第12回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツなぜ、人はゲームにハマルのか?(3/3 ページ)

» 2011年08月11日 15時17分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 極めつけは、デービーソフトが1985年に発売したファミコン用シューティングゲーム(※)の「頭脳戦艦ガル」に登場する「隠れキャラ」のバルバール。本作は、各ステージごとに1個だけ出現するパーツを合計100個集めて最終ステージに進むとボスのドラッグと戦えるというルールになっています。

 問題の「隠れキャラ」は、宇宙ステージの最終面(30面)の最終地点到達時にスコアの千点の位が奇数だったときに出現する青緑色をしたチョウ(セミ?)のような物体です。これにショットを1発撃つと1万点のボーナスが入り、以下2発目を当てると2万点、3発目で3万点……とどんどん高得点が稼げるのですが、実は合計5発撃ち込んでしまうと、それまでに集めたパーツをすべて没収されてしまうというトンデモないワナが仕組まれているのです。

 ムービーをご覧になる際は、スタート時とバルバール撃破後のパーツ表示の違いをよ〜く確認してみてください。筆者も最初にこれを知ったときには、ショックのあまりただ呆然とするばかりでした(もうホントに酷いヤツです!)。

※筆者注:本作はメーカーが「スクロール・ロールプレイングゲーム」というジャンル名で発売したのですが、ここでは便宜上シューティングゲームと表記しました。
(C)1985 db-SOFT

 このようなトラップの効果を持つ「隠れキャラ」は、筆者の知る限り上記以外の作品ではほとんど見かけた記憶がありません。せっかく発見してもペナルティを受けてしまうのではあまりにも意地悪過ぎるので、プレイヤーに少なからず不快感を与えることからこのようなアイデアを採用する作品は自然と消えていったものと思われます。

 もしも今、このようなワナを仕込んだ「隠れキャラ」を用意したゲームが新作として登場したならば、おそらくインターネットのニュースサイトや掲示板、あるいはカスタマーレビューなどを通じて多くの人に酷評されて大炎上してしまうのではないでしょうか? このような思い切った試みはビデオゲームの歴史がまだ浅く、なおかつ今ほどメディアが発達していなかった当時だからこそ許されたのかもしれませんね……。

 と、いうことで懐かしの「隠れキャラ」にフォーカスした今回の当コラムですが、みなさんお楽しみいただけましたでしょうか? もしよろしければ、ご意見・ご感想などお聞かせいただければ幸いです。

 次回もまた、今回紹介しきれなかった「隠れキャラ」に関するさまざまなヒミツについて詳しく迫っていく予定です。どうぞお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「ゼビウス」:Wiiバーチャルコンソール、PS「ナムコミュージアムVol.2」ほか
  • 「スターフォース」(※アーケード版):Wiiバーチャルコンソール
  • 「ロードランナー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ソンソン」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「レッキングクルー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「チャレンジャー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「スーパーマリオブラザーズ」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ソロモンの鍵」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「魔界村」:Wiiバーチャルコンソール

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは「@m_shigihara」です。

著者近況

 現在、筆者は某所で「ゲームメディアについてあれこれ考えてみよう企画(仮題)」の公開イベントを実施すべく準備に奔走しております。近々正式なアナウンスができるかと思いますので、いま少しお待ち下さいませ!

 今回取り上げた「隠れキャラ」ですが、目の前の敵やボスをどうやって倒そうかと考えているときに、突然何の前触れもなく現われてビックリしたり感動した経験は、1980年代からゲームに興じていたみなさんにとってはもはや共通体験といっても過言ではないでしょう。ちなみに小生は小学生時代、「ゼビウス」初プレイ時に偶然ながらもスペシャルフラッグを出したのは今でもプチ自慢です(本当!)。なお、今回紹介し切れなかったその他の隠れキャラについては、拙著「ファミダス ファミコン裏技編」または「ファミダスライト ファミコン裏技編」でもご紹介しておりますので、もしご興味がありましたらぜひご一読下さい。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  2. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
  3. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. /nl/articles/2411/17/news066.jpg 「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
  5. /nl/articles/2411/16/news014.jpg 330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
  6. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  7. /nl/articles/2411/11/news056.jpg 大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
  8. /nl/articles/2411/17/news038.jpg 58歳でトレーニングを始めたおばあちゃん→10年後…… まさかまさかの現在に「オーマイガー!!!」「これはAIですか?」【海外】
  9. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2411/17/news004.jpg 「水曜どうでしょう」“伝説のシーン”そっくりな光景にネット騒然 「ダメだ笑っちゃう」「なまら怖い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた