第16回:ゲームは見た目がすべて!? ひと目でプレイヤーを虜にするデモ画面の工夫なぜ、人はゲームにハマルのか?(5/6 ページ)

» 2012年02月10日 17時45分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

 また、手元に現物がないので映像を用意することがきなかったのですが、アイレムが1984〜87年にかけて発売したアクションパズルゲームの「ロードランナー」シリーズでは、次のステージから新しい敵の種類が登場し、舞台が変わるときにデモ画面が挿入されるようになっていたと記憶しています。筆者は初めてこのデモを見たときには、「ウワッ、何だか強そうな格好をした敵が出てきた。次の面からすごく難しくなるのかなあ……」などという恐怖感や、同時に未知の世界に進めるワクワク感もあってとても感動したのが今でも忘れられません。

 アーケードゲームにおいて随分前から絶滅した感のある「コーヒーブレイク」ですが、その原因はおそらく収益性に問題が生じるからでしょう。デモ画面の最中はプレイヤーがミスをする要素が一切ない、つまり追加料金が取れない状態になりますから、あまり導入し過ぎると時間効率が悪くなりお店側がもうからなくなってしまうからです。これは筆者の推測になりますが、各ステージをクリアするごとに得点計算などのリザルト画面を表示する作品が多くなるにつれて、その分「コーヒーブレイク」の演出を割愛せざるを得なくなったという事情もあったのではないでしょうか。このあたりも今後の研究課題となりそうですね。

家庭用ゲームにおけるデモ画面の工夫

 ここからは、家庭用ゲームにおけるデモ画面の面白い使用例を見ていくことにしましょう。家庭用のパッケージソフトの場合は、アーケードゲームと違って一度ソフトを購入すれば追加料金を払う必要は一切ありません。ですが、プレイヤーにゲームの内容を理解してもらうためのデモを用意する例は昔から非常に多く存在します。これはアーケードからの移植作品に限らず、家庭用オリジナルのタイトルでも同様です。

 以下の写真は、1995年にクエストが発売したスーパーファミコン用のシミュレーションRPGである「タクティクスオウガ」。本作にはたくさんの種類のユニットが登場しますが、その特徴をアニメーションを交えながら非常に分かりやすく説明したデモ画面を用意して、プレイヤーが少しでも覚えやすくなるよう配慮しています。また文章での解説は一切出てこないのですが、実は各ユニットが手にしている武器はそれぞれが最も得意とする物を持っているので、ちょっとした攻略のヒントにもなっています。

 本作はゲームの解説を交えたデモを取り入れた典型例ですが、近年はソフトを起動直後のデモ画面でストーリー(プロローグ)を説明するためのオープニングムービーを流してから、タイトル画面へと移行するタイトル目立つ印象です。その代わりに、ゲーム内容や操作方法などの説明はスタートボタンを押した後に登場するチュートリアル機能を使ってプレイヤーを手助けするケースが多いようです。なお、チュートリアルについては当コラムの第14回でも取り上げておりますので、興味のある方はぜひこちらもご一読ください。

画像画像画像 「タクティクスオウガ」には各ユニットごとの特徴を上手に教えてくれるデモ画面がありました
(C)1995 QUEST

 家庭用ソフトではセーブデータを呼び出したり新しいステージに進んだときなど、いわゆるロード時間が発生するのは日常茶飯事。ロード中には「しばらくお待ちください」とか「NOW LOADING」などと画面に表示され、プレイヤーからしばし時間を頂戴することになります。

 ロード時間がほんの数秒程度で終われば特に気にはなりませんが、予想以上に長時間待たされたせいで「遅いなあ……」「早くしろよ!」などと思わず声に出してしまった経験が皆さんもきっとあるのではないでしょうか? また、もしロード中に画面が真っ暗なまま何も表示されなかった場合、「アレ、故障かな?」などとプレイヤーが勘違いしてしまうことにもなりかねません。

 そこで家庭用ゲームにおいては、ロード中の間(ま)をつなぐ目的でもデモ画面が活用されることになります。

 例えば、1997年にスクウェア(現:スクウェア・エニックス)が発売したプレイステーション版の「ファイナルファンタジーIV」。本作は元々スーパーファミコン用のROMカセットで発売されたものですが、PS版はCD-ROMになった関係でセーブデータのロード時間が以前よりも長くなってしまいました。

 そこで、PS版ではロード中にちょっとした時間つぶしができるように、ゲームのキャラクターたちが登場するアニメーションを見せることでプレイヤーの目を楽しませるようにしています。また、デモ画面には非常に多くのパターンがあり、どれが出るかは毎回ランダムで変わるのもプレイヤーにとってはちょっとしたお楽しみにもなっているのです。

画像画像画像 待ち時間を退屈させないようにするため、PS版の「ファイナルファンタジーIV」ではさまざまなアニメーションが表示されるようになっていました
(C)1991/1997 SQUARE

 当コラムでたびたび紹介しているプレイステーション用ソフト「ナムコミュージアム」の各シリーズでも、タイトル画面でゲームを選択後のロード時間中にキャラクターのアニメーションが表示されます。このキャラクターは、ロードが完了するまで画面内の左右を往復する動きをずっと繰り返しますが、実はボタンを連打するとスピードがどんどん速くなるようになっています。つまり、これに気づいたプレイヤーが面白がってボタンを夢中で叩きまくっていると、いつの間にかデータの読み込みが完了してお目当てのゲームがすぐに始められるという、なんともナイスな仕掛けなのです。

 以下のムービーは、「ナムコミュージアムVOL.1」で「ギャラガ」を起動したときのものです。だんだん速くなるキャラクターを目で一生懸命追いかけていると、ロード時間が実際よりもかなり短く感じられるようになるのがきっとお分かりいただけるかと思います。

(C)1995 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」