュータ本体と同時に発売した「ドンキーコング」(※アーケード版は1981年)があります。本作にはパラソルとバッグの得点アイテムがあり、取るとそれぞれ800点のボーナスが入るようになっています。特に凝っているのが2面に登場するバッグの位置で、これを取るためには高速で飛んでくるスプリングと、近くをウロウロしている火の玉のいないスキを突くことが必要で、取るタイミングを間違えるとミスになる危険性が格段にアップします。

 また、1986年にハドソンが発売したファミコン用ソフト「高橋名人の冒険島」でも、ボーナスアイテムのポットや得点の高いフルーツ(メロン)の多くが、ジャンプ後の着地点を少し間違えると谷底に落ちたり敵に触れてミスになってしまうような、実に巧妙(?)に計算された場所に配置されています。本作では、例えこれらのアイテムを取らなくてもゴール地点にさえたどり着ければステージクリアとなるのですが、いざ画面内に文字通りおいしそうな得点源が出現すると、プレイヤーはリスクがあるとわかっていても思わず取りたくなってしまいますよね。

 と、いうことで今回は「ボーナスの獲得=ハイリスク」というゲームの法則を、実際のプレイ映像を交えながらいろいろお話していくことにしましょう!

ファミコン版「ドンキーコング」の2面では、バッグをゴール地点から遠く離れた場所に置くことで得点を稼ぐ難易度を高めている

(C)1983 NINTENDO
「高橋名人の冒険島」では、着地を失敗するとミスになりやすい場所に高得点アイテムがあることが多い

(C)1986 HUDSON SOFT

古来から、ボーナスは常にリスクと隣り合わせというのが「お約束」

 スコアアップのために高いリスクを負う分かりやすい例としては、KONAMIが1984年に発売したアーケードゲームの「サーカスチャーリー」があります。本作の火の輪くぐりのステージでは、ときどき中心部にドル袋が置かれた火の輪が出現し、タイミングよくジャンプしてくぐればドル袋が取れてボーナス得点が入るようになっています。

 ムービーを見ていただければ明らかなように、ドル袋のある火の輪は通常のサイズよりも小さくなっているため、ジャンプのタイミングがよりシビアになっています。また、小さい火の輪はくぐらずにそのままスルーしてもミスにはならないので、得点を稼ぐかどうかの選択はもっぱらプレイヤーに委ねられています。よって本作のような場合は、得点を稼ぎたい人だけがハイリスクを負う仕組みになっているというわけですが、いかにも価値の高そうなドル袋がいざ画面内に出てくると「取らずに放っておくのはもったいない!」という気分になって、やはり危険を冒してまでもついついチャレンジしたくなってしまいますよね?

※「サーカスチャーリー」:プレイステーション版「コナミ80'sアーケードギャラリー」を使用
(C)1998 1999 KONAMI ALL RIGHTS RESERVED.

 さらに面白いのが、1989年にタイトーが発売した「キャメルトライ」。本作は迷路を左右に回転させて、制限時間内に画面中央に表示されたボールをゴール地点まで導くというとてもユニークなアクションゲームで、特定の地点を通過したりボールをぶつけて破壊するとボーナス得点やタイムが加算されるギミックがコース上のあちこちに存在するのが特徴です。

 これらのギミックもやはり、狭い袋小路やボールを当てにくい位置にあるケースが非常に多いことがムービーを見るとよく分かります。また、場所によっては得点が増えるのと同時にボールが大きく弾かれたり、操作を誤った場合は触れるとタイムを減らされるブロック(※×マークの位置)にぶつかりやすくなるリスクも発生するのです。また、途中で時間が切れると即ゲームオーバーとなってしまいます(※)から、プレイヤーはこれらのギミックを積極的に利用するか、あるいはゴールへの最短距離を目指すのかという状況判断が常に要求されるスリル感も満喫できるというワケですね。

※筆者注:厳密には、タイムオーバー後の抽選イベントで運よく当たりを引くと一度だけ復活するシステムが存在します。
※「キャメルトライ」:プレイステーション2版「タイトーメモリーズ上巻」を使用
(C)TAITO CORP. 1978-2005

 アイテムこそ存在しないものの、特定の地点を通過することでボーナスが加算される仕掛けも古くから見受けられます。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた