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» 2015年06月09日 21時00分 公開

清澄白河の知る人ぞ知るみやげ屋名物「ちょんまげおじちゃん」には人を引き寄せる魅力があった

古き良き街のおじちゃん。

[茂木宏美/LOCOMO&COMO,ねとらぼ]
画像 江戸資料館通りの入り口

 優雅な時間が流れる清澄白河――古きよき風情を残す街並みとスタイリッシュなカフェが織りなす、今や大注目のスポット。この街にある江戸資料館通りを散策していると、あれ? ちょんまげ姿のおじちゃんが……。しかもニコニコして、こっちを見ている。

画像 この笑顔、人を惹きつけます

 不思議な気分になったものの、おじちゃんに呼ばれたかのように店の前まで行くと、何屋さんだか分からないほど、いろんなものが店先にありました。


画像 “昭和“の商店のような店構え

 店の正体を確かめようと、のれんを見あげます。そこには逆さまに書かれた文字が。ひらがなを覚え始めた子供のように一字ずつ読み上げました。「日本一まずい佃煮でごめんね」。どうして逆さまののれん何だろう? しかも「日本一まずい」って……。疑問を抱えながら、ショーケースに目を落とせば、確かにさまざまな佃煮が並んでいました。


画像 ワカサギ、あみ、白魚など多彩

 どんな店か分かり安心した矢先に、おじちゃんが「買わなくていいから、中も見てって」と声をかけてきました。「買わなくていいから……」、なぜか頭の中でリフレインした言葉。またもや吸い込まれるかのように中へと入っていくと、


画像 整然と並ぶ商品を見ているだけでも楽しい

 店内には所狭しとでカラフルな手拭や和小物などがびっしり並んでいました。


画像画像画像 日本のみやげなら、ここにくれば欲しいものが見つかりそう

画像 「偽万円」とか、図柄を見ているだけでもおもしろい

画像 部屋に飾ってもかわいいかも

画像 この店のおすすめ品、ご飯と一緒に炊くだけ

画像 奥には種類豊富な駄菓子コーナー

 この間、おじちゃんは相変わらず、道行く人に「こんにちは」と声をかけています。店の中に入ってくる気配は一切ありません。

 奥にいたおばちゃんに話しかけてみると、子どもたちの買い物どころである駄菓子コーナーに以前置いてあった落書き帳を見せてくれました。これらを書いた常連キッズは、十数年後、自分の子供と一緒に訪れてくるそうです。どうやらここは子どもたちの憩いの場だったようですね。そして今も。


画像画像 子どもが書いたと思えない絵や言葉も

 ひと通り物色して出入口に向かうと、「どこ行くの? どこか探してる?」とおじちゃん。「コーヒー屋さんに行こうと……」と私。すると、棚の間から紙を取り出し見せてくれたのは、カフェやスイーツなど、カテゴリーごとに色分けされた地図。とっても可愛らしく、プロが作ったマップと思いきや、なんと、おじちゃんのお手製でした。


画像 見やすくて分かりやすい!

画像 店の前にも楽しそうなものがたくさんあります

 地図を片手に、ここはこんなところだよと説明してくれて、隅から隅まで優しいおじちゃんにすっかり心を掴まれた私は、おじちゃんと会話を始めました。

 聞けば、28年前にオープンした「江戸みやげ店たかはし」。夫婦二人で切り盛りしながら、冠婚葬祭以外は休まずに営業しているとのこと。え? 無休! じゃ、そのちょんまげのカツラも無休? なんて思って尋ねたら、「もちろん、休みなくかぶっていますよ」と満面の笑みで話しました。なぜ? と、誰もが思う疑問を投げかけると、通りすがりの人がきっかけをくれたそうです。

 昔この地域では、街おこしの一環でカゴに人を乗せて運ぶといったイベントを毎週行っていました。江戸の雰囲気を出すために担ぐ人は衣装をまとって、カサやカツラをかぶったのだといいます。おじちゃんもカゴ担ぎに参加し、汗びっしょりになったカツラを店先にポンと置いていた、ある日のこと。通りかかった外国人がそのカツラをヒョイッと持ち上げ、スポッとかぶり、ワハハワハハと大はしゃぎしたのです。おじちゃんは「あの汗だくのカツラを。しかもあんなにうれしそうに……」と目が点に。しかし、このあとおじちゃんにアイデアが浮かびます。こんなに人が喜ぶなら、と。そしてその日以来、自らカツラをかぶり、店に来た人にもカツラを貸し出して記念撮影の無料サービスをしたそうです。意外なエピソードに私のほうが目が点でした。


画像 盛況だったカゴ担ぎ

画像 当時からいる店の大事なスタッフ、ひょっとこ人形

 さらに、おじちゃんは南京玉すだれの芸を披露してくました。その腕前はプロ顔負け! おばちゃんが店の商品にと買ってきたコレでおじちゃんが店先で遊んでいたところ、通りすがりの人が技を教えてくれたそうです。これまた通りすがりのお方。それから浅草の大道芸一座などを見て学び、技術を身につけ、さまざまなところから芸を披露してほしいと頼まれるまでになったとのこと。


画像画像 お手製南京玉すだれを自由自在に操るおじちゃん

 そして、おじちゃんは芸だけでは飽き足らず、南京玉すだれを自分で作ってしまいました。今では店の看板商品となるくらい見事なものです。店頭には飾っていないので、欲しい方はおじちゃんに伝えてと言っていました。


画像 使い込んだ味わいがにじみ出ています

 店内の天井を見たかい? と聞かれたので、もう一度中に入って見上げると、手ぬぐいが整列。そして壁にはハンカチ。この商品が売り出されたころから貼り付けてあるそうです。デザインがなかなかよく、欲しいなと思っても、この位置から外して欲しくない気持ちの方が先立ってしまう商品でした。


画像画像 電灯で少し日焼けたしたところが“味”に

 その一角にある浮世絵のハンカチを指差し、おじちゃんが「これがこの店の第1号商品」と教えてくれました。これもきっかけは通りすがりの人だとか。


画像 色あせた感がシブさをアップ

 このほかにも“通りすがりの人”の逸話がたくさん! そうした話を丁寧に教えてくれるおじちゃんの信夫さん。そしてそれを支えるおばちゃんの民子さん。お二人は御年74歳です。毎日店の前を通る人との縁に感謝し、悪いこともいいことも「みなさんのおかげさま」と思って過ごしているのだそう。その心の在り方が人のハートをつかみ、通り過ぎようと思ってもついつい引き寄せられて、店の前で立ち止まってしまうのかもしれません。みなさんにも一度訪れてみて欲しい場所です。


画像 また遊びに来たい場所となる人があとを絶たないそう

 ちなみに前後上下逆さまになった「日本一まずい佃煮でごめんね」ののれんは、「日本一おいしい佃煮」を遊び心で表現したと思われます。

江戸みやげ店 たかはし

東京都江東区三好1-8-6(深川江戸資料館通り)

03-3641-6305


(茂木宏美/LOCOMO&COMO)

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