第12回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツなぜ、人はゲームにハマルのか?(1/3 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の12回目は、隠れキャラの魅力について。

» 2011年08月11日 15時17分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

 人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回はファミコンブーム全盛の1980年代に少年・少女時代を過ごした30代以上のみなさんには特に懐かしい隠れキャラクター、通称「隠れキャラ」をテーマに取り上げてお話します。

 最近のゲームではお目にかかる機会が激減し、今や限りなく死語に近くなった感のある「隠れキャラ」ですが、いざ調べてみると面白い発見がたくさんありましたのでこの場をお借りして可能な限りご紹介したいと思います。それでは、今回もよろしくどうぞ!

ただ偶然出しただけもなぜか嬉しくなってしまう、「隠れキャラ」ならではの大きな魅力

 そもそも、「隠れキャラ」とはいったい何者なのか? ひとことで定義するのは難しいのですが、大雑把に言えば「通常のゲームの進行方法では出現させることのできないキャラクター」と、いうことになるでしょうか。マニュアルを読んでもその存在が一切明らかにされていない「隠れキャラ」をゲーム内に登場させることで、プレイヤーは予期せぬタイミングで謎のキャラクターが出現するのを目撃し、より大きな驚きや感動を与える効果を生みます。主に1980年代のファミコン用ソフトを中心に大流行し、筆者も含め当時多くのプレイヤーたちがソフトを片っ端から持ち寄っては、「隠れキャラ」を夢中になって探したものでした。

 そんな「隠れキャラ」の存在を一躍有名にしたのは、やはり1983年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が発売したアーケード用シューティングゲームの「ゼビウス」になるでしょう。本作では一見すると何もない場所なのに、レーダーが触れると反応してフレームが光る地点がいくつかあり、そこに向かって地上攻撃用の武器であるブラスターを撃ち込むと「隠れキャラ」のソルが出現するようになっています。ソルを出現させると2千点、さらに破壊すると2千点の高得点が入りますので、以前のコラムも説明したエクステンド(※一定の得点に達するごとに自機が増えること)を狙うためにも、知っているのとそうでないのとでは大違いです。

 筆者も少年時代、上手なプレイヤーがソルを次々と出現させているのを見て、「なんで何もない所から突然敵が出てくるの?」と不思議でしかたがなかったことをよく覚えています。早速マネしてあちこちにブラスターを撃ちまくっていたら、知らない間に空中の敵に撃墜されてあっさりゲームオーバーになってしまいましたが(苦笑)……。しばらく後に、偶然ながら自力でソルを発見することに成功したときの衝撃と感動は今なお忘れることができません。

「隠れキャラ」の中でも特に有名な「ゼビウス」のソル。その正体は敵軍が地下に忍ばせたメモリータワーという設定でした

※PS版「ナムコミュージアムVol.2」を使用
(C)1995 NAMCO LTD. ALL RIGHTS RESERVED

 その後、ファミリーコンピュータが本格的なブームを迎える1985年頃になると、多くのゲームに「隠れキャラ」が存在していたことから、ゲーム好きの間では「隠れキャラ」が(本来は隠れた存在なのに)一躍有名になりました。

 その典型的な例のひとつに、1985年にハドソンが発売したシューティングゲームの「スターフォース」(※)があります。本作では特定の地点を撃つと「H」の文字が書かれた「隠れキャラ」のヒドンが出現、これを破壊すると2千点のボーナスが入りるようになっています。前述の「ゼビウス」と同様、本作にもエクステンドのシステムがありますので、ヒドンをなるべくたくさん破壊して得点を稼いでおけば、やはり有利に戦うことができるようになります。

※筆者注:ヒドンのアイデア自体は、1984年にテーカンが発売した元のアーケード版から存在していました。

 また、同じくハドソンが発売した「ロードランナー」では、ロボットを5体以上埋めてからステージ内の金塊を全部取ると「隠れキャラ」のフルーツが出現し、これを取ってからステージをクリアするとボーナス得点が加算されます。フルーツはリンゴやバナナなど多くの種類があり、どれが出るのかは毎回ランダムで変化します。これらのフルーツの存在によって、パズルを解くのと同時に何種類の「隠れキャラ」を目撃できるのかという楽しみ方ができたというワケですね。

「スターフォース」では特定の地点を撃つと「隠れキャラ」のヒドンが出現、破壊すると2千点のボーナスが入るようになっていました

※ファミリーコンピュータ版を使用
(C)1985 TEHKAN LTD. and HUDSON SOFT

「ロードランナー」にはさまざまなフルーツが登場。硬派なゲームでありながら、かわいいデザインの「隠れキャラ」が出てくるのは何とも不思議なカンジがしますね……

※ファミリーコンピュータ版を使用
(C)1984 PUBLISHED BY HUDSON SOFT CO., LTD. UNDER LICENCE FROM BROADERBUND SOFTWARE, INC.

 さらに面白い工夫をしていたのが、コナミが1986年に発売したファミコン用アクションゲームの「グーニーズ」。本作に登場する「コナミ監督」「ツインビー」「コナミマン太郎」などの「隠れキャラ」は、取ると5千点のボーナス得点が入るようになっています。ですが、しばらく放っておくとやがて画面から消えてしまい、この場合はボーナスが千点に下がってしまいます。つまり、本作の「隠れキャラ」にはただ出現方法を探すだけでなく、出した後に急いで取るためのテクニックを持ったプレイヤーに対する成功報酬も同時に用意しているのです。


(C)KONAMI 1986
THE GOONIES IS A TRADEMARK OF WARNER BROS. INC.
(C)1985 WARNER BROS. INC. ALL RIGHTS RESERVED.
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた