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» 2013年03月26日 17時24分 公開

温水洗浄便座の代表的ブランド「ウォシュレット」普及の秘密を聞いた売れるのには理由がある

温水洗浄便座の代表的ブランドとなっているTOTOの「ウォッシュレット」。しかし、実は温水洗浄便座が最初に製品化されたのは海外で、国産としても2番手だった。

[種子島健吉,ITmedia]

最初は輸入販売、国産としても後発

 今回は温水洗浄便座の代表的ブランドで、発売30周年の翌年である2011年に累計販売台数3000万台に達したというヒット製品「ウォシュレット」について、開発販売元のTOTOにうかがいます。

―― 温水洗浄便座といえばTOTOさんの製品名である「ウォシュレット」が代表ブランドのようになっています。ところが、最初に製品化したのは海外メーカーで、国産販売も後発だったというのは本当ですか?

久野氏 本当です。弊社(当時の東洋陶器)は、1964年に温水洗浄便座を販売開始しましたが、それは米国、アメリカン・ビデ社の「ウォッシュエアシート」を輸入したものだったんです。

 それから、1969年には「ウォッシュエアシート」を国産化して販売しましたが、実は1967年に当時の伊奈製陶(旧INAX、現LIXIL)さんが先に国産品を販売しているんです。

画像 お話しをうかがった、TOTO 広報部 久野敦子氏

名コピー「おしりだって、洗ってほしい」

―― 製品として後発だったのに、今この状況というのは何かきっかけがあったということでしょうか?

久野氏 製品として良い物を開発してきたということはもちろんですが、ことトイレにまつわる製品というのは、良い物ができたら即売れるというものではないんです。やはり、トイレというものはその民族や国家の文化に密接に関わっているものなので。

 そんなトイレに関する意識を変えてくれたのが、「ココロも満タンに、コスモ石油」「目の付けどころがシャープでしょ」を手がけたことでも知られるコピーライター・仲畑貴志さんによるCMだったんです。皆さんも記憶されているかもしませんが、戸川純さんを起用した「おしりだって、洗ってほしい」というCMです。

 当時、「おしり」という言葉がCMで流れるというのはセンセーショナルなことだったのですが、そのおかげで「温水洗浄する」ということがじょじょに当たり前のことになり、「ウォシュレット」の知名度も上がることになったのです。

 社員一丸となった、製品試作品テストなどによる製品の完成度の高さは当然としてあります。しかし、それだけでなく、「おしりを洗う」という新しい生活習慣を普及させ、トイレの常識を変えたという取り組みが評価されて、今の「ウォシュレット」があるのだと思っています。

画像 TOTO(当時、東洋陶器)が最初に販売したアメリカン・ビデ社の「ウォッシュエアシート」。画像は国産品

画像画像 1980年に発売された初のウォシュレット製品「ウォシュレットG」(左)と「ウォシュレットS」(右)。「G」はIC制御により、温水、温風、便座温度を安定させている。「S」は洗浄と暖房便座に機能をしぼった普及版

画像 1983年発売された「ウォシュレットG II」。ビデ機能が追加された。ビデは18世紀フランスで生まれたとき、タライにまたがって使う姿から子馬を意味するフランス語の「bidet」から命名されたもの。TOTOは大正時代に一度、製品化したものの普及しなかったという経緯があった。これからは女性の必需品になるとして、「G II」開発時に「ウォシュレット」の基本機能として組み込まれ一般的になった

画像 1999年、ワンダーウェーブ洗浄を搭載した「ウォシュレット アプリコット」が発売。1秒間に70個の水玉を連射して吐水させるという新技術で使用水量が3分の1になり、瞬間湯沸かし方式でもたっぷり洗浄が可能となった。それにより水タンクがなくなり、省スペース化に成功している

実は代名詞的存在はうれしくない!?

―― 製品が認められ、製品名も知らない人はないというほど知られています。メーカーとしては言うことなしですね。

久野氏 それが喜んでばかりもいられないんです。もし「ウォシュレット」が、製品名ではなく一般名称ということになってしまうと、TOTOだけの製品名として使用できなくなる恐れがありますからね。それで、広告などでも「TOTOの登録商標です」ということをPRするようにしています。

発想を変えると、まだ進化の余地が

―― 製品として熟成の域に達しているようにも見える「ウォシュレット」ですが、今後の展開としてはどう考えていますか?

久野氏 TOTOの創業当初からの姿勢として、品質の高い製品を作り全世界に届けるというものがあります。昔は日本でもトイレにコンセントがなく和式便器が普通だったので、「ウォシュレット」を付けるというのは新築時でもなければ大工事だったんですね。

 それが今では、コンセントがあるのは当たり前ですし、一般家庭の便器はほとんど洋式になったので設置が容易になりました。そういった要因と、先ほども説明したCM展開などによって生活習慣の常識を変えたことで、「ウォシュレット」がこれだけ普及したんです。

 それと同じことをほかの国でもやっていきたいと考えています。トイレ文化は各国違っているので、例えば中国ではTOTOは高級ブランドとして製品展開していたり、中東の国では金具を金色にしていたり、各国の事情に合わせて実際に使っていただける工夫をしています。

 欧米からはじまったにも関わらず「ウォシュレット」は、旅行に来て体験した外国人が自国に帰って「日本にこんなのがあってよかったよ!」と日本の独自文化として伝えるようなものでした。しかし、最近は欧州や米国の展示会などでも温水洗浄便座製品を見かけるようになってきており、チャンスだととらえています。

 温水洗浄便座というものを認知してもらうことからはじめるのは大変です。でも、同じカテゴリーの製品が知られるようになれば、温水洗浄便座を30年作り続け、熟成させてきたのが「ウォシュレット」なんですよ、ぜひ使ってみてください、とアピールすることができるんです。

 2012年に発売した新型の「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」「ウォシュレット アプリコット」では、おしりを洗うという以外の機能も付加しました。それが「便器きれい機能」で、便器に電解除菌水を吹きかけることで除菌効果を生むんです。そういった、そもそもの「ウォシュレット」とは発想の違った機能を盛り込むことで、まだまだ製品として進化できる余地があるんですね。

画像画像 2012年発売の「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」(左)、「ウォシュレット アプリコット」(右)では、「便器きれい機能」を搭載。電解除菌水をトイレ使用後と、8時間使用がなかったときに便器ボウルに吹きかけ、目に見えない汚れや菌を分解、除菌する

画像 最新の「ウォシュレット」では小型化が進んでおり、ノズルは3段階に折りたたまれて収納されている。また掃除の際に邪魔なフチなども極力なくしたデザインとなっている。見えないところで着実な進化を遂げているのだ

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