電気がなければ発電したらいいじゃない 大型ソーラーパネルGOAL ZEROで24時間耐久に挑戦散歩するガジェット(2/2 ページ)

» 2012年05月11日 10時12分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
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11時間で80%まで充電

 結局、充電時間11時間でSherpa 120 Power Packのインジケーター「80%」まで充電することができた。完全に使い切った状態ではない「20%」からの充電だったとはいえ、4月の曇りがちの天候でこれだけ充電できたのはなかなか優秀といえるのではないだろうか。驚いたのが、ポータブルタイプでは充電できなかったような曇り空でも充電が継続したことだ。朝夕は、インジケーターが充電を示していても、日中ほどの発電量はないというのは充電の経過に現れているが、目に見えて分かりやすい性能の違いといえるのではないだろうか。これがもし真夏かつ快晴の日であれば、もっと短時間での充電も期待できる。

画像 インジケーター下のボタンを押すと充電残量が表示される。午前7時から午後6時まで、Sherpa 120 Power Packのインジケーターで「80%」まで充電することができた

灯りのある生活のありがたさ

 さて夜も更け、Sherpa 120 Power PackにLight-a-Lifeを接続してみたところ思った以上に明るく、何をするにもその明るさが助けになった。夕食時、カップラーメンのためのお湯を沸かす際にも、手元がはっきり見え、夜間のガスバーナー点火も安心できた。Luna LED Lightも手元を照らすには十分な明るさなのだが、Light-a-Lifeならばテント内を照らしたり、テントの前まで照らすことができるので、煮炊きなど作業をする際に便利。今回のように1人ならヘッドライトを使う手もあるが、家族など複数人数の作業ならば、いっそうLight-a-Lifeの明るさがありがたく感じられるのではないだろうか。

画像 テントはモンベル、ムーンライト2型を使用。月明かりでも組み立てることができるというのが製品名の由来だけあって、久しぶりに設営しても迷うことなく、1人で簡単に組み立てることができた。2型は1名なら余裕で、2名なら荷物を前室に出せば横になることができる大きさ。軽量なのも特長だ

画像 電気コンロや電気ケトルは消費電力が高いので、Sherpa UI (AC INVERTER)でAC100Vに変換しても使うことができないと思っていたほうがよい。今回は、湯沸かし用にイワタニ、カセットガスジュニアバーナー(筆者愛用のものは旧型製品)を使用した。万が一にも火事にならないよう、下には鉄板を敷き、かたわらには水タンクを用意した

画像 Sherpa UI (AC INVERTER)で、AC100V用の機器も使用してみた。エネループの充電器、デジ一眼の充電器をはじめ、タブレットPCのアダプタ、エネループカイロなど家庭用コンセント用アダプタをそのまま使うことができるのがありがたい

画像 「災害の際に重要なのはやはり水か……」などと考えながらテントにこもっていたらば、なんと本当に地震があった。スマートフォンに充電しつつ、気象庁の地震情報をチェック。大容量充電池のおかげで、スマートフォンの電池切れの心配がないのがありがたい瞬間だった

実用性の高さは予想以上

 実際に使ってみてGOAL ZERO製品、それぞれ完成度が高いということが分かった。大型ソーラーパネルは高性能かつ折り畳めて携帯性も高いし、LEDランタンは明るく低消費電力。バッテリーも容量が大きくインジケーターも分かりやすいものだった。つまり、GOAL ZERO社の創業者であるRobert Workman氏がおそらく想定したであろう、電気を使うことができない国や地域に持ち込んで、夜間照明に役立てるという目的を十分に果たすことのできる製品になっている。スマートフォン、デジカメ、そしてノートパソコンの充電と欲張ってしまえば、1日で充電池を使い切ってしまうかもしれない。しかし、低消費電力のLEDを使用した夜間照明に限って考えれば少なくとも2、3日は使い続けられるので、その間に日中、晴れ間が見えたら充電しておけば良いことになる(カタログ値では、100%充電したSherpa 120 Power PackでLight-a-Lifeが48時間使用可能)。大型ソーラーパネルと大容量充電池は、導入コストを考えると一般家庭での購入は難しいかもしれない。ここはぜひ、地方自治体や企業などが防災用品として採用すべくテストしてみてはいかがだろうか?

そのほかの備考

 基本的にテスト中の24時間は、家にあったものを飲食。煮炊きも、キャンプ用に買ってあったガスバーナーでのみとした。室内の設備もトイレとトイレの手洗い用水道以外は使用していない。当初はテント内で仕事しようかとも考えていたのだが、そんな悠長なことを言っていられないスケジュールのものがあったため、昼間は室内のデスクトップパソコンで原稿を書きつつ、ちょくちょくソーラーポネルの様子を見に行き、撮影しながら日照状況を確認した。

 これはこれで昼間は活動して、夕方キャンプ地に戻るような活動状況を再現できたのではないかなと思うことにした。ちなみに朝食はクラッカーとペットボトルの水。昼食もクラッカーと水。さすがに栄養バランスがめちゃくちゃなので、夕食は主食をカップラーメンとしながらも、家族の夕食として用意されていたブロッコリーを少々拝借した。日頃粗食慣れしている筆者は、食事はあまり気にならなかったのだが、水道が使えないということで洗面ができないのがこたえた。よって、まず筆者を襲ったのは洗面できないことによる顔面の不快感だった。防災用品の中に男性用脂取りシートを入れておこうと心に誓ったのであった……。なお、家は昔からタンクに水道水を備蓄しておくのが常だったので、手を洗ったり食器をすすいだりするには困ることはなかった。

 寒がりな筆者でも夜間、化繊の寝袋とフリースで凍えることもなかった。しかし、冬であればダウンなどもっと本格的な防寒具が必要になる。Rock-Out SpeakersはGOAL ZEROシリーズはなんでも試してみようという趣旨で用意したのだが、「非常時にラジオはともかく、音楽なんて聴いている場合ではないだろう」との思いとはうらはらに、手持ち無沙汰になったときMP3プレイヤーの音楽を聴いているとなんとなく落ち着くこともあった。非常時だからこそ、日常を少しでも取り戻せるという意味でも、音楽を聴くことができたり、携帯ゲームをするというのは有効なのではないだろうか。それらを実現するのはすべて「電気」であり、非常時の発電の手段というのは水や食料に加えて考慮すべき点であることは疑いのない点ではないだろうか。

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